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電気設計者の教育問題とは?設計現場における技術伝承の課題と解決策 - 世界標準の電気設計CAD EPLANブログ

作成者: Admin|Apr 4, 2018 4:00:00 AM

電気設計に限らず、設計現場において技術者の教育、つまり「技術の伝承」は、企業だけでなく業界にとっても大きな課題です。熟練設計者はいつか必ず現場を離れることになりますが、企業は存続していかなければなりません。この技術の伝承がうまくいかなければ、企業の競争力は低下することになるでしょう。これは業界全体の衰退にもつながり、国際競争力の低下は日本全体の問題ともいえます。今回はそんな、設計分野における技術の伝承について解説します。

設計現場における技術伝承の課題

まず、設計現場における技術伝承には、どのような課題があるのかをご紹介しましょう。技術伝承の課題とは、「うまく技術伝承ができていない」こと。もちろん事業所によってはうまく行えているところもありますが、まだまだ苦慮しているところは多いようです。それでは、なぜうまく行えないのでしょうか。

人材教育は「OJT」が主体

その原因をよく理解するために、技術伝承の現状をご紹介しましょう。
設計現場における人材教育は、大きく「OJT」と「Off-JT」の二つに分けることができます。

OJTは「実際に仕事をしながら訓練する」というもので、多くの企業で行われている教育方法です。

一方Off-JTは、職場以外の場所で訓練を行うことで、入社時の導入研修や社外講習会などが該当します。基本的にOff-JTは補完的に用いられており、企業規模に関係なく人材教育の大部分を占めるのがOJTです。つまり、技術伝承がうまく行えていない現場では、このOJTに問題がある可能性が高いと考えてよいでしょう。

OJTでの問題点

なぜOJTがうまくいっていないのか、原因は現場によってさまざまのようです。代表的な問題点は以下の通りです。

  • 熟練者の人数不足
  • 技術をうまく文章や数値に表すことができない 
  • 熟練者は、要点を分かりやすく伝えるのが苦手な人が多い 
  • 自己啓発に消極的な若者が多い

熟練者の人数が不足し、「教える側」の人手が足りないといったものや、技術を資料として残そうにもうまく文章や数値に表すことができないといったものがあります。また、熟練者は「勘」や「コツ」を感覚的に習得しており、要点を分かりやすく伝えるのが苦手な人が多いようです。さらに、「教わる側」である若年層も、自己啓発に消極的な人が多いといった声もあります。

技術伝承のためのポイント

このような現場でうまく技術伝承を行っていくには、どうすればよいのでしょうか。技術伝承がうまくいっている現場では、何らかの工夫を凝らすことにより問題点を解決しました。次は、そんな技術伝承のためのポイントをご紹介しましょう。

熟練者の確保

熟練者が不足している場合は、どうにかして熟練者を確保することが重要だといえます。この点がうまくいっている企業では、定年退職した熟練者をアドバイザーとして再雇用しているようです。定年したからといってすぐに現場から離すのではなく、企業側としても引きとめることが技術伝承におけるポイントとなるでしょう。

技術の見える化

技術を資料として残すことで人材不足を補うことが可能です。ただ、ここでは技術をうまく文章に表せないという問題が発生します。そのような場合は、無理に文章で表そうとせず、写真やイラストなどを多く用いてマニュアルを作成してみましょう。一度マニュアルが完成すれば、あとはマニュアルを中心に技術伝承を行えます。これにより、要点を分かりやすく伝えるのが苦手な熟練者ばかりでも技術が伝わりやすくなるはずです

設計の標準化

設計の現場では、「熟練者によってやり方がバラバラ」ということが起こり得ます。このような場合は、技術の見える化をしようにもうまくいきません。そんなときは「設計のやり方そのものを大きく変える」ことによって解決します。それが「設計の標準化」です。熟練者によってバラバラだった設計方法を統一することでまとめるのです。これは技術伝承の問題だけでなく、設計の効率化にもつながります。

新しい設計ツールの導入

設計の標準化は、実際にはなかなか難しいのが実情です。そこでおすすめしたいのが、新しい設計ツールを導入するという方法。使用するツールを統一すれば、設計方法も統一することができるからです。ただ、現場のやり方を変えるのはそう簡単ではなく、熟練者が多い現場では反発の可能性も予想されます。十分な協議や説明、ときには思い切った決断が必要になるでしょう。

力を合わせて問題を解決

現場の問題を解決するためにはポイントを押さえた改革が必要です。そして、改革を成功させるためには、熟練者も若手も含めて、みんなで力を合わせて進めることが大切であるといえます。みんなが一丸となって協力し合えば、きっと良い方向へ向かうでしょう。

参考: