デジタルツインとは、現実に存在するものについてデジタル的に双子のような存在を作り上げ、バーチャル上で再現することです。
例えば実際の機械がある動作をすると、PCの画面内ではデジタルツインが全く同じ動作をします。この仕組みを利用し多岐にわたる分野での活用を想定した研究が進められています。
*この記事は2018年10月2日にEPLAN Japan 公式ブログに掲載した記事を再編集、再掲載いたしました。
さまざまな分野での取り組みのなかでも特に注目されているのが、製造業での活用です。通常では予測が難しい変化点やトラブルの可能性を、デジタルツインによって事前にテストしたり、各工程に必要となる時間を確認したりすることができます。さらにVRやARの技術と結び付き、多くの企業がデジタルツインを活用した取り組みを始めています
製造業へのIoT活用をインダストリアル・インターネットとして提案したアメリカのゼネラル・エレクトリック社は、航空機のエンジン保守にデジタルツインを活用しています。フライトデータや天候の情報に加え、航空機のエンジン各所に設置されたセンサーからの情報をもとに、エンジンごとのバーチャルモデルがデジタルツインとして作られます。これにより、従来は困難だったエンジンごとの状態をリアルタイムで把握することを可能としています。
このように、世界的に注目されるデジタルツインですが、「現実とバーチャルが対になっているシミュレーション」は、従来からありました。これとは何が違うのでしょうか。また、デジタルツインの導入には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
これらを考えると、デジタルツインは大げさなものではなく、より身近で活用できるものだと分かります。そしてこれはVRやAR、MRの技術を通して、ヘッドマウントディスプレイ等の身近なハードウエアで活用できるようになってきているのです。
このようにさまざまな変革をもたらすと期待されるデジタルツインは、CADとIoTが融合した姿とも表現されます。デジタルツインは、IoTにより取得した情報を通し、現実からバーチャルへと事象を再現します。これまでも工場や設備のためのCADはありましたが、これにIoTを組み合わせ連続した事象を再現できるのが、デジタルツインの効果です。
またデジタルツインでは、工場内の電気系統、制御盤や設備などもバーチャル上に再現することが可能です。これまで機械設計CADと電気CAD、そして建設系CADはそれぞれ別の分野として発展してきました。これらがデジタルツインを通し、ひとつのシミュレーションモデルとして結び付く可能性を持っているのです。
3D CADは物の形を設計するためのものでしたが、これからは総合的・連続的な製造モデルを設計するためのものになっていく可能性もあります。デジタルツインはCADの進化系、たどりついた究極の形のひとつかもしれません。
参考: