5月26,27日の2日間にわたって行われたオンラインセミナーイベント『制御盤DXメッセ』。制御盤業界を牽引する9社による講演のまとめとおすすめポイントを、モデレーター・剱持氏(オートメーション新聞編集長)が振り返ります。
制御盤DXの実現にはデータ活用基盤の構築が不可欠。その中心を担うのが、図面データを作って保存・管理する電気設計CADです。制御盤DXメッセのEPLANの講演では、その機能の拡充によって電気設計CADが単なる設計ツールからDX基盤へと進化していることを感じつつ、私たちの使い方もバージョンアップする必要性も感じました。
EPLAN Software & Services株式会社
「It’s in your hands!
電気設計・制御設計のデジタル化 EPLANが担う”役割”とは」
テクニカルコンサルタント
黄 成愛(ファン ソンエ)
電気設計者が日頃から不満に思い、課題と感じることについて、
・手戻りが多い
・膨大かつ再利用を想定していない過去の図面をコピーして設計
・手作業で全ページの繰上げ
・BOMや端子図は回路図を見ながらEXCELで作成
・電気設計だけでなく他の仕事もあって忙しい
があるそうです。
電気設計CADで図面データを作り、そのデータをサーバーに保管して管理していても、それがいつ、どこで、誰が、どのように設計し、それが最終決定済みのデータなのかそうでないのかなど共通のルール化で作られていない。そのため安易に過去図面をコピペして使うと、実は間違っていて手戻りが発生することが多々あるそうです。
また手戻りがないようにするために図面の内容をひとつずつチェックする必要があり、結局その確認作業に手間と時間がかかる。こんなストレスを抱えている人が多いとのことです。
電気設計CADの本質は「図面の設計をソフトウェアが支援してくれるツール」。もともと設計者が紙に手書きで作っていた図面をパソコンの操作で描けるようになったことで、設計にかかる時間と手間は大きく減りました。
しかしそれに満足していたのは最初だけで、多くの人が使うようになり、図面データも蓄積されている今は、当たり前のように他の人や過去の図面をコピペして使うようになっています。
そう考えると、今の時代、電気設計CADは「図面の設計をソフトウェアが支援してくれるツール」でありつつも、「自分以外の誰かが図面データを使う」という前提に立って、自分以外の他人の作業の支援にも用途が広がっていると捉えた方が良さそうです。
これからは電気設計CADの使い方も、これまでのように個々別々に使うのではなく、誰が見ても分かるようにする、誰でもデータを使えるようにするような、ある程度決まったルールのもとに使うことが必要になります。もしかすると、それがいわゆる「標準化」というものになり、電気設計者が抱える課題やストレスを解決する薬になるのかもしれません。
EPLANの講演では、個人の作業効率化はもちろんのこと、こうしたDX時代の全体の作業効率化のための機能やサービスなども説明してくれています。新しい時代の電気設計CADの使いこなし方、そんな風にして聞くととても参考になると思います。
■講演ダイジェスト動画(YouTube)