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【CADデータ保存】製造業でクラウドを活用するメリットと注意点を解説! - 世界標準の電気設計CAD EPLANブログ

作成者: Admin|May 27, 2025 3:00:00 AM

クラウドサービスは利便性が高く、多くの企業で導入が進んでいます。しかし、仕様書や設計図などのCADデータを保存するのは不安だと感じる人もいるでしょう。

本記事では、設計者が製造業の開発業務でクラウドサービスを利用するときのメリットと注意点をご紹介します。

もくじ
  1. クラウドサービスは製造業の開発現場で普及しつつある
  2. CAD技術者向けのクラウドサービスが数多く提供されている
  3. CADデータをクラウドに保存しても安全か
  4. 製造業のCAD業務でクラウドを使うことのメリット
    1. 災害対策に有効
    2. データを一元管理
    3. いつでも設計が可能
    4. データ共有も容易
  5. クラウドサービスを製造業の開発業務で使うときの注意点
    1. データ管理
    2. データ送信
    3. 障害対策
    4. セキュリティ対策
    5. 機能とコストのバランス
  6. クラウドから使えるEplan
    1. プロジェクト共有 Eplan eManage
    2. 回路図自動生成 Eplan eBUILD
    3. ビューアー Eplan eVIEW
    4. 部品ライブラリ共有 Eplan eStock
  7. CADクラウドサービスの導入事例
    1. CADクラウドサービスで制御盤設計製造を効率化
    2. CADクラウドサービスで複雑な生産ラインの標準化を実現
  8. 今後は日本の設計現場でもクラウドサービスの需要が高まる!
  9. Eplan Cloudに登録してクラウドソリューションにアクセスできます

クラウドサービスは製造業の開発現場で普及しつつある

総務省の「通信利用動向調査」によれば、2023年時点で企業の77.7%が何らかの形でクラウドサービスを利用していると回答しています。

製造業においても、約78.2%がクラウドサービスを活用しており、今後さらに普及していくと予想されます。

出展:総務省|令和6年版 情報通信白書|データ集

CAD技術者向けのクラウドサービスが数多く提供されている

製造業の開発現場でも、CADデータをクラウドサービスに保存する企業が増えています。これには、以下の理由が考えられます。

・自社でITの環境を構築し、運用管理する手間やコストを抑えられる
・ベンダーにより冗長化やバックアップの用意がされている
・トラブル発生時にも素早く対応できる

こういったニーズを受け、CAD技術者が利用しやすいクラウドサービスも多数リリースされています。

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CADデータをクラウドに保存しても安全か

製造業の設計現場で使用するデータは、開発中のものや客先企業の機密情報など、外部に漏れてはいけないものばかりです。そのようなデータを自社の管轄外となるクラウドに保存するのはリスクがあります。

クラウドサービスはIT環境を専門に扱う事業者が提供しており、データの暗号化やバックアップ、サーバーや回線の二重化など、セキュリティ対策は万全です。データ漏洩(ろうえい)を防ぎつつ、常にデータを最新の状態に維持し、利用者がいつでも安心して使える状態にしています。つまり、データの情報の機密性、完全性および可用性を維持しているのです。

参考:Eplanトラストセンター
トラストセンターでは、認定ソリューション、セキュリティおよびデータ保護対策、コンプライアンス要件を満たすためのEplanの対策についてご案内。

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製造業のCAD業務でクラウドを使うことのメリット

製造業の開発現場でクラウドサービスを使うことには、以下の4つのメリットがあります。

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災害対策に有効

自社サーバーにデータを保存している場合、災害時には設備もデータも消失してしまう可能性があります。 しかし、クラウドサービスでは自社とは全く違う場所にサーバーがあり、冗長化※やバックアップなどが行われています。それにより、災害時のデータ消失やシステム障害を回避できるため、クラウドサービスは災害対策としても役立つでしょう。

※システムや装置に障害が発生した場合に備えて、予備の要素を準備しておくことで、システムの信頼性や可用性を高める手法。

データを一元管理

社内でデータを保存していると、データを個人や特定の場所で専有してしまい、ほかのスタッフが必要なデータを閲覧できない場合があります。オンプレミス型でも一元管理は可能ですが、専用サーバーの導入や運用・保守に手間とコストがかかります。

