IEC規格とは?JIS規格、ISO規格との違い
2024/04/02
トレンド
近年、制御盤を含む電気設計業界では、設計・製造効率の向上や設計と製造の連携が求められています。製造連携を考えるときに重要になるのが、制御盤のデジタルツインと部品データです。デジタルツインは設計と製造の連携に、部品データはすべての始まりとして重要な役割を担っています。
制御盤の小型化、短納期、多種多様化、人手不足、工数削減、海外メーカーとの競争や海外展開など、制御盤や装置に求められることがたくさんあります。そのため、ミスを減らすためにダブル・トリプルチェックをする、設計の標準化に取り組む、ノウハウの有効活用や手戻り防止策を講じるなど、各企業で様々な取り組みがされています。
しかし、今と同じやり方の延長戦で対応できるのでしょうか。
JEMAの制御盤製造業界向けDXガイドラインよると、日本の強みである設計・生産のノウハウをデジタル技術を用いて、だれが見ても理解でき、それを資産とすることが求められています。
従来,日本の製造業はTPS(トヨタ生産方式)に代表されるように,有能な現場の人材を基軸とした設計・生産の一体化(すり合わせ)によって生産性向上を実現し,グローバルでの高い競争力を維持してきた。しかしながら昨今,Industry4.0のようなデジタル技術の活用が進む潮流の中で,日本の製造業が従来のように人の力によって実現してきた強みが通用しなくなってきた。(中略)今後は、日本の強みである設計・生産のノウハウをデジタル技術で形式知化及び資産化し,人の創造性を活かすようなデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進していく必要がある。
電力・産業システム :[パンフレット(無料)]制御盤製造業界向けDXガイドライン|JEMAより抜粋
では、Industry4.0を発表したドイツの制御盤の設計・製造が今どうなっているのでしょうか。世界最大の産業見本市ハノーバーメッセ2023では、制御盤の設計・製造の自動化に関する展示が多く、一つの企業ではなく、企業間連携による展示がなされていました。
制御盤の設計製造 自動化加速する欧州
4月16日から21日までドイツ・ハノーバーで行われた世界最大級の国際産業見本市ハノーバーメッセ。制御盤関連企業のブースでは、制御盤の設計・製造自動化につながる製品・技術が多く展示されていた。EVや再生可能エネルギー、自動化など、電気の活躍の場がさらに広がるなか、それを支える制御盤の需要も増加すると予測し、ヨーロッパでは盤業界を挙げて設計・製造の自動化環境の整備が進んでいる。
さらに、オートメーション新聞はIIFES2024でこんなポストをしていました。電気設計CADデータと制御盤筐体メーカーの連携が強くなるということは、日本市場でも設計から製造連携の機運が高まっているということの表れではないでしょうか。
そして #IIFES の個人的な注目トレンドその③は、盤の設計製造連携
— オートメーション新聞/ものづくり.jp株式会社 (@MonodzukuriJP) January 31, 2024
ゴシップ風に言うと、
【盤の設計製造連携、電気CADと箱メーカーのタッグ戦線が激化!】的な感じかな笑
今回、ECADは日東工業のキャビスタとの連携強化で、盤の箱づくりの効率化提案をしてます(日本タッグ)…
制御盤製造の連携や自動化でカギとなるのが「設計データ」です。
例えば筐体の穴あけ加工を自動でする場合、元となるデータはどこにありますか?自動電線加工機を使って電線を自動で加工する場合も同様です。何を元にして加工するのか、元となるデータをどのように作るかが重要です。現場現物合わせのように、実物を測って穴あけ数値を算出し、加工機に入れるのでしょうか。
そこで重要になるのが、実際の制御盤と全く同じ3Dデータで作成された盤、いわゆる制御盤のデジタルツインです。制御盤のデジタルツインでDINレールやダクトはどこに置くのか、穴あけが必要な位置はどこか、電線はどこを通すのか、必要な長さはいくつなのか…といった、従来現物を見ながら対応していた作業をすべてソフトウェア上で把握することができます。
EPLAN ProPanelを使って作成した3D盤のデータと穴あけ加工図
EPLAN Pro Panelで作成したこの穴あけデータを、リタールのPerforexにデータを送ると加工機が自動で穴あけをします。
電線のルーティングもデジタルツイン上で行うことで、事前に必要な長さが計算できます。電線自動加工機にデータをインポートすることで、現物を待つより先に電線を前倒しで加工し作業の準備できます。
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もっと詳しく制御盤のデジタルツインについて知りたい場合はこちらの記事をどうぞ
制御盤の3D電気設計でデジタルツインを活用するメリット
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電線の長さが自動で計算されたり、マウンティングプレートの穴あけ位置が自動で算出され、自動加工機械との連携を可能にするためには制御盤のデジタルツインが必要です。ではそのデジタルツインや計算の基礎となるものは何でしょうか。それは「部品データ」です。
電気CADに、部品メーカーのWEBサイトから部品データを手作業で入力したことが何度ありますか?どれくらいの時間がかかりましたか?データの入力ミスをしたことはありませんか?
調査によると、中小企業や機械メーカーが部品データの作成に費やす時間は、月に15時間にものぼるそうです。(Eplan Data Portal: Receive missing/incomplete device data with credits EPLAN UKより)必要な部品データはすぐに入手したい。実際は様々なメーカーのWEBサイトを訪問し、PDFをダウンロードして仕様を確認して、回路図に反映する、という作業はとても時間がかかります。メーカーによって表現や表記方法がバラバラであったり、問い合わせをしなければ確認できないこともあります。電気設計で使用するデータだけではなく、製造連携まで考えると必要な情報はさらに増えます。
EPLANは制御盤のデジタルツイン作成に必要な部品データをダウンロードして設計で使用できる、EPLAN Data Portalという部品データのポータルサイトを運営しています。Data Portalには電気設計や制御盤内のレイアウト設計に必要な高品質な部品データが登録されています。Data Portalから部品をダウンロードすると、メーカーが異なっても部品データは標準化されています。
回路設計の時に必要になるシンボルやマクロといった情報だけでなく、製造工程の時に必要になる部品の部品の3D情報や電線がどこから接続されるのかという接続ポイントパターンなどが部品データに含まれています。そしてこれら掲載されている部品データは、部品メーカーがサポートしています。
EPLAN Data Portalは誰でもアクセスできます。ぜひいつも使っているメーカーや部品がどのぐらい掲載されているのかチェックしてください。
海外メーカーだけでなく日本メーカーの掲載数も増えています。
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電気設計と製造工程の連携をするためには、設計データの活用が欠かせません。デジタルツインの導入、高品質な部品データの利用により、設計の精度を高め、製造工程を効率化が可能になります。EPLAN Data Portalから部品データをダウンロードし、EPLANのソフトウェアで設計したデータの活用によって、設計から製造に至るまでのデータの一貫性を保ちながら、生産性の向上とコスト削減を実現できます。
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掲載日:2024年2月28日