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富士電機機器制御株式会社:これからの制御盤設計の「効率化」と制御盤の「高付加価値化」【制御盤DXメッセ2021アーカイブ】

作成者: Admin|Jun 7, 2021 10:00:00 PM

5月26,27日の2日間にわたって行われたオンラインセミナーイベント『制御盤DXメッセ』。制御盤業界を牽引する9社による講演のまとめとおすすめポイントを、モデレーター・剱持氏(オートメーション新聞編集長)が振り返ります。

富士電機とシュナイダーエレクトリックという受配電・制御機器のトップメーカー2社のDNAを受け継ぐ富士電機機器制御。制御盤DXメッセでは、制御盤設計の効率化と制御盤の高付加価値化に役立つ技術を紹介いただきました。聴講後に強く感じたのは「コンポの力」。制御盤DXに向けて進化したコンポーネンツの重要性を再認識しました。

富士電機機器制御株式会社
「これからの制御盤設計の『効率化』と
制御盤の『高付加価値化』」

事業統括部 受配機器業務部 担当部長
田澤 勇治 様
事業統括部 プロモーション部 部長
大濵 一弘 様

講演サマリー

  • DXは3段階 改善、改革、変革
  • 制御盤設計を効率化、配線作業を省工数化するスプリング端子機器
  • ドライバを使わずに制御盤をつくってみる
  • 盤内器具、コンポをIoTセンサーとして使ったIoTソリューション
  • 省配線・省工数・省エネ・省保守で進化した受配電盤の例

ITとOTの両輪を回してこそ実現できるDX

DXというと、デジタルという言葉がついているだけあり、ソフトウェアやシステムといったIT側の取り組みと捉えられがち。しかし実際はそうではなく、今までのようにリアルな製造現場、いわゆるOTを中心としたハードウェアや現場改善の一辺倒ではなく、デジタルの力も取り入れて、両輪で企業の収益力、競争力を高めていこうというのがDXの本質です。そこは勘違いしてはいけません。

製造業はリアルなものが動く世界

特に製造業の場合、「モノを作って売る」が土台にあります。部品や材料、製造装置といったものを動かし、製品となるモノを作る。どこまでいってもリアルなものを無視することはできません。

だからこそ製造業DXは、ITシステムだけ整備すれば良いわけではなく、工場や製造現場のリアルなものの動き、作業の仕方などの情報を常に把握し、それを持って改善につなげることが重要なのです。

進化したハードウェアを使いこなすこともDXへの近道

その意味では、これまで「もの」と表現してきた部品や材料、製造装置といったハードウェアは今も進化を続け、使いやすく、操作しやすく、効率的に作業しやすくなっています。そうした進化したハードウェアを積極的に採用し、それと同時にデジタル技術で作業を支援する。こうすることも製造業DXを実現するには大事なことです。

だからこそ製造業DXを進めるためには、もっとハードウェアの進化に敏感にならなければいけないし、使い方を学ばなければいけない。DXだからといってITばかりに目を向けていると、実はハードウェアが老朽化や前時代的なものになり、レガシーになって非効率にもなりかねません。

制御盤DXに欠かせないスプリング接続方式

制御盤DXで言えば、最近注目度が上がっている結線方法である「スプリング接続」の対応機器などはその典型的な例かもしれません。

スプリング接続は、ばねの力を使った結線方式で、電線末端にフェルール端子を取り付け、機器の接続穴に差し込むだけで結線が完了します。ねじ式に比べて簡単で手早く作業ができ、熟練者とそうでない人との作業工数や仕上がりの差も少なく、配線作業を効率化するものとして採用が広がっています。すでに海外では主流になっている技術で、ここに来てスプリング接続方式を使った機器を発売する日本メーカーも増えています。

「制御盤DXメッセ」では、富士電機機器制御がF-QuiQ、フエニックス・コンタクトがPush-inという形で紹介をしていました。

制御盤内機器が100%ねじレスになる日も近い

なかでも富士電機機器制御では、同社の豊富なラインナップのなかでも主回路系の機器でスプリング接続対応を増やしていて、配線遮断器、漏電遮断器、サーキットプロテクター、マニュアルモータスタータ、電磁接触器、サーマルリレー、リレー・タイマー用ソケット、コマンドスイッチなどで対応済。これにより盤内機器の80%の機器でスプリング接続に対応したとのこと。

講演では「ねじレス製品だけで制御盤を組んでみた!」というムービーを流していて、ドライバーを使わずに制御盤組み立てを完成させるという興味深い内容でした。盤内機器のスプリング接続機器が100%になる日も近づいていることを示唆しており、ごく近い将来の制御盤組み立てはこうなるという意味でも、この動画は必見です。

コンポーネンツの力はすごいのです

盤内機器にスプリング接続方式の機器を積極的に採用し、少ない工数で配線作業を終え、制御盤の完成までのスピードを高める。これも立派な制御盤DXの一つです。IT側のアプローチとは異なる、ハードウェア側からの効率化のアプローチ。制御盤業界的な言い方をすれば、コンポーネンツの力を最大限に生かした効率化です。

制御盤DXは、ITとOTの両輪で効率化を進めることで実現に近づきます。特にハードウェア、コンポーネンツは年々進化し、スプリング接続式の機器のように作業効率が良くなるものもあれば、小型化や高機能化に役立つものなど様々あります。良いコンポーネンツ、盤内機器は、制御盤の設計・製造・運転を効率化するだけでなく、制御盤の付加価値向上にもつながります。制御盤DXにおいては、コンポーネンツの力はすごいのです。

制御盤DXメッセ 公式サイト

富士電機機器制御 公式サイト

■講演ダイジェスト動画(YouTube