電気設計CADをはじめ、電気設計業務に携わっている方なら「標準化」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。標準化はそれぞれの企業内だけでなく、業界全体の課題ともいえるもの。今回は、電気設計における標準化について解説します。
そもそも「電気設計の標準化」とは何でしょうか。
電気設計では2種類の標準化が考えられます。
耳慣れない言葉かもしれません。これらはIEC、新JISで定義されている規格に準拠します。
詳しくはこちらの記事にまとめています。
しかし、実は設計分野における標準化は、昔から必要性を叫ばれていながら実現できていません。
標準化されていないことで発生している日本の電気設計業界全体の課題についていくつか挙げてみました。
標準化がされていないことにより発生するデメリットと、もしそこにEplanがあったらどうなるかを紹介します。ビフォーアフターで電気設計の標準化の重要性が具体的に伝わると思います。
なにか新しい設計をする場合、以前使用した図面をコピーして変更点を修正といった方法をしていませんか。探したい過去の図面を捜索することに時間がかかってしまうという、コピー以前の問題もあります。
設計を開始するたびに一から図面の作成が必要になる。これでは時間的にも無駄が多いうえに、作成中の変更箇所や苦労も共有・反映されていないので、同じ失敗を繰り返すといった不具合も発生してしまいます。
さて、もしEplanで電気設計の標準化すると、どうなるでしょうか。
まず、「いつも探しているコピー元」という「標準の素」がすでにあることに注目します。いつもは、これをコピーして修正して貼り付けている。Eplanではこれをいつでもだれでも使えるように、回路図の組み合わせとして保存します。いつも探しているコピー元をそのまま回路図として保存して捺印するかのように回路図に貼り付けるのではありません。
プロジェクトによって修正・変更が簡単に反映できるような形、どこまでを標準の組み合わせとしてまとめるかなどきちんと考えて登録していきます。
また、Eplanでは1ファイル1図面ではなく、1つのプロジェクトに図面がまとまっているので、図面を探すという手間もはぶくことができます。
これは、設計手法の標準化で、
図面は設備の場所で構造を分け、それぞれの構造別に回路図を書く階層構造に沿っています。どこの図面がどこの場所の設備のものなのかわかりやすく管理されます。
多くの企業の設計現場では、複数人でひとつの設計行っています。チームワークが重要になる設計現場で、作り方が一人ひとり異なっているという状況もあります。技術者同士が情報共有する際や、引き継ぎする際にも障害が発生してしまうし、作り方や成果物もバラバラになってしまいます。
また設計データが各個人持ちになっていたり、ファイル名のルールもなく、設計データが組織的に整理・保存されていないという場合もあります。
さて、もしEplanで電気設計の標準化すると、どうなるでしょうか。
Eplanでは設計データはEplanプラットフォームで一元管理されています。また使用するシンボルや部品データはあらかじめ設定しておくことで、個人によるばらつきを防げると共に、標準化にもつながります。帳票類のレポートテンプレートも事前に設定しておくことも標準化につながります。
DMG森精機株式会社も「EPLANプラットフォームには設計者の知識、ノウハウをデータとして蓄積、すぐに共有化できる点が良い」とEplanの導入事例を語っています。
上で述べたような非効率な作業は、とにかく時間がかかります。回路図を書いた後の整合性確認、製造用帳票の別途作成、部品の情報を調べて設計に反映させる・・・など。
そのせいで設計部門は多忙を極めており、標準化を考える余裕もありません。技術革新による「高度化」を求め、新規開発や競争力のある製品を生み出していかなければならない企業にとって、このような状況は良くないことは明らかです。
さて、もしEplanで電気設計の標準化すると、どうなるでしょうか。
これらの非効率な作業はとにかく忙しい電気設計者の忙しさの原因です。これは、設計データがつながることで解決できます。回路図の整合性確認は設計データがつながっているEplanならプロジェクトチェックの機能や、クロスリファレンス機能で済ませることができます。
帳票類の作成は、テンプレートを事前に設定しておき、クリック一つで回路図から情報を参照して作成します。コピーペースト作業は不要です。
部品情報もデータベースとして一元管理しておくことができます。
Eplanの標準化のメリットは、これらの機能がデフォルトで準備されているのでいつでも始められるということです。標準機能を組み合わせて、お客様に合った標準化を実現できるのです。
また、すでにある社内のノウハウやルールをEplanで標準化するサポートも提供しています。
複数の企業同士で標準化できれば、さらにメリットは大きくなります。Eplanを導入している企業間でデータのやり取りがスムーズになり、設計-製造での連携もスムーズになります。
たとえば、Eplanで設計したデータをEplanを使っている協力会社に送ると、その協力会社では作業に必要な帳票類を自動で作成できます。Eplanの帳票類自動作成機能を活用できるということです。あとはなにか修正・変更があった時も反映ができます。
企業同士のビジネスチャンスも広がるというメリットになります。
グローバル化が進むなか、日本の企業は世界と勝負しなければならない時代に突入しています。電気設計分野でも、海外進出を図っている企業、海外との取引がある企業は多くなっています。
世界で広く使用されているEplanを導入していると、海外企業からEplan形式の図面を受け取ることもあるとおもいます。
もしEplanを使っていれば、Eplanデータでのやり取りが可能になります。20か国語にも対応しているので、言語の障壁を下げ、国をまたいだ標準化につなげることも可能です。
世界基準である「グローバルスタンダード」に合わせ、世界中の企業との間でビジネスチャンスが広がったり、世界中から優秀な人材を確保できたりすれば、どれほど競争力が増すでしょうか。
やはり世界中で使用されている電気設計CAD「Eplan」での標準化を強くおすすめしたい。
DMG森精機では提携直後からドイツと日本の間で電気設計データのやり取りを頻繁に行っています。
EPLAN導入前はドイツから電気設計図面をPDFデータで入手し、日本側で再度、CADデータ化を行っていました。この手法では、非効率なデータ変換による無駄なプロセス、電気設計図に表記のない要件の確認作業や情報欠落のリスク、ヒューマンエラー等による手戻り作業等を誘発してしまうという恐れがあります。
この点、ドイツと日本で同じCADツール(EPLAN)を採用した事で、グローバルで統一されたフォーマットによる電気設計データのやり取りが可能となりました。当初、グローバルでの電気CADツールの統合には多くの課題がありました。
その1つが制御盤メーカーへ提供する、制御盤製作指示図の統一化でした。
日本とドイツの制御盤メーカーでは制御盤製作における考え方や製作プロセスが異なるため、製造で必要とされる情報の種類も違います。もちろん、日本とドイツで仕様書に記載する内容が違えば標準化の妨げになります。
日本に必要な要件とドイツに必要な要件の表現方法を統一し、これをグローバルルールとして、EPLANシステムに反映させる、仕様書の受け取り手である制御盤メーカーが日本でもドイツでも違和感ないような運用ルールを確立させることに苦労したそうです。
全文はこちらから
Eplanで電気設計の標準化すると、どうなるかで紹介した機能の詳しい説明はこちらのブログで読むことができます。EPLANがどのように手戻りを削減し、電気設計プロセス全体の効率と品質向上に貢献しているのか機能紹介を通して具体的にご紹介します。
参考:
公開日:2018年2月7日
最終更新日:2024年7月16日