会社概要
世界最大の工作機械メーカーDMG森精機株式会社では、ドイツDMG MORI AGとの資本・業務提携を経て完全統合をし、現在は機種統合を進めている。その中で、電気設計エンジニアリングシステムの刷新のキーポイントとして、電気設計図面の国際標準化を強力に 支援するEPLANの電気総合エンジニアリングツールが採用された。
次世代グローバルエンジニアリングプラットフォーム構築プロジェクトへの取組み
DMG森精機では提携直後からドイツと日本の間で電気設計データのやり取りを頻繁に行っている。EPLAN導入前はドイツから電気設計図面をPDFデータで入手し、日本側で再度、CADデータ化を行っていた。この手法では、非効率なデータ変換による無駄なプロセス、電気設計図に表記のない要件の確認作業や情報欠落のリスク、ヒューマンエラー等による手戻り作業等を誘発してしまう。
この点、ドイツと日本で同じCADツール(EPLAN)を採用した事で、グローバルで統一されたフォーマットによる電気設計データのやり取りが可能となった。
電気設計図面の自動生成と製造連携で生産リードタイムを短縮
当初、グローバルでの電気CADツールの統合には多くの課題があったと服部氏は言う。その1つに制御盤メーカーへ提供する、制御盤製作指示図の統一化が挙げられる。
日本とドイツの制御盤メーカーでは制御盤製作における考え方や製作プロセスが異なるため、製造で必要とされる情報の種類も違ってくる。もちろん、日本とドイツで仕様書に記載する内容が違えば標準化の妨げになる。
「日本に必要な要件とドイツに必要な要件の表現方法を統一し、これをグローバルルールとして、EPLANシステムに反映させる、仕様書の受け取り手である制御盤メーカーが日本でもドイツでも違和感ないような運用ルールを確立させることに苦労しました。」服部氏
また、これに取り組む中で、それまで表面化していなかった制御盤メーカーとの非効率な業務プロセスを発見できたという。
同社では従来、工作機械に関する標準電気図面と、仕様ごとのオプション部分の電気図面を個別に作成/管理していた。制御盤メーカーではそれらの電気図面を、受注した工作機械の仕様に合わせて手作業にて再編集し、完成図面を作成していた。
EPLAN導入後は標準図面と全てのオプション図面を一つのプロジェクトデータ内で管理し、それを受注した工作機械の仕様に合わせて自動で完成図面の作成を行う事ができるシステムを構築した。
設計者の知識、ノウハウをデータとして蓄積し、共有化できる点が良い
社内でのコミュニケーションでもEPLANは活用されている。
「EPLANプラッ トフォームには設計者の知識、ノウハウをデータとして蓄積、すぐに共有化できる点が良い」服部氏
たとえば、ある設計者が調べたモーターの仕様を、また別の人が調べる。これでは、同じ作業を繰り返しており効率的ではないが、データの共有化がされていない電気設計業務の現場ではよくある光景である。
これをEPLANを使って標準化すると、1人が調べたモーターの仕様をマクロ(ライブラリ)としてデータベースに登録し、2人目以降は調べる事なくそれを活用して設計を進められる。このように設計者全員が一元管理されたデータを使い設計を行う事で、設計効率が向上し、また、電気図面品質の向上にもつながる。
設計から製造までつながる仕組みへの挑戦
今後はEPLANを活用して電気設計に関する情報を一括管理し、広義のPLMの一翼として製品にそれを反映し、最終的にお客様へメリットを提供していきたいと服部氏は考えている。そのために電気設計だけに止まらないEPLANエンジニアリングツールの更なる進 化を期待している。
DMG森精機は単に電気設計業務の効率化だけに目を向けるのではなく、設計から製造・サービスまで全ての業務効率化・コスト削減と、工作機械の製造リードタイム短縮を狙う。
導入事例完全版
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