IEC規格とは?JIS規格、ISO規格との違い
2024/04/02
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電気設計のコスト競争力が求められる流れは、今後もさらに加速していくと考えられます。このとき、電気設計のコストダウンを実現するにはどのようなプロセスが必要となるのでしょうか。また、電気設計が製造コストと深く関わっている理由と、製造のコストダウンを実現するための設計方法を考えます。
大規模な制御システムや設備を新たに作るとき、電気設計は製造コストを大きく左右する要素となります。
大規模制御システムでは複数の制御盤が設置されますが、その内部には電子機器が所狭しと配置され、これらを何百本、何千本もの配線がつないでいます。
設備全体の電源系統設計では、数千にものぼる電気負荷を顧客の要望に応じて選定し、これらを安全かつ的確に稼働させるための制御と給電を決定していかなければなりません。こういった電気設計作業には、多くの仕様書や設計書、部品表などが必要となり、設計作業に加えて関連帳票の作成にも膨大な作業量を要します。
設計者は、こういった膨大な作業と日々の業務に追われ設計を進化させる余裕も持てていないケースも多いのではないでしょうか。肥大化した設計コストによって十分な利益の確保が不可能となっていることも考えられます。
また、顧客の要望そのものが、プロダクトのコストダウンを要件としているというのも、よくあるケースです。こういった場合、制御システムの製造コストを抑えるためには効率のいい機器の選定や配線が求められます。
これらの課題に対する解決の糸口を握るのが、設計の自動化と標準化です。 「自動化」と「標準化」の両者には、それぞれ個別に考えなければならない部分と、オーバーラップしている部分とがあります。自動化することで標準化されていることもあれば、標準化を進めるうえで自動化に結びついていることもあるのです。
こういった電気設計の自動化と標準化は、どのように設計作業とプロダクトのコストダウンに結びついているのでしょうか。その関係を見てみましょう
電気設計の作業そのものをコストダウンする場合、コスト削減に大きく関係しているのは設計の自動化です。
最新の電気設計アプリケーションは自動化の方向に進化し、手作業の削減を実現しています。回路の自動生成や、各種帳票の自動作成といった機能を備え、図面修正を関連図面へ自動反映することで修正漏れも発生しないようになっています。
これらの機能により、これまで膨大な手間と時間をかけていた設計作業と関連帳票の作成は大幅な時間短縮ができ、さらに人為的ミスと修正漏れも防止できます。ミスや修正漏れがなくなることで手戻りの可能性も減らすことができ、さらに効率的な設計作業が可能です。
また、アプリケーションが自動で設計を行うことで、作業者によってバラツキのあった設計手法が統一されます。これは標準化も同時に行われていることになり、設計の後工程の標準化も進めることにつながります。
一連の作業を標準化する場合、前工程が標準化されていなければ後工程を標準化することは困難です。前工程の作業方法が統一されていなければ、後工程の作業手順を絞り込むことが不可能だからです。制御システムの設計から製作を考えると、設計が標準化されていることで、機器の設置や配線作業の標準化が可能となるのです。これは設計作業だけでなく、全体のコストダウンへとつながっていきます。
こういった面から、自動化と標準化はオーバーラップしている部分があり、どちらも設計作業のコストダウンへと結びついているといえるのです。
顧客の要望にプロダクトのコストダウンが含まれる場合、ローコストで製造できるかどうかは設計段階で決まるといってもいいのではないでしょうか。
設計・調達・生産という製造の3段階を考えると、調達の担当者は仕様書の範囲内でしか部品を選択できません。生産の担当者は、与えられた部品を使い図面にのっとった範囲で作業することになります。これらを考えると、コストの大部分は設計段階で決定されており、設計担当者は部品や作業工程の知識も求められることがわかります。
従来は、こういった知識を持つ一部の設計者がコストダウンに成功していたと考えられます。しかし今では、設計アプリケーションの活用によって幅広い範囲でそれが可能になっているのです。
部品の情報は設計アプリケーションと連動するデータベース内にあり、条件を指定することで絞り込んだ候補から適したものを選択することができます。設計も3Dモデルにより行われるため、実装レイアウトを視覚的に確認しながら正確な配置が可能です。また、機器を配置すると最適な配線ルートが自動で決定、接続されるため、配線に必要なコストも自動的に削減されます。さらに、こういった設計データをそのまま配線作業の指示書として使うこともできます。
ローコストでの製造が求められた場合、重要となるのは顧客からの聞き取りと積極的な提案、そしてコミュニケーションです。このとき、3Dモデルを表示して見せることができる設計アプリケーションは、顧客とのすり合わせにも非常に有効なツールとして活用できます。
このように、電気設計アプリケーションは設計者に求められる知識をサポートしながら、ローコストな製造も可能としているのです。
電気設計の作業そのものをコストダウンする方法と、電気設計によって製造のコストダウンを実現する方法についてご紹介しました。
最新の電気設計アプリケーションは、設計作業を自動化・標準化することでコストダウンを可能にします。また、製造コストを抑えるために必要な設計者の知識やスキルも、電気設計アプリケーションがサポートしそれを可能にしています。現代に求められる高効率な設計とローコストな製造。電気設計アプリケーションはこれらを実現するためのツールでもあるのです。
参考: