2026年5月にミュンヘンで開催されたEplan Next26では、多くの新機能が発表され、その中でもEplanソフトウェア初となる人工知能(AI)機能が大きな注目を集めました。現在、この「Eplan Copilot」はeplan.comに登録することで利用することができます。
ダッシュボードには「Eplan Copilot」と書かれた新しいタイルが表示されます。画面上部の目立つ位置に配置されていますが、外見は驚くほどシンプルです。
しかし、そのタイルの先に広がるのは、想像以上の機能です。このAI搭載「アシスタント」は、エンジニアリング業務の手間を減らし、効率よく作業を進められるようにすることを目的としており、Eplanのソリューション群とも完全に調和しています。
Eplan Copilotは、いわゆる反復作業、つまり繰り返し行われ、常に同じ手順を踏むプロセスをユーザーから取り除くことで、この目標を達成することを目指しています。この実現に向けて、Eplanのエコシステムの中でAIをどのように活用すべきかを見極める、徹底した検証が行われました。
一過性のブームに流されることなく、時間をかけて、しっかりとした基盤を築いてきました。とEplan CEO Sebastian Seitzは、自社のアプローチを説明しています。
これは、いわゆる「シンプルな」AIソリューションと、エンジニアリング分野で求められるAIとの違いを示しています。人工知能は現在、日常生活のさまざまな分野に浸透しています。ChatGPTなどの大規模言語モデルによる質疑応答も、すでに一般的なものとなりました。しかし、エンジニアリング分野においては状況が異なります。Eplanでは、いわゆる試行錯誤に頼るアプローチは採用できないと考えています。AIの出力はあくまで確率的なものである一方、エンジニアリングでは厳密な正確性が求められるためです。
こうした考えのもと、Eplanは綿密に設計されたアーキテクチャの上に、安全で持続可能なAIソリューションを構築するというアプローチを採用しました。クラウド統合、ナレッジマネジメント、デスクトップ環境の統合、パートナー連携といった要素がアーキテクチャ設計に反映されています。そして、そのすべてを最初から高い完成度で整える必要がありました。
Eplanはこれを「表面的ではない、本質的なイノベーション」と呼んでいます。
その出発点となるのは、電気設計者が直面する課題を深く理解することです。例えば、システムや設計が複雑化し、プロジェクトの規模も拡大していく。機器同士の接続は増え続け、扱う情報の量も急増する、といった課題です。こうした状況を踏まえ、Eplanが導き出した答えは、必要な知識を適切なタイミングで容易に利用できるようにすることです。
この考えに基づいて設計されたのがEplan Copilotです。
その前提となるのは、すべての回答が正確であること、すなわちAIが「幻覚」を起こさないことです。Eplan Copilotは、検証済みの知識のみに基づくとともに、関連性が高く検証された情報をもとに構築されており、正確な回答を提供できるよう設計されています。また、このアーキテクチャにより、顧客は自社やサードパーティの知識を追加することも可能です。
Eplan Copilotが設計作業を効果的に進めるためには、「スキル」と呼ばれる機能が必要となります。Eplanでは、基本的なスキルをすでに組み込んでいます。
データセキュリティには特に重点が置かれています。この点については、Copilotも他のEplanソリューションと同様です。顧客のローカル環境からAIへのデータ通信は暗号化されており、クラウドインフラもISO 27001、TISAX、SOC 2、MLPS 2.0などの認証が示す通り、最高水準のセキュリティ基準を満たしています。
このように、Eplanは信頼性の高い、専門的に運用されたインフラを基盤として、潜在的なリスクに対応しています。
参考:Eplan Trust Center |Eplan Global Website
これまでに紹介してきた要素は、現在「Eplan AI」として統合されています。
開発初期から携わってきた、Eplanのテクニカルプロトタイピング責任者Marcus ReitzはEplan Copilotについて、エンジニアリングソリューションにAIを活用するという同社のコンセプトを体現するものであり、Eplanのエコシステム向けに特別に設計されていると説明しています。
例えば、Eplan Copilotでは、回路図の検索やEplan Data Portalとの連携、サポートチケットの作成などが可能です。Copilotはこれらを実行する際に、情報検索が必要か、機能の実行が必要か、あるいはその両方が必要かを判断します。
Marcus Reitzこのアシスタントの最大の利点として、クラウドサービスとして利用できる点を挙げています。Eplanではエンジニアリングツール内でローカルにAI機能を提供するだけでなく、中央集約的に管理し、グローバルに利用可能とする統合方式を採用しています。これにより、顧客側で新たなインストールを行うことなく、機能を迅速に展開できるようになります。
さらに、Eplanには「Eplan Data Portal」や「ePocket」をはじめとする独自の広範なサービスエコシステムがあります。Copilotはこれらのサービスと段階的に連携し、将来的にはEplanエコシステム全体で利用可能になる見込みです。
Epanのインフラソリューション担当バイスプレジデントであるSven Müllerは、Eplan Copilotについて、単なる個別製品ではなく、プラットフォーム戦略の中核を担うコンポーネントであり、これによってEplan全体の使いやすさと機能の充実が図られると説明しています。
同氏はまた、Copilotの今後の展開について、Eplan Electric P8内で能動的にアクションを実行できるようになる構想に大きな魅力を感じていると説明しています。具体的には、単に知識を提供するだけでなく、Copilotが実際の作業工程を引き受け、その結果をわかりやすく整理・要約する役割を担うようになるとしています。
また、適切なRittal製冷却ユニットの選定といったコンポーネント選定機能についても言及しており、エンジニアリングのロジックとパートナーのデータが組み合わされる点を評価しています。こうした機能は、Copilotが将来的に真の業務アシスタントへと発展していく可能性を示しており、すでに実用的な価値を提供し始めています。
現時点では、このビジョンはまだ発展途上にあります。しかし、EplanはすでにAIをエンジニアリングに統合する第一歩を踏み出しています。関係者は、今後この開発がさらに加速していくと確信しています。
Eplan Copilotは、知識ベースを継続的に拡充し、新たな機能を積み重ねていくことで、より高度なサポートを提供していくと見られています。
コパイロットからパイロットへ、自動化から自律化へ―つまり、人のサポートにとどまらず、判断や実行まで担う存在へと進化していくことが、Eplanの描くビジョンです。
Eplan Copilotや、エンジニアリングプロジェクトにおけるAIの活用方法について詳しく知りたい方は、当社のHow To動画をご覧ください。
本記事はThis is: Eplan Copilot|Eplan UK Blogを読みやすい日本語に翻訳、一部加筆をしています。
公開日:2026年5月29日