CADソフトの選定は設計業務の効率を大きく左右するものですが、ツールとその機能ばかりを見ていては、必ずしも上手くいくとは限りません。多彩な機能を持つツールを用いて、業務改革をいかに進めるかという観点が重要です。機械・設備系メーカーにとって最適な電気設計用CADとは何か、ポイントを明確にして解説します。
機械・設備系メーカーにおける電気設計部門は、言うまでもなく重要な役割を担う責任の重い部署ですが、出番が回ってくるのは設計・製造工程の終盤に近い。
納期が迫る中、既存図面を可能な限り流用しつつ、製品ごとの仕様に応じて変更を加えるといった形で作図しているケースも多いのではないでしょうか。CADソフトによっては、その回路図の流用・修正を行うにも手間がかかる場合があります。近年では、半導体不足やサプライチェーン混乱などにより部品の調達先が変更され、回路図や部品表の修正に追われたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
企業によっては、制御盤などの製造を協力会社に委託しているケースもあると思います。盤を製造する上では図面だけでなく、線番のリストや、部品表など関連ドキュメントが必要とされることが多いです。しかし、図面から必要な情報を拾い出してドキュメントを作成する作業にも、また多くの手間と時間を必要です。
近年では業界内での関係性も変わりつつあり、とりわけ小規模な盤メーカーの中には従業員の高齢化による引退・廃業も珍しくありません。代わりとして新たに探し出した委託先から、今までの委託先では不要だった関連ドキュメント一式を求められ、困ることもあるケースがあります。
図面も関連ドキュメントについても、電気設計において多くの手作業が残っています。そもそも、昔からある汎用2D CADはもちろん、電気系CADを謳う製品を使っていても、ソフトによっては一定数の手作業は避けられません。
既存図面をベースに変更をかけながら新機種を開発・設計を進めるなど、過去の設計資産を活用することの多い機械、設備メーカーに最適な電気CADを選定するポイントの1つが「自動化」です。
例えば作図機能で、既存の設計資産を流用する場合、既存の回路図から一部の範囲を切り出したりコピーしたりしてきて新たな部品や配線を追加する際にも、CADソフトの機能差が現れます。
シンボル間の接続線を手動で書かなければ図面として成り立たないのか、あるいはパーツとして配置すればソフトが自動的に接続してくれるのかなど。
このような自動化に加え、あらかじめ自社の標準設計パターンを登録しておけるソフトを使用すれば、業務効率は一層向上するでしょう。
設計業務は個々のスキルやノウハウに依存しがちで属人化しやすい部分がありますが、設計からドキュメント作成までを自動化する機能を活用することで、負担なく業務に適応できるだけでなく、作業の平準化も進むみます。
提供されている機能は標準機能なのか、それともカスタマイズが必要なのかも確認する必要があります。標準機能が良いのかカスタマイズが良いのかそれはこちらの記事にまとめています。
導入よって実際の業務がスムーズに立ち上がるかどうかも重要な視点です。
導入後の操作トレーニングや立ち上げ支援の有無、業務に則したコンサルティングと日常のサポート体制も確認してください。
上記2点を電気CADの検討時に考慮するとよいポイントを挙げました。ただ、異なるメーカーや異なる機能を持つ電気CADを比較するのは容易ではありません。
「この電気CADにはこの機能があるが、別の電気CADにはない」といった具合に、機能を1対1で比較するのは非常に困難です。
最初からすべての要望を満たす機能が揃っていなくても、後から拡張機能を追加したり、設計手法を変え、既存の機能を活用することも可能です。
このため、Eplanでは電気CAD導入時に機能の比較に過度にこだわることを推奨していません。機能比較に執着すると、往々にして「現在と同じ設計が可能か?」という問いにとらわれがちだからです。
電気CADの比較検討についてはこちらの記事にまとめてあります。
設計業務効率化の課題は、電気設計部門や関連部署・委託先などの業務を広く見渡して整理することをおすすめします。
前述のように、機械・装置系メーカーの電気設計部門の業務には多くの煩わしい作業があります。その業務を改革して作業者の負担を解消・軽減するためにはどうすればよいのでしょうか。Eplanの電気設計CAD「Eplan Electric P8」を例に、どういった業務効率化が可能なのかをご紹介します。
P8は電気設計の効率化に特化したソリューションです。
例えば部品シンボルは国際標準に沿ったパターンが登録済みで、これらを配置して配線の接続を指定するだけで回路図を描くことが可能です。
また、自社で標準的な回路パターンを登録しておくと、これを配置して必要な仕様情報を入力するだけで適切な回路図が描かれる「マクロ機能」や、そのマクロに部品情報を合わせて持たせておける「プレースホルダー機能」などもあります。
これらの機能は、設計担当者の作業負荷を軽減するだけでなく、盤の制作委託先にとっても助かります。社内システム次第では、部品表などをそこに再利用することもできるはずです。
P8 にはオプションとして、3Dレイアウトによる配置設計支援機能や、配線設計支援機能をアドオンして使うこともできます。ベテランであれば頭の中で部品や配線をレイアウトして盤の3面図を描くことも難しくないかもしれませんが、経験の浅い設計者がそれを身に付けることは簡単ではありません。
若い人材にこのような支援機能を合わせて習得させることで、より短期間で戦力化することができるはずです。
Eplanでは、CADソフトベンダーとしては珍しく、コンサルティングサービスも提供しています。単なるCADソフトの操作トレーニングではなく、ユーザーの実業務に即して活用・運用面まで踏み込んだ提案をしています。
このサービスでは、電気設計の実務経験を持ち、その業務における課題も熟知している担当者が、会社にあわせてP8などのEplan製品を用いた設計業務の効率化を一緒に考え提案するので、多彩な
機能を設計業務に生かす近道となります。使いこなしが広がれば、設計部門のみならず製造や調達、保守メンテなど他の業務にも効果が及ぶような業務改革も視野に入ってきます。
Eplanを1時間で知れるオンラインセミナーを定期開催しています。ぜひお気軽にご参加ください。
掲載日:2022年11月17日
更新日:2024年9月20日