一方、クラウド型であれば、ハードウェアを自前で用意する必要がなく、システムのメンテナンスもサービス提供側に任せられるのが利点です。

いつでも設計が可能

クラウド型のCADソフトは、インターネット環境さえあれば時間や場所に縛られずに設計作業を行えます。出張先や自宅から図面を確認・修正でき、作業の柔軟性を大きく高めるのに有効なソリューションです。

ノートパソコンやタブレットなどのモバイル端末でクラウド上の設計データにアクセスして、現場での打ち合わせ中にその場で図面を修正することもできます。

データ共有も容易

図面をクラウド上に保存すれば、常に最新のデータにチーム全員がアクセスでき、メールでのファイル送付やバージョン管理の手間が大幅に削減されます。また、共有データに対してコメントや指示をオンライン上でやり取りすることで離れた拠点間でもリアルタイムのコミュニケーションが可能で、設計品質の向上と意思決定の迅速化に貢献します。

クラウドサービスを製造業の開発業務で使うときの注意点

クラウドサービスは便利ですが、使い方を間違えるとトラブルにつながります。ここでは、製造業の開発業務で注意すべきポイントを5つ解説します。

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データ管理

クラウドサービスの利用により、ひとつのデータをチーム全員で共有して操作できます。そのとき問題になるのはバージョン管理です。

クラウドサービスはデータのバックアップを保存していますが、ひとつのデータを複数の箇所にコピーしているだけです。ファイルを間違って変更または削除した場合、前のバージョンを取り出せるわけではありません。複数人で同時にファイルを操作している場合には、前のバージョンに戻すのが大変です。

確実にファイルのすべてのバージョンを保存しておきたいなら、自分のPC、もしくは社内サーバーにもバックアップや退避データを用意しておきましょう。

データ送信

製造業の開発現場では、図面をはじめボリュームのあるデータが多く、ネットワークでの転送量はかなり大きくなります。設計においては、大きなデータを頻繁にやり取りする場合があるので、従量課金のサービスでは注意が必要です。 なお、データの送信にかかる時間は、回線の太さやクラウドサービスのサーバーとの距離によって異なります。

障害対策

クラウド上にデータを保存していても、クラウドサービスや回線に障害が発生すればアクセスできなくなります。猶予がない場合は、クラウドサービスが復旧するまで作業を止めるわけにはいきません。不測の事態でも滞りなく開発作業を行えるように、クラウドサービス以外の場所へ定期的にデータをバックアップしておきましょう。外付けHDDやUSBメモリなど、異なる媒体で複数のバックアップを用意しておくと安心です。

セキュリティ対策

適切なユーザー権限の管理やパスワードの管理など、セキュリティ面の注意も必要になります。ユーザーの不注意を原因としたクラウドサービスからのデータ漏洩は数多く起こっています。できれば二段階認証やワンタイムパスワードなどのセキュリティーオプションを利用しましょう。

機能とコストのバランス

クラウドサービスを導入する際は、業務に必要な機能をよく検討し、過剰にコストがかからないようにすることが重要です。しかし、コストを抑えようとして機能性に乏しいサービスを選んでしまうと、業務に支障が出る場合もあります。自社の用途や利用規模に合ったクラウドサービスを、長期的な運用コストも見据えて選定する必要があります。

クラウドから使えるEplan

Eplanでも、Eplan Cloudとよばれるクラウドサービルを提供されています。世界中のEplanユーザーはご利用の目的に合わせて、www.eplan.comから、さまざまなソリューションとサービスを利用できます。

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プロジェクト共有 Eplan eManage

eManageはEplanのプロジェクトを同僚、パートナー、サプライヤー、クライアントと迅速かつ安全にデータを共有、管理できるソリューションです。Eplanプラットフォームから直接クラウドへプロジェクトをアップロードできるので、リアルタイムでの情報共有や、プロジェクトの進捗管理が、従来の方法に比べて格段に向上します。

 

参考:電気設計でクラウド共有サービスを使うべき5つの理由とEplan eMANAGE|Eplanブログ

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回路図自動生成 Eplan eBUILD

Eplan eBUILDは、回路図作成や油圧・空圧設計を自動生成するためのソリューションです。事前にルールセットを作成し、それに基づき自動的に回路図を作成します。クラウドサービスで提供されているので、世界中からライブラリにアクセスでき、遠方のサプライヤーやクライアントとも一瞬でデータを共有することが可能です。

 

参考:回路図自動生成 Eplan eBuild|EPLAN公式WEBサイト

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ビューアー Eplan eVIEW

Eplanプラットフォームで作成した設計プロジェクトに、タブレットなどでクラウドから直接アクセスすることができます。これにより設計チームと技術チーム、メンテナンスチームとスムーズなデータ共有が可能になります。

 

参考:クラウドを使用したビューアー eViewで 紙図面と赤ペンを使わない図面の共有と変更|Eplanブログ

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部品ライブラリ共有 Eplan eStock

Eplan eStock(イーストック)は、クラウド上で部品データを管理できるソリューションです。部署や会社を超えた複数ユーザー間で、共通の部品データをもつことができます。

 

参考:部品ライブラリ共有 Eplan eStock|EPLAN公式WEBサイト

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CADクラウドサービスの導入事例

CADクラウドサービスで制御盤設計製造を効率化

イギリスの電気エンジニアリング会社LCA Groupは、クラウドベースのEplan Pro Panelを導入し、制御盤レイアウト図や展開図、BOMなどの製造データを効率的に作成しています。このデータはリタール社の加工機と直接連携し、手作業だったプロセスを自動化しています。特にクラウドソリューションであるEplan eViewにより、顧客とリアルタイムで図面を共有・レビューでき、承認プロセスが大幅に短縮されました。また紙の図面が不要となり印刷コスト削減と環境保護にも貢献しています。



詳細はこちら:
EPLAN Pro Panelで制御盤レイアウト図、展開図、BOMなどの制御盤製造に必要なデータを作成し加工機と連携|Eplanブログ

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CADクラウドサービスで複雑な生産ラインの標準化を実現

オーストリアの自動車照明システムメーカーZKW社は、複雑で常に変化する組み立てラインに対応するため、Eplan Electric P8とPro Panelを導入しています。特にクラウドソリューションであるEplan eBuildにより、常に同じ規格に基づいた回路図の自動生成が可能となり、エンジニアリング時間を大幅に短縮しています。また、Eplan Data Portalを活用することで、世界中の部品メーカーの製品カタログにオンラインで直接アクセスでき、必要なデータをエンジニアリング工程に即座に転送できます。クラウドを活用したオンラインミーティングによる導入サポートにより、ソフトウェアの切り替えがスムーズに行われました。

詳細はこちら:
常に変化する複雑で精密な組み立てラインに対応するためにEPLANで標準化と自動化を導入|Eplanブログ

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今後は日本の設計現場でもクラウドサービスの需要が高まる!

クラウドなら蓄積したデータを使うことができ、遠方のスタッフや取引先ともファイルを共有できます。これからは日本でもクラウド利用の開発が増えていくでしょう。設計現場におけるクラウドサービスの需要が高まるにつれ、CADのクラウドソフトなど機能性の高いサービスも多くリリースされています。選択肢が増えていく中で、自社に合ったクラウドサービスを適切に選ぶことが大切です。

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Eplan Cloudに登録してクラウドソリューションにアクセスできます

Eplan Cloudはどなたでも登録可能です。登録するとEplanのクラウドソリューションを試してみたり、eLearningを視聴したりすることができます。無料で登録できるのでぜひご活用ください。


またEplan全ソリューションをまとめた総合カタログも無料でダウンロード可能です。クラウドソリューションの活用、電気CADを導入して設計業務の効率化・DX化をご検討中でしたら、ぜひご活用ください。

参考:

公開日:2018年9月25日
最終更新日:2025年5月27日

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