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電気設計ツールの検討で忘れないでほしい3つのポイント

作成者: Admin|Oct 23, 2022 10:00:00 PM

インダストリー4.0、IoT、スマート工場、DXなど次々と新しい言葉が生まれています。その基本は「つながる仕組み」です。設計データ、センサーのデータ、計測データ、繋がるものはいろいろありますが、電気設計も例外なく製造全体の中でつながることが求められてきています。

今、多くの経営層や電気設計者が今まで後回しにされていた電気設計の標準化や効率化に目を向け始めています。そこで、電気設計ツールの導入検討で電気設計者に忘れないでほしい3つのポイントを紹介します。

電気設計の効率化を求められツール選定を始める

とある工作機器メーカーの電気設計部の伊藤部長は現在は20人の設計者を束ねている。いつものことだが納期は短く、手戻り作業も頻発し、残業が多い。大きな声では言えないが、ベテラン電気設計者の佐藤さんと鈴木さん頼りになっていて、若手の育成は後回し状態。忙しいのに先日、長年付き合っている制御盤メーカーの社長から、来年を目処に廃業の知らせを受け、他の制御盤メーカーを探す必要がでてきた。

この状況を知った上層部から、電気設計の標準化をすることにより、電気設計の効率化と制御盤の社内製造を検討するように求められた。

電気設計の知識の標準化と言われても、ウチの仕事は特殊だから簡単に標準化はできないはずだし、ベテラン設計者と制御盤メーカーに頼りっぱなしだったので…と伊藤さんは頭を抱える。

もちろんこれは架空の話ですが、日本の電気設計者の現状と近いのではないでしょうか。

電気設計者が「電気設計の標準化」を考えた時に、自社の電気設計をどう効率化、または標準化できるのかという問題につまずき、とりあえず効率化のために電気CADの入れ替えを検討する、というのが多くの流れです。

では、伊藤さんのような状況にある電気設計部門で、電気設計の効率化を上げるためにツール選定
を始めた場合、ツール選定で忘れないでほしい3つのポイントは何でしょうか。

①汎用CADではなく電気設計専用CADを選ぶ

ほとんどの企業では伊藤さんのように電気CADを導入しています。そのCADは電気設計に特化したCADではなく、汎用のCADであることが多いです。なかには機械CADを使っているという方も過去にはいました。

汎用CADを使った電気設計は「回路図を絵として描く」ことになります。設計者間でデータの共有がされていないために、仕事の属人化が進みがちです。例えば過去のあの設計は伊藤さんのパソコンに保存されていて、他の人がアクセスできない。や、設計者がそれぞれ同じ部品の仕様を調べて保存するなど。情報がクリアでないため、部署内で同じ作業を複数人が行っています。

コストの問題で汎用CADを選ぶと、結局また同じ問題に直面します。

電気設計の時間とコストの短縮のためには、まずは電気設計専用のCADを選んでください。
電気設計に特化したツールで回路図を作成すると、回路図がデータを持つことができます。例えば、シンボルはただの絵ではなく、そこにどんな部品を使っているのかという部品情報も保持させることができます。電気設計図面のデータ化で、複数のページから成る電気設計図が1つのファイルとして保存されます。ページ間の整合も取れるので、1枚1枚手作業で行っていた修正やページの挿入作業が1か所の修正で済むようになります。

部品データも共有すると、社内で誰かが調べた部品情報をほかの人が使えるようになります。部品リストの作成や、今まで属人化し個々に任されていた業務内容を1つ1つほぐしデータベースに登
録すること時間のかかる作業ですが、それ以上に得られるメリットが多いです。

②今と同じやり方?製造のことも考えて!

電気設計CADを入れ替えるときに、「今と同じやり方ができるか」という視点だけでなく、ぜひ「その先何を目指すのか」も考えてほしいと思います。

長年付き合っている制御盤メーカーに製造は任せているので、今と同じ設計を新しいツールでできればいいんです。というかもしれません。でもいつもの図面を提出して、いつもと同じように、とお願いして製造してくれる制御盤メーカーも何かのタイミングでいなくなってしまう可能性もあります。製造を請け負ってくれる新しいメーカーを探すとき、今と同じ図面では情報不足かもしれません。必要な情報が図面にない場合、手戻りにつながります。

電気設計専用CADを使うと、全設計者が共有データを基にして設計作業を行うと、誰が設計しても同一の成果物が得られるようになります。回路図・レイアウト図・部品表など図面内で100%整合が取れるようになります。BOMは自動生成されるため、発注部品の数量を手作業で数えたりする手間は不要です。

製造で必要になる図面の標準化ができ、必要なドキュメントが自動で作れる。必要な情報がきちんと乗っている図面を新しい協力会社と共有することができれば協力会社の幅も広がります。

③ライバルと協力企業は国内企業だけ?

国内市場・海外市場など目まぐるしく変化する現在の状況で、国内/海外だけに頼るものづくりではなく、柔軟に変化できる体制を整えることも考えたいですね。

日本のように多少あいまいな図面を渡して、完成品を納品してくれる制御盤メーカーは海外にはまずいないでしょう。日本国内だけで通じる図面の書き方ではなく、IEC規格を反映した国際標準化は、海外リソースを使用して設計・製造・保守を考えると必要不可欠です。

電気設計専用CADは製造現場とつながりたい

先に挙げたように、様々なものをつなげようとする製造業の変化が、電気設計にもスポットを当てるきっかけになりました。電気設計の効率化を上げるためにCADを入れ替え、そのあとのつながる先も考えてください。

将来的に電気設計がつながる先は間違いなく生産現場だとEPLANは考えます。電気設計から制御盤内のレイアウト、多芯ケーブルの接続色・接続先、3Dで自動側長したデータを元に電線加工まで一連の工程をすべてデータでやりとりできればヒューマンエラーは確実に削減できます。手戻りにかかってたコストも削減できます。コピペで図面やドキュメントを作っていた設計者の工数も削減できます。電気設計者は開発案件などに時間を割けるようになり、次世代の製品及び生産力の競争力に注力できるようになります。

掲載日:2022年10月21日