ハーネス設計・製作に眠る改革の可能性

近年、工業用生産ラインや輸送機器全般(船や飛行機、新幹線含む)においては電気化・電子化の一途をたどっています。この変化はハーネスの複雑化に直結し、さらに今後もハーネスに求められる重要度は大きくなっていくと考えられます。これと同時に熱対策、通電効率、軽量化や小型化などの物理的な問題、コストやリードタイムといった効率化の課題も増えていくでしょう。

ハーネスの設計・製作は今、どのような岐路に立たされているのでしょうか。

ハーネス設計

あらゆるものの設計についてデジタル化と半自動化が進むなか、ハーネスの設計は長年効率化の波に取り残されてきました。なぜハーネスの設計はなかなか改革が進まなかったのでしょうか。

問題点

ハーネスの経路は平坦でないことから、以前はひもを使ってその長さを測る現物合わせの方法が取られていました。この方法では、ハーネスによって接続される機械部品と電装品の配置・取り付けが終わらなければ計測することができません。

またハーネスの設計は、機械設計者・電気設計者のどちらが担当するかが企業により異なります。そのため、それぞれのメインとなる機械部品・電装品の設計よりあと回しとなることが多く、さらには、機械設計の修正や電装品の仕様変更による影響を受け、手戻りが多いこともハーネス設計における難点のひとつとなっています。

ハーネス製作

ハーネスはその製作工程においても、旧態依然とした手法によって行われている部分が多くあります。今なお手作業によって行われているハーネス製作工程の実態と、不可能といわれ続けてきたハーネス製作の自動化に取り組んでいる事例を紹介します。

手作業で進む工程

ハーネスの製作工程は企業によって工夫されている点もありますが、以下のような工程で製作されるケースが多いいです。

  1. 電線切断
  2. ケーブル前処理
  3. マークチューブ等の挿入
  4. 電線被覆剥離
  5. 圧着・半田・融着・圧接
  6. 組み立て・結束
  7. 仕上げ
  8. 検査

実際には上記の工程の合間に細かい工程が入ったり、工程順序を入れ替えたりすることもありますが、一般的にはこのようなフローで進みます。

このような工程において現在でも使われているのが、ネイルボードを用いた1/1スケール設計図による製作手法です。この製作方法は、過去に行われてきたひもを使った実寸計測の延長線上にあるといえます。

3D-CADが当たり前になっている時代にも、ハーネス製作においてはこの2Dのボード上で製作する方法がとられています。これはハーネス製作分野において、3D-CADとしての機能を生かした伸び代が存在することの表れでもある。

ハーネス製作に眠る改善の可能性

このように以前からのやり方が多く残るハーネス製作だが、手作業でなければできない細かい作業が多く存在するのも事実です。

これまで手作業で行われてきた、電線切断・マークチューブ作成・電線被覆剥離・端子圧着などの工程について、それぞれを効率化する半自動機は存在しますが、その工程間の細かい作業には、必ず人の手が必要で、ハーネス製作の全自動化は難しいとされていました。

ところがこの常識を打ち破り、ハーネス製作業界に自動化の大きなイノベーションを起こそうとする企業も登場しています。このように、ハーネス製作には改善の可能性が多く眠っており、今後さらに多くのイノベーションが起きていくと予想されます。

ハーネス設計・製作に改革を

このように、ハーネスの設計と製作には多くの課題があり、また改革の可能性も秘められています。これとは別に、高度センシング技術とIoTの発達により、ハーネスの重要性はさらに高まると思われます。今後さらに複雑化が増すと予想されるハーネス設計・製作。近年やっと見えてきた改革の可能性をうまくつかみ取り、ソリューションとしていく企業こそ、これからの時代のパイオニアになるといえるのではないでしょうか。

参考

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