IEC規格とは?JIS規格、ISO規格との違い
2024/04/02
電気設計
現在日本国内で使われている電気用図記号には、旧JISと新JIS(IEC準拠)があり、海外では国際標準規格が広く利用されています。いまだに古い回路記号で回路図を制作しているところも多いですが、国際標準規格に準拠した回路記号を使用した方が効率的です。
本記事では電気用図記号 一覧の全体像を示し、新JISとNFPAの関係、旧JISとの違い、国際標準へ合わせる意義を解説します。
電気用図記号とは、回路図を簡潔かつ分かりやすく示すために使用される図記号のことです。
以下に、主な電気用図記号新JIS(JIS C 0617)を紹介します。
公式規格(JIS)の参照について
JIS規格(日本産業規格)で定められた図記号の詳細は、こちらからご覧ください。
海外で使用されている国際標準規格は主にIEC、ISO、ITUで管理しています。
他に各国の独自の規格がありますが、現在ほとんどの国の規格はこれらの標準化組織の作成した規格に準拠しています。
アメリカでは国全体をカバーする国家統一規格が存在しません。
かわりにSDO(Standards Developing Organizations: 規格開発機構)が各種団体の制定した規格を承認し、事実上の規格となっています。NFPA(National Fire Protection Association:米国防火協会)は防火のためのさまざまな規格を制定する民間機関で、SDOの承認を受けています。NFPAの作成した規格のひとつにNFPA70があり、電気工事関係の標準規格を制定しています。NFPA70はNEC(National Electrical Code:米国電気工事基準)とも呼ばれています。
日本では、JIS(Japanese Industrial Standards:日本工業規格)がさまざまな分野において各種の規格を作成しています。
従来は各国で独自の規格を使っているところも多く、輸出するときには輸出先に合わせて回路図を作成して審査を受ける必要がありました。しかし現在は欧米をはじめ各国がISOおよびIECの国際標準規格に準拠して規格を改正する傾向にあります。
そのため、最初から国際標準規格に合わせて回路図を作成することで、回路図を1つ作成するだけで各国の規格に対応することができます。
製品を海外市場へ展開することを考えるならば、設計段階から国際標準規格に合わせた回路記号で回路図を設計すれば、設計段階でのコストや時間を削減できて効率的な設計が可能になります。

規格の企画Ⅱ IEC・NFPA・旧JIS シンボル比較 より抜粋
これから製品の設計を行うときは、国際標準規格に準拠した新JISの回路記号で作成することが不可欠です。
JISの回路記号は1997年と1999年の2回に分けて改正され、現在はJIS C 0617 電気用図記号が制定されています。この改正により、新JISはIECの規格に準拠しました。
しかしいまだ、製品設計を行う際に旧JISの回路記号で回路図を作成する人が大勢います。旧JISの回路記号は欧米の規格とは異なるので、それで作成した回路図は欧米では通用しない可能性があります。
さらに旧JISの回路記号は日本の方言と言える独自の規格が含まれるため、現地のエンジニアには理解しにくく、海外に売り込むには不利な要素となってしまいます。
近年は市場のグローバル化が進み、製品を海外展開する可能性が高くなりました。設計段階から積極的にグローバル化に対応して、どの国でも使えるような回路図で設計し、海外市場でも受け入れられやすくすることが重要です。設計段階のコスト抑制や時間削減、審査効率の向上にもつながるため、これからは新JISに準拠した回路記号で回路図を作るべきといえるでしょう。
参考:【規格の企画】IEC・新JISに対応した 電気設計の標準化をするために 知っておくべき概念
ここでは、ブレーカー、コイル、ヒューズの回路記号を紹介します。左側が新JIS記号、右側が新JIS記号です。新JIS準拠の回路記号は図がより単純になり、複数の種類がある記号もまとめてひとつになっていることがわかります。



Eplanは、IEC 60617に整合する新JISの電気用図記号と、米国で広く用いられるNFPA系の図記号など、各種標準規格のシンボルを標準ライブラリとして搭載しています。
設計開始時に対象市場(IEC/新JISまたはNFPA)に合わせて記号体系を選び、社内で記号作成・維持管理する手間を減らせます。
Eplanには旧JISの図記号は含まれていません。
過去のセミナーより、Eplanでシンボルを挿入する基本操作と、シンボルライブラリーの利用方法を抜粋しました。IEC・NFPA・GB など世界標準のシンボルから、今回は IECシンボルを使いました。
Eplanでは、シンボルは絵ではなく、プロパティ情報を持つ点を知っていただける内容です。また、セミナーないで出た質問「旧JISに対応しているのか」という点についても回答した内容です。
設計の標準化をしようと考えた時、いろいろやり方はありますが一つポイントになるのが
「国際規格に沿った標準化」だとEPLANは考えます。
この考えから、規格の企画シリーズとして2つお役立ち資料を作りました。
IEC(新JIS)と旧JISとNFPAの比較では、いくつかのシンボル取り上げて、IEC(新JIS)と旧JISとNFPAの比較をしました。
参考:
公開日:2020年3月20日
最終更新日:2025年12月17日