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電気設計を効率的に行うカギは「標準化」- 世界標準の電気設計CAD EPLANブログ

作成者: Admin|Jan 18, 2021 11:00:00 PM

設計業務を進めていくとき、多くの時間と手間を費やすことになるのが図面作成です。電気設計においては配電盤・制御盤の外形図や回路図が該当します。設備の制御機構は盤図作成の時点でほとんど決定されるため、作成には十分な検討が必要です。

しかし、対象となる負荷や計器の点数が多いと、書き起こすだけでも膨大な時間が掛かります。この時、過去の図面を活用できれば、この作図や検討にかかる工数を大幅に減らすことが可能となります。

もくじ

 

製造業で標準化は困難?

各企業は製品を作り出すため、様々な設備を保有しています。なかには安全性や要求品質に応じた特殊な仕様であったり、ユーザーが試行錯誤の末に作成したプログラムやパラメータを内蔵してあったりする場合があります。
また同一のサプライヤーが設備を導入したとしても、導入先のユーザーによって仕様やパラメ―タが異なるため、そういった点を踏まえるとすべてにおいて標準化するというのは簡単ではありません。

しかし、製造業の工場やプラントでは汎用的な装置を組み合わせることが多く、同じ会社や事業所の中においては、簡単に流用することができるケースも多々あります。

例えば、ポンプやモーターなどの動力回路は、遮断器・電磁開閉器・電線などの汎用的な部品や材料が使用されており、慣れた設計者であれば回路図をすぐに書き上げることが可能です。

ほかにも「一度導入された設備をもう一台新たに導入することになった」という場合は、すでに図面が存在するため、それを流用すれば設計工数を減らすことができます。

もう少し効率をあげるためには

過去の図面のコピー」という作業は、電気設計者であれば誰もが経験済みでしょう。

コピーや使い回しというとネガティブなイメージが付きがちですが、実際には機器同士の結線ミスなどを無くしたり、作業時間を短縮したりするのに効果的なので、悪いことではありません。

一方で図面を流用したとしても、ページ番号、線番、機器の型番、部品表の入力作業などは必要になります。面倒だなと感じていても、こういった作業を一つひとつ手打ちでおこなっているケースが多いのではないでしょうか。

手作業による入力では、ミスをゼロにすることはできません。あるミスが原因で手戻りが発生すると、さらに余分な作業が増え、忙しい設計者を苦しめる原因になります。
このような手間を省略、手戻りを防止するためにも、再利用可能な図面の標準化が重要になってきます。

図面を標準化することのメリット

過去図面のコピーをしているということは、その図面がある意味で「標準」になっているということです。それらの図面をどこでも使いたい時に使えるように「標準化」することで得られるメリットは大きく2つあります。

  •  設計工数の削減
    電気回路図の作成はJISに指定された回路記号を多数用います。パーツ類を1つずつ一覧表からコピーするより、何度も使う回路をテンプレートとして使用するほうが簡単です。
    またJISに指定のない電気機器類も、結線図が標準化されていれば、一から作る必要はありません。部品の組み合わせや、すでに決まっているルールなどもテンプレートに盛り込むことで、さらに設計効率をあげることができます。
    EPLANでは何度も使う回路図のテンプレートを「マクロ機能」を呼びます。(ちなみにEPLANでは、ページ番号、線番、機器の型番、部品表の入力作業は自動で行われます!)
  • 設計不良の防止
    標準化されている回路図は、導入済みの機器などで動作実績が保証されていたり、もしくはすでに十分に検討されていたりするため、実際の稼働時に問題となることが低いと言えます。電気設計者は設備の動作・制御について責任をもつ立場にあるため、大きなメリットとなります。
    この点についてドイツの制御盤メーカーの導入事例で触れられていました。
    「保存されているマクロ(回路図)は、すでに使った実績がありますので、問題が起きません。そのため、設計品質を改善できるという保証になります。設計者が電力値などを後で変更する際にも、時間のかかる込み入った作業を行う必要はありません。」

参考:【制御盤メーカー】1台限りの製品でも標準化 HPS社(ドイツ)導入事例|EPLANブログ

イチから設計していますか?

設計業務を進めるうえで、設計者が回路作成にかけられる時間は限られているため、一般的にはすでに存在する図面を流用しようと考えるものです。

多くの負荷が接続される盤を設計する場合、動力回路を1つ作成すれば、あとは回路を必要な分だけ複製することで作図の手間を省くことが可能です。ほかにも自動制御に用いられるPLCの入出力回路、計測機器用の計装回路も同様に標準化できます。
その後は負荷の名称、容量などのスペック、電気機器の型番や定格値、各配線の線番やケーブルを決定することで、ほぼ形ができ上がります。

EPLANでは、プルダウン式メニューから要件を選択するだけで独自のルールなどが使われた回路図を自動で生成できるEPLAN Cogineerというソリューションがあります。

参考:Cogineerのすべてがわかる!回路図自動生成 Cogineer機能紹介ウェビナーレポート

標準化=再利用しやすい形

Cogineerのように、基本回路のようなものを必要な数用意しておき、実際の回路作成において、値を選択するだけで回路作成の大部分を終えることができます。

「負荷のTag番号を打ち込むだけで関連した回路の線番が自動で割り振られる」
「PLCの各ユニットの先頭番地から端子アドレスと線番が割り振られる」というようなマクロをCAD図面に搭載できれば、より効率化ができるでしょう。

※PLCの各ユニットのアドレスを自動で割り振るには、PLC&Bus Extension (Select+ のElement)が必要です。

設計作業の効率化でほかの作業に時間を割く

設計者は回路作成業務だけでなく、設備全体の動作フローの検討や、社内外の関係者との打ち合わせや管理業務なども同時にこなします。PLCやタッチパネルのある設備ではソフト設計を担当することもあるため、なおさら図面を引くだけでは済まないでしょう。

図面作成にかける時間をできるだけ少なくすることによって、設計者は、設計・開発に時間をかけることができて、よりよいものを作ることができます。

さらに、その後の盤製作や電気配線工事をおこなう作業者にとっても準備を早くに始められるため、納期遅れを起こしにくくなります。
電気設計の効率化は、設計者がほかの作業に時間を割くという大きなメリットがあります。