制御盤設計のモジュール化とは―制御盤製作の将来像

日本電機工業会(JEMA)は、変わりゆく製造業の姿として「製造業2030」を提言しました。このなかでは、制御盤設計のモジュール化についても取り上げられています。制御盤のモジュール化とはどのような意味を持つのでしょうか。

制御盤のモジュール化

モジュール化とはどのようなことを指すのか、そこから振り返ってみましょう。

モジュール化とは

本来、モジュールとは尺度を指す言葉です。ここから派生した用途として、「基準寸法にしたがって交換可能な構成要素」のこともモジュールと呼ぶようになりました。

このような意味で「モジュール化する」とは、機能的なひとつのまとまりとして構成要素を規格化し、標準化していくことをいいます。

例えば制御盤においては、客先仕様(物理的なスペースの制約など)により一品一様の機器レイアウト構成となります。

しかし従来のこの方法では、機器に不具合が発生した場合や、機器の更新や変更が必要となった場合に全体に箇所を特定するのが困難です。

このようなことを避けるため、特定の役割を果たすための機器のまとまりを作り、そのまとまりをひとつの構成要素と見なして取り扱うのがモジュール化です。まとまりごとの連携性を少なくすることで、構成の組み合わせ、交換の際の自由度が確保されます。

盤外作業を考慮した制御盤設計

このように、制御盤の設計・製作においてモジュール化が注目されているのには、不具合防止のほかにも作業効率化の効果が大きいこともあります。

多芯ケーブルを用い外部機器と接続する際、多芯ケーブルをバラ線として一本ずつ配線する事が主流です。 設計段階で盤外への配線長の算出を行う事、電源線・信号線をバラ線でなくコネクタを使用する事。 上記作業を設計段階で行う事により、設備の解体・復元を容易にする事が可能です。

制御盤のモジュール化設計

では実際に、制御盤のモジュール化設計とはどのように行われているのでしょうか。一般的に、「制御盤のモジュール化」という言葉は2つの意味で使われています。そのひとつが「構成回路のモジュール化」であり、もうひとつが「作業のモジュール化」です。

構成回路のモジュール化

新規案件を設計する場合、過去の図面を流用するケースが多いのが現実です。これは既に個別の回路がモジュール化されている事を意味します。該当回路の過去図面を探す工数を省き、モジュール化された回路図を再利用可能なライブラリとして扱う事で設計工数の削減を可能にします。

作業のモジュール化

作業のモジュール化は、機器のモジュール化と内容は似ているものの、意味合いは全く異なるものです。 前記の盤外作業(機内配線作業)については海外に比べ標準化されていません。 海外では設計のみならず配線作業も効率化されており、現場任せの日本のやり方と比べ確実に工数が削減されているケースがあります。

モジュール化設計によるメリット

制御盤をモジュール化して設計することで得られるメリットをまとめると、次のようになります。

  • トラブル時の原因究明を容易化
    トラブル発生時に、どのモジュールで不具合が発生しているのかが分かりやすくなります。そのため、一つひとつの機器をテストする必要はなく、原因の究明に要する時間を短縮できます。
  • 工数削減
    作業のモジュール化を進めることで、盤内の作業は格段に少なくなり、制御盤組み立ての工数も削減されます。これはリードタイムが大幅に短縮されることを意味します。
  • 品質向上
    専門の人員がモジュール製作に当たるため、モジュール単位で見たとき、より高度な技術で製作されることになります。

制御盤の将来像

従来、部品点数が多く配線が複雑だった制御盤は、産業用イーサネットの開発と普及により、I/Oの簡易化が進んでいます。さらに近い将来、機器のモジュール化が取り入れられることでさらに小型化すると予想されます。またこれと同時に、作業のモジュール化が進むことで、より効率的な制御盤製作が実現するでしょう。

参考:

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