工場(プラント)には多くの機器があります。それらを配管や配線、ベルトコンベアなどの連結機器と連動して工場のプロセスを設計するのが、プラント設計という仕事です。機器の設計のほかにさまざまな関連知識が必要となり、幅広い対応力が求められます。
そんなプラント設計の中でも、電気設計を行う「プラント電気設計」という仕事があります。機器個別の電気設計とは異なるこのプラント電気設計では、どのような設計を行うのかを解説します。
工場は、さまざまなものを生産するために建設されます。プラント設計は、まずどんな工場(プラント)を設計するのか、という基本設計を行います。
どんなものを一日にどれくらい生産するのかというプロセス設計から始まり、そのためにはどれくらいの動力電源を準備するのか、連動する機器の制御方法はどのようなものにするのかなど、基本的な大枠の部分から固めていきます。この段階ではあまり細かなことにこだわらず、おおまかな仕様を出していきます。
次に、決まった大まかな仕様に適した機器があるのかを検討します。ここまではまだ基本設計の範囲ですが、このときに初めて機器の価格などの具体的な予算などを検討します。 機器が特注で製作しなければならないものなのか、代替できる一般市場に出回っている機器を使用するのか、といった検討も行います。予算に合わない、実現できる機器がないなどの場合、大まかな仕様から見直すこともあります。
同時に工場の中に機器が置けるのかという配置検討も行います。配置検討でも、スペースの関係で大まかな仕様を見直す場合もあります。
基本設計が完了したら、配線や配管などを設計する詳細設計に入ります。機器から必要な動力線や制御線、制御する盤などの必要と思われるすべてのものの配置や施工方法などを検討します。
ここで注意することは、基本設計で決定した事項を守りながら行うため、仕様にないもの(例えば通信方式など)は盛り込まずに行うということです。
しかし一方で、個別機器を基本設計で選定していてもプロセス上で中間機器が必要となったような場合、詳細設計の段階で導入する場合もあります。
こうして設計を進めていき、詳細設計が完了したときには、図面に基づいて工場建設の施工が始められる状態が一番の理想です。
設計者の技量や、設計期間が短いなどの理由で、基本設計に設計ミスが発生しているときもあります。その場合、基本設計の軌道修正を行います。
詳細設計の段階では、基本設計の大方針におおむね従いますが、詳細設計を進めていく段階で、基本設計のミスに気づくこともあります。こうした場合には、基本設計の担当者との打ち合わせを行い、基本設計の内容を変更することもあります。
また、詳細設計を行っていた段階で予算を大幅に超えたような場合にも、同じような軌道修正を実施することがあります。
詳細設計まで完了したら、プラント電気設計は完了です。次に機器製造後の製品検査に移ります。
製品検査とは、基本設計時の大まかな仕様を満たす機器であるかを検証する作業です。検査の進め方は、メーカの承諾書類の内容を満たしているか、JISなどの基準を満たしているかといった内容を実際に検証します。
検査に合格したら、実際に機器の据え付けや配線、配管工事をします。これらは設計というよりは施工の部署などが主体となって行います。
施工が完了したら実際に工場を稼働させるのですが、その際にも基本設計どおりに機器連動が行えるのかといった現地調整をします。現地調整は、基本設計をする設計の部署が主体となって行うことが一般的です。
ことあるごとに設計としての見解を求められ、設計以外でも機器の仕様を検査する場面や、現地調整時に技術的な見解を求められるのがプラント電気設計の仕事です。
検査や現地調整は設計以外の部署で対応する場合もありますが、トラブルが起こった際には技術担当者として対応に当たる場合が多いです。プラント電気設計職はプラント建設時にさまざまな人から頼られるような存在であり、そのため多くの知識が必要となります。
基本設計ではEPLAN PrePlannning、詳細設計ではEPLAN ElectricP8やEPLAN Fluidを活用することができます。すべてのEPLAN製品の設計データはEPLANプラットフォームで一元管理されています。つまり、PrePlannningで使った設計データを、そのままEPLAN ElectricP8による詳細な電気設計で活用できます。
ちょっと古いバージョン&英語なのですが…参考にPrePlannningの紹介動画
参考:7 Steps to work with EPLAN Preplanning 2.6: Planning from PCT loops|EPLAN You Tube
PrePlannningで設計したデータをもとに、P8で電気設計を行います。流体動力設計であればFluidも活用できます。
基本設計と詳細設計をEPLANで統合することで、設計プロセスの労力を減らすだけではなく、データの一貫性によってプロジェクトの品質を向上させることができます。 例えば基本設計で配置したポンプを動かすためのモーター回路図をドラッグアンドドロップで詳細設計図に挿入できます。
レポートも自動で作成できるので今までのように、別に手作業でExcelを作成するという工数はなくなります。
EPLAN PrePlannningとEPLAN Electric P8の連携動画(日本語)は鋭意製作中です! 製品総合カタログはこちらからダウンロードできます。