
新JIS規格に準拠した回路記号で行う電気設計
2020/03/23
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電気設計において部品選定は地味な作業である一方、プロジェクトの成功を左右する重要な作業といえます。もし部品選定のミスが判明すれば、その解決策を考える必要があり、最悪の場合作業してきた内容が無駄になり、大きくやり直さなければいけない可能性も出てくるでしょう。では部品選定ではどのような問題があり、どのような対応策が考えられるでしょうか。本稿でご紹介します。
電気設計においては、「顧客の要求を満たす制御システムのデザイン」と「制御システムを実現するための図面や部品表作成など雑務の繰り返し」の大きく二つの工程があります。前者はクリエイティブな作業で、電気設計者としては特に積極的に取り組みたい工程ではないでしょうか。一方、後者は作業としては地味かもしれませんが、こちらも非常に重要です。制御システムの完成を左右する作業であり、一つの小さなミスが大きなミスにつながってしまう可能性もあります。
前者の工程に時間を割くためには、後者をどれだけ迅速かつ正確に進めるかが鍵となります。
この後者の作業のなかで、大きな割合を占めるのが「部品選定」です。「制御システムを実現するための図面や部品表作成など雑務の繰り返し」の工程を迅速に行うには、この「部品選定」がポイントになります。
部品選定はミスが許されない重要な作業です。では、実際どのような問題が起こりやすいのでしょうか。その例をご紹介します。
同じ作業を繰り返していると人間は慣れてしまうものです。作業に慣れると処理スピードが上がる一方、どうしても正確さが落ちてしまいます。ダブルチェックを怠り、単純な入力ミスをしてしまうなど普段しないようなことをしてしまう可能性があるので注意が必要です。また、緊張感が薄れて他のことを考える余裕が生まれ、考え事をしながら作業をして思わぬミスにつながることもあります。
電気設計で実際に部品を使う際には、部品の特性を調査する必要があります。一つの部品に対していくつかのメーカーを調査し、どのメーカー製が設計中の設計仕様に最も適しているか判断しなくてはいけません。一つの部品だけでも大変な作業なのに、電気設計では多くの部品を使うことになるので、その作業量とかかる時間は膨大なものとなります。そして使う部品が見つかっても、すぐに手に入るわけではありません。発注からメーカーでの製造、メーカーからの発送とここでも時間が必要となるのです。
電気設計において盤のレイアウトは考慮すべき項目の一つです。部品同士の接続は当然考えますが、部品が支配するスペースは見落とされがちで、寸法上は大丈夫なはずでも思わぬ問題が起きることがあります。例えば取り付けた部品が扉と干渉することです。このように各部品に必要となるスペースを考慮せずに設計すると、部品同士の干渉やスペースが十分にないなどといったことから取り付けることができなくなります。ここでは例として端子部やネジ部をご紹介しましたが、その他の機器についても同じように注意が必要であり、しっかり検討した結果に基づいて部品選定を進めなくてはいけません。
前章では部品選定で起こりうる問題についてご紹介しました。次にどのような解決策があるか確認していきましょう。
もしアナログなやり方で作業をしているのであれば、新しいツールを導入してみるといいでしょう。代表的なものでは「電気CAD」。電気CADでは電気設計における回路図作成を効率よく行うことができます。また、回路図から情報を抽出することで部品表を作ることもあるので、回路図からミスなく落とし込むことができます。また、一般的なソフトですがエクセルを利用するのもいいでしょう。公式を入れ込んだフォーマットさえ作れば、必要なデータを入力することで、自動で所定の計算を行うことができるようになります。計算の他にも比較やグラフの作成など電気設計に役立つ機能が多いので、利用しない手はありません。
ミスをなくすためにはチェック体制の強化が必要不可欠です。作業者1人でできるチェックには限界があり、何かしらミスが生じるリスクが高くなります。そのため、2人、可能であれば3人でチェックできる体制を整えておき、二重三重のチェックをするようにしておくべきでしょう。
今まで使ってきた部品や設計仕様などをデータとして蓄積しておき、いつでも取り出せるようにしておくことで、作業スピードを上げミスを減らすこともできます。データとして蓄積しているなかに顧客の要求に近い設計仕様のデータがあれば、ベースはそれを流用して一部改良することで製造することができるようになります。一からすべて設計することに比べれば、非常に効率よく作業を進めることができるでしょう。
部品選定は多くの電気設計者にとって、できることなら早く終わらせたい作業かもしれません。しかし、述べたとおり部品選定のミスはプロジェクトに大きな影響を及ぼしかねません。本稿でご紹介したように適切なツールを利用するなどで正しく効率化を実現できれば、部品選定の作業を安易に省略することなく、スムーズに終わらせることが可能です。
参考: