日本電機工業会(JEMA)から2022年度版「制御盤製造業界向けDXガイドライン」が公開されました。制御盤製造業におけるバリューチェーンを最適化し、デジタル技術活用に向けた方向性とDX推進の指針として文書化されたガイドラインです。
制御盤製造業界は今、世界経済や産業界の劇的な変化の中にあり、いかに柔軟かつ迅速に対応できるのかが問われるようになりました。2030年の制御盤のあるべき姿について、2015年度より日本電機工業会スマートマニュファクチャリング特別委員会によって議論がされ、今後重要となる対応策の提言書をJEMAのサイトで一般公開しています。
その2022年度最新版になる、2022年3月31日に公開された「制御盤製造業界向けDXガイドライン」の内容の一部を要約してご紹介します。
制御盤製造のバリューチェーンには今後DX化を進める上で「壁」となっている様々な課題があります。
引用:一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)
- 仕様の提示・確認:表現やフォーマットの違い、伝達手段、部品及び回路の指定、仕様作成者のこだわり
- 見積もり:見積もりの標準化・共通化が困難
- 受注:商取引をおこなうことの障壁
- 設計・開発:設計の属人化、機能要求の多様化、設計変更内容が盤発注者へ反映されない、設計と製造との連携不足、部品表の妥当性、完成図書の信頼性、機械設計の変更による影響
- 調達:作業の煩雑さ、調達先の選定
- 製造:熟練者からの技術伝承、配線作業、ラインによる組立作業、慣習作業を変化させる難しさ、BCP 対応のための管理の複雑化
- 社内検査・顧客立ち合い:社内検査時の修正、顧客の立会い
- 出荷・納入:輸送の困難さ、配送手配
- アフターサービス:ベテランのノウハウへの依存
JEMAでは2016年10月に発足した「制御盤2030WG」にて制御盤製造の労働生産性向上と高付加価値化について、2019年11月に発行したホワイトペーパーの中で将来図についての提示をしています。さまざまな課題解決につながる推進施策をまとめ、DX度チェックリストの例も挙げており、実際に自社の実態を整理していくこともできます。
2019年に「IEC 61131-10」が国際規格となり、異なるPLC間で準拠したフォーマット形式のデータ交換が可能になりました。AutomationML(IEC 62714)により、電気CADの各種エンジニアリングツール間でのデータ再利用が進み、ツール連携はさらに加速していくことでしょう。クラウド活用を取り入れた、シームレスで企業の垣根を超えた戦略的データ連携が、制御盤業界の将来を変えていくのです。
「制御盤2030」、「制御盤製造業界向けDXガイドライン」のPDFは、一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)のサイトにてダウンロードできます。
参考資料、引用、出典