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「Edgecross(エッジクロス)」とは?エッジコンピューティングをオープン化して製造現場のIoT化を進める鍵 - 世界標準の電気設計CAD EPLANブログ

作成者: Admin|Feb 22, 2022 1:29:57 AM

2017年、制御機器やITの大手企業により、「Edgecross(エッジクロス)コンソーシアム」という団体が設立されました。この団体の設立で、製造現場のIoT化はどのように変化するのでしょうか。 ここでは、FA(Factory Automation)の現状や問題点とEdgecrossコンソーシアムの目的や今後の展開について解説します。

* この記事は2018年3月2日にEPLAN Japan 公式ブログに掲載した記事を再編集、再掲載いたしました。

Edgecrossとは何か

Edgecross(エッジクロス)コンソーシアムは2017年11月6日に設立が発表された団体です。 Edgecrossコンソーシアムは「Edgecross」を作成・普及させ、工場をはじめとする製造現場のIoT化をより推進することを目指しています。「Edgecross」とは、製造現場とITの間のエッジコンピューティング領域のオープンなソフトウェアプラットフォームの名称です。 Edgecrossコンソーシアムは、次のことを目的としています。

  • エッジコンピューティング領域で企業・産業の枠を超えた標準的でオープンなプラットフォーム仕様を策定すること
  • 策定した仕様でプラットフォーム「Edgecross」を作成し、日本から世界へ発信して普及させること

Edgecrossコンソーシアムにはどんな企業が参加しているのか

2022年現在、オムロン株式会社、トレンドマイクロ株式会社、日本電気株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、日本オラクル株式会社、株式会社日立製作所、三菱電機株式会社の7社がEdgecrossコンソーシアムの幹事会社です。会員企業は350社を超え、会員各社から提供される豊富なデータコレクタ、エッジアプリケーション、ITゲートウェイなどを目的に応じて組み合わせることで、製造現場のさまざまな課題を解決できます。

Edgecrossコンソーシアムには、工場の製造ライン制御システムや産業用ロボットの大手企業、さらにITの大手企業も参加しています。そのため、FA分野とIT分野が協調して工場のIoT化を支援することが期待できます。今後も参加企業を募集し、研究機関や業界団体との連携を図る予定です。

Edgecrossの目的は何か

FAの現状

現在、工場の製造現場は大きくIT化が進んでいます。 製造現場では以前から、FAと呼ばれ工場や製造ラインなどの製造現場の生産システムを自動化するシステムが使用されています。FAでは工場単位、企業単位のIT化は進んでいますが、工場や企業、使用している機器のメーカーごとに方法が異なります。そのため、ほかの工場や企業との連携はスムーズに進まず、連携させるには複雑な構成が必要になります。また、それぞれの仕様が異なるので、汎用的なITシステムの導入が難しくなっています。

IT化はFAとは別に広範囲な分野で普及してきたため、FAの現場でITを使用するためには、FAとITシステムをつなぐ基本システムが必要になります。この基本システムの部分がエッジコンピューティング領域(エッジ領域)と呼ばれています。

エッジ領域では、FAのセンサーや機器から取得したデータを集約し、必要なデータを抽出してデータセンターやクラウドなどにあるITシステムに送ります。異常検知や緊急停止などのリアルタイムで緊急性の高い処理はエッジ領域である程度の処理ができます。エッジ領域には製造現場での効率を上げ、トラブルをなくすためにより高い機能が求められています。

EdgecrossでFAはどう変わるのか

Edgecrossコンソーシアムがエッジ領域のソフトウェアプラットフォームを開発し、これを多くの現場に普及させることで、次のようなことが期待できます。

  • ハードウェアに依存しないFAとITシステムのシームレスな連携
  • 産業用PCをはじめ小型のシステムで動作するFAや、IoT化された工場の実現
  • 多様なアプリケーションの活用により、エッジ領域で可能な処理の増加
  • リアルタイム処理やフィードバックの高速化
  • より詳細な製造現場でのデータ収集
  • 生産現場のデータを階層化・抽象化してデータ活用

Edgecrossコンソーシアムで期待されるもの

Edgecrossの今後の展開

Edgecrossコンソーシアムでは、エッジ領域でFAとITシステムを連携させるためのインターフェースとなる基本システム「Edgecross」を開発し、販売しています。

Edgecrossコンソーシアムは企業や産業分野の枠を超えて協力し、各社ごとのFAシステムのギャップをなくすことが期待できます。
「Edgecross」はオープンなプラットフォームとして自由にアプリケーションを開発可能です。エッジ領域で多様なアプリケーションが利用できるということは、エッジ領域で完結できる処理が増加するということです。Edgecrossコンソーシアムではプラットフォームの仕様や開発キットを提供し、アプリケーションを販売できる「Edgecrossマーケットプレイス」も提供しています。

Edgecrossの将来的な展望

Edgecrossコンソーシアムでは、「Edgecross」がFAの標準的なオープンプラットフォームになるように普及を推進していきます。
「Edgecross」はオープンプラットフォームであることがポイントです。これによって多くの企業の参加を期待でき、普及が進むからです。将来的には「Edgecross」が日本発のオープンプラットフォームとしてグローバルに普及し、日本からFAのIoT化を進めていくことを目指しています。
「Edgecross」は製造現場での使用が主に想定されていますが、いずれはほかの産業・業界への拡大も視野に入れています。

製造現場のIoT化を進め、よりオープンな環境にすることで製造現場の効率化を目指す

Edgecrossコンソーシアムの設立により、企業や業界の枠を超えて製造現場とIT企業が協調し、エッジコンピューティング領域をよりオープンな環境にしていくことが期待されています。この改革が進めば製造現場はよりIoT化が進んで効率的に稼働できるからです。

Edgecrossコンソーシアムでは、これからも参加企業を増やし、日本国内だけでなく海外企業も取り込みながら、よりグローバルでオープンなエッジコンピューティング環境の構築を目指しています。

参考: