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2024/04/02
イベント情報
Eplan初のグローバルイベント Eplan Next26が2026年5月20日~21日、ミュンヘンで開催され、会場となったCAVALLUNA PARKには、36カ国から約1,500名が来場。 104名のスピーカー、23社のパートナー企業、5つのパネルディスカッション、6つのマスタークラスなど、多彩なプログラムが実施されました。
イベントテーマは「Where Industry Meets Tomorrow(産業と未来が交差する場所)」。
人材不足や複雑化するエンジニアリングプロセスといった製造業の課題に対し、データ活用、デジタルツイン、AIなどの取り組みが紹介され、製造業やエンジニアリングの未来を考える、また体感できる内容でした。本記事では、Eplan Next26でどのような講演が行われ、何が展示されていたのか、特に印象に残ったトピックをご紹介します。
Eplan Nextは、Eplanの新製品発表会ではなく、世界の製造業が今後どのような方向へ進んでいくのか、エンジニアリングがどのように変化していくのか、エンジニアリングの未来を示すグローバルイベントです。
オープニングスピーチでは、Eplan CEOのSebastian Seitzが、業界が直面する課題として設計から製造までを含むバリューチェーン全体のデジタル化を挙げ、その実現に向けたEplanの取り組みを紹介しました。その中で、知的財産の保護やデータセキュリティに配慮したAIアシスタント「Eplan Copilot」のリリースを発表。
さらに、AI活用の将来像について
「私たちが目指しているのは単なるプロセスの自動化ではなく、自律的に業務を支援できる環境の実現です。Copilotを将来的には“Pilot”へと進化させていきたいと考えています。」と述べました。
今年の基調講演にはSiemens、DMG森精機、Eaton Chinaなどの企業が登壇し、将来を見据えた戦略や取り組みについて紹介しました。また、専用機メーカーや制御盤メーカーによる講演では、実際の業務で活用されているソリューションや、競争力向上に向けた取り組みが共有されました。

Key Note - Sebastian Seitz
Eplan Next26では、基調講演だけでなく、業界動向を紹介するIndustry Insights 、専門家によるパネルディスカッション、ユーザー事例のBest PracticesやMaster Class、将来の技術を体験できるFuture Lab、パートナー企業による展示エリアなど、さまざまなプログラムが用意されていました。
講演だけでなく展示があったことで、来場者は講演を聞き、業界の最新動向を学び、展示されている実際のソリューションに触れながら、エンジニアリングの未来について身をもって体験することができました。
Siemens、DMG森精機、Eaton Chinaなどによる講演では、製造業の将来像やデジタル化戦略について紹介されました。製造現場の自動化だけではなく、設計から製造、運用までをデータでつなぐ重要性が繰り返し語られました。
Siemens Digital IndustriesのAutomation Business COO兼CTOであるRainer Brehm氏は基調講演の中で、ルールベースの自動化からゴールベースの自動化への移行が次のステップになると指摘しました。その実現手段の一つとして、SiemensがEplanと緊密に連携して開発を進めているエンドツーエンドのAIベースAdvanced Machine Engineeringを紹介しました。
DMG MORI Group President兼CEO Dr.-Ing. Masahiko Mori氏は、「Machining Transformation」構想を紹介するとともに、制御盤設計分野におけるデジタルツイン実現に向けたEplanとの協業についても言及しました。
以下アジェンダより抜粋(DeepLにて自動翻訳)
| Keynote - Rainer Brehm: Automating the Unknown: A Leap Towards Autonomous, AI-Driven Production | もし「未知の要素」を自動化できるとしたら? 産業界は、シームレスなデータによって支えられる目標指向型のワークフローへと移行しつつあります。シーメンスは、「コネクテッド・オートメーション」、「ソフトウェア定義型オートメーション」、「デジタルツイン」、そして「産業用AI」によってその基盤を構築しており、すでに効率化を実現しています。エージェント型AIがエンドツーエンドのプロセスを統合的に管理し、フィジカルAIが産業分野でAIを現実のものとし、企業が予測不可能なタスクを自動化できるようにする仕組みをご覧ください。これこそが、真に自律的でAI主導の生産への道を開くものです。 |
| Keynote - Dr. Masahiko Mori: DMG MORI’s Mission - Machining Transformation | 「DMG MORIのミッション ― 加工の変革」と題された本プレゼンテーションでは、DMG MORIの企業概要、MX戦略、および現在のミッションについて概説します。 DMG MORIのミッションは、高度な自動化とプロセスの統合を通じて、世界中に設置されている約500万台の工作機械を100万台に集約し、それによって、作業員不足、生産性、持続可能性といった世界的な製造業の課題に対処することです。 |
Best Practicesでは、各社が進めてきたデジタルトランスフォーメーションの取り組みが紹介されました。共通していたのは、設計・製造・運用にまたがるプロセスを見直し、分断されたシステムやデータを統合することです。
EatonのPower Distribution Systems China Operations DirectorであるAndy Lee氏は、中国・常州にある高度自動化制御盤製造のショーケース工場について紹介しました。同工場ではEplan Platformが電気設計の基盤として活用されており、ヒューマノイドロボットが配線検査を行っています。
Master Classでは制御盤設計、機械配線、デジタルデータ活用などをテーマに、実際の活用事例や新機能について詳しく紹介されました。
以下アジェンダより抜粋(DeepLにて自動翻訳)
| Master Class - Engineering Automation: Boosting Speed and Accuracy (English, approx. 60 min) | エンジニアリングプロセスが自動化によってどのように変革されるかを探ります。このセッションでは、手作業を減らし、プロジェクトのタイムラインを加速し、インテリジェントな自動化によって一貫した品質を確保するための戦略を取り上げます。 対象者: ユーザー & マネージャー レベル: P8 ユーザー |
| Master Class - Smart Panel Building: From Design to Efficiency (English, approx. 60 min) | 電気制御盤の設計と組立に関するベストプラクティスや革新的なツールを紹介します。ワークフローを最適化し、エラーを減らし、制御盤製造における生産性を向上させる方法を学びます。 このマスタークラスで取り上げる主なトピック: ・制御盤製造における最適化の可能性 ・3D を用いたスイッチキャビネットの設計計画 ・接続ルーティング ・Pro Panel を使用した空調計算 ・Eplan Smart Production を活用した製造支援 対象者:ユーザー & マネージャー レベル:初級者向け |
| Master Class - Product Structuring: Building a Scalable Engineering Framework (English, approx. 60 min) | このワークショップは、ISO/IEC 81346 に基づくプロダクトストラクチャリング手法を実践的に習得するための内容です。 柔軟性を高め、エンジニアリングプロセスを簡素化する、モジュール化された再利用可能な設計をどのように作成するかを学びます。 |
| Master Class - Data Management for Consistent Results (English, approx. 60 min) | 現代のエンジニアリングにおいて、構造化されたデータの重要性を理解しましょう。データを一元的に集約し、維持管理し、活用することで、高品質なドキュメントと効率的なワークフローを実現する方法を学びます。 |
| Master Class - Efficient Machine Cabling: Design and Implementation (English, approx. 60 min) | 機械向けの最適化された配線戦略について洞察を得ましょう。このマスタークラスでは、納期の短縮、ケーブル長の取得、そして製造現場に明確な配線指示を提供することに重点を置いています。 1. デジタル機械配線が各部門にもたらす付加価値を理解する 2. Cable proD を段階的に導入し、必要となる主要要件を理解する 3. 最適化された配線ワークフローを明確かつ包括的に把握する 4. 顧客の成功事例を知り、ライブ投票に参加し、Q&A を通じてアイデアを実行可能な次のステップへとつなげる 5. セッション後には、専門家と直接話す機会を得る |
Eplan Next26のパネルディスカッションは、全部で4セッション行われました。
「データがつながることで、産業はどのように変わるのか」という大きなテーマのもと、業界の第一線で活躍する企業同士、議論を交わしました。
各セッションに共通していたキーワードは、データの標準化、エコシステム連携、そしてデジタル化を前提とした業務変革です。コンポーネントレベルのエンジニアリングから、システム統合、製造、さらには運用・保守に至るまで、分断されがちだったプロセスをつなぐことの重要性が強調されました。
特に「Connected Industry」の文脈では、Eplan Data StandardやAsset Administration Shell(AAS)といった共通基盤を通じて、企業間をまたいだデータ連携をいかに実現するかが議論の中心となりました。また、Digital Product PassportやECLASSなどの取り組みも含め、同じ信頼できるデータを共有することがバリューチェーン全体の最適化の鍵であるという認識が共有されました。
制御盤製造のパネルディスカッションでは、変革は単なるプロセス改善ではなく、エンジニアリングやデータ管理を起点とした転換によって推し進めるといった内容でした。手作業中心のワークフローから、データドリブンな運用への移行が競争力を生む鍵であり、登壇企業それぞれの取り組みを交えて具体的に議論がされました。
Panel Discussion - Beyond Processes: The Mindset Driving Competitive Panel Building
Industry Insightsセッションでは、水処理、造船、建築設備、エネルギー、食品・飲料といった各業界を横断しながら、業界特有の課題と、それに対するデジタル化・標準化アプローチが紹介されました。業界ごとに状況や要求は異なるものの、データを中心とした一貫したバリューチェーンの構築が鍵となっているという点が共通していました。
水・排水処理分野…資産情報の可視化と保守力の強化が重要テーマ。標準化されたプラント構造とデータ活用によって、長期運用を前提としたインフラの最適化。
造船分野…船舶全体から個別コンポーネントに至るまでのデータ管理と、サプライヤー・顧客間のデータ交換が焦点。巨大かつ複雑なシステムにおいていかに一貫性のあるエンジニアリングを実現するか。
建築設備分野…設計から施工、運用に至るまでのデジタルバリューチェーンが紹介。増大するプロジェクトの複雑性や人材不足といった課題に対して、エンドツーエンドのデジタル化が不可欠であることが強調。
エネルギー分野…デジタルツインが電力インフラ、とりわけ変電設備のライフサイクル全体を変革する技術として注目。設計・改修・運用の各フェーズをシームレスにつなぐ手段として実運用での活用事例が共有。
食品・飲料業界…衛生設計や食品規格への対応といった業界特有の要件に対し、標準化されたエンジニアリングとデジタルツインがどのように品質と効率を両立するか。
Future Labでは、設計から製造までのデータ活用をさらに発展させる将来技術やコンセプトが紹介されました。展示の一つとして、初期部品表から基本的な中板レイアウトを自動生成するオートパネル設計ツールが展示されました。設計初期段階において適切な筐体選定や、概算見積を支援することで効率的なプロジェクト立ち上げを目指します。
また、経験の差に左右されにくい、高品質な制御盤製造を実現を支援するできるコンセプトが紹介され注目を集めました。このほか、Siemens Teamcenterとの連携やAdvanced Machine Engineeringなどのテーマも紹介され、機械設計、製品データ管理(PDM)、電気制御技術(CAE/TIA)をつなぐエンジニアリングの将来像が示されました。
今回最も注目を集めた発表の一つが、AIアシスタント「Eplan Copilot」です。Eplan Copilotは、自然言語で質問することで、操作方法や関連情報を案内してくれるエンジニアリング向けAIです。
一般的な生成AIとの違いは、検証済みのエンジニアリングデータに基づいて回答を行う点にあります。これにより、エンジニアリング業務でも安心して活用できる環境を実現しています。

イベントでは、次期バージョンとなるEplan Platform 2027も公開されました。Platform 2027には約500件に及ぶ顧客からの要望が反映されており、事前設計、電気設計、制御盤設計の各工程におけるさらなる効率化を目指しています。
新バージョンでは、事前設計から電気設計、制御盤設計までのワークフローをより効率的に進めるための機能強化が行われています。また、Eplan Copilotがアプリケーション内で利用可能となり、設計業務の効率向上が期待されています。

部品調達に関する新しいソリューションとして「Eplan Smart Sourcing」が紹介されました。設計段階から部品の在庫状況や納期情報を確認できる仕組みで、設計と調達をデータでつなぎます。
部品供給の不確実性が高まる中、調達可能な部品を前提とした設計を実現し、設計部門と調達部門の連携強化を支援します。なお、本ソリューションは現時点ではドイツ市場向けに提供されており、日本国内での提供は開始されていません。

Future Labで特に来場者の注目を集めていたのが、制御盤製造工程のデジタル化を目指す新しいアプローチ方法でした。
展示では、設計段階で作成されたデジタルデータを活用し、組立作業をより効率的に進めるためのコンセプトが紹介されました。作業者へ必要な情報を適切なタイミングで提供することで、品質向上や作業効率化を支援することを目指しています。

専門展示エリア Partner Plaza では、ABB、Phoenix Contact、Rittal、Rockwell Automation、Siemens、Weidmüllerをはじめとする20社以上のパートナー企業が出展し、Eplanとの連携によるさまざまなソリューションが紹介されました。展示の多くでは、異なるシステム間でのデータ活用や連携がテーマとして取り上げられており、データの一貫性や標準化の重要性が繰り返し語られていました。
自社製品だけで完結する世界ではなく、異なるシステム同士が連携することで価値を生み出すという、エコシステムを体感できる場であり、設計・製造・運用をデータでつなぐ未来のエンジニアリングを象徴する展示エリアとなっていました。

Eplan Next26では、AIやデータ活用、デジタルエンジニアリングなど、製造業の未来につながるさまざまな取り組みが紹介されました。しかし、このイベントの価値は新製品や新技術の発表だけではありません。基調講演で語られる各社のビジョン、パートナー企業との議論、展示を通じた新たな発見など、実際に現地を訪れることで初めて感じられるものがあります。
来年のEplan Next27は2027年6月9日、10日 ドイツ ケルンで開催が予定されています。
講演やベストプラクティスセッション、さらに拡大されたPartner Plaza、Future Lab、Master Classなど、今年以上に充実したプログラムが予定されています。製造業やエンジニアリングの未来を考える2日間を、ぜひ現地で体験していただければと思います。
公開日:2026年6月19日