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2024/04/02
3DCAD
電気設計
機械設計と電気設計ではCADの普及状況に大きな違いが見られます。機械設計の現場では3D CADの活用が進む一方、電気設計は依然として2D中心で、ツールの選択も用途ごとに多様化しています。
では、製造業全体でCAD導入はどこまで進んでいるのでしょうか。また、機械設計ではなぜ3D活用が広がり、電気設計ではなぜ専用CADや3Dへの移行が一気に進みにくいのでしょうか。公的データや最新のアンケート結果から、製造業におけるCAD活用の実態を探ります。
➡電気設計のCADについて興味のある方は以下の記事もご覧ください。
現在の国内製造業において、CADツールの導入はどこまで進んでいるのでしょうか。
経済産業省が発行した「2024年版ものづくり白書」によると、国内製造業(デジタル技術活用企業)におけるCAD/CAMの導入率は67.8%に達しています。これは生産管理システム(66.8%)やクラウド(48.7%)などを抑えて、製造業で最も普及しているデジタルツールであり、数字上では約7割の現場でCAD環境の整備が完了していることを示しています。
デジタル技術活用企業が活用しているデジタル技術の分野(2024年)
| 1位 | CAD / CAM | 67.8% |
| 2位 | 生産管理システム | 66.8% |
| 3位 | クラウド | 48.7% |
| 4位 | IoT(モノのインターネット) | 29.5% |
出典:経済産業省「2024年版ものづくり白書」(第2章 第4節)
同じ調査で、従業員数301人以上の企業では78.3%CAD / CAM を活用していると回答している一方、300人以下の企業では67.2%にとどまりました。
ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況の推移(従業員数の規模別)をみると、301人以上の企業では90.8%、300人以下の企業では83.4%となっており、中堅メーカー・大企業と中小企業の間にはまだデジタル活用の差が見られます。
このことから、製造業全体ではCAD導入そのものはかなり進んでいる一方で、その活用の深さや、より高度な設計環境への移行には企業規模による違いが残っているといえます。
ものづくりの工程・活動における
デジタル技術の活用状況の推移(従業員数の規模別)
| 従業員数301人以上の企業 | 90.8% |
| 300人以下の企業 | 83.4% |
出典:経済産業省「2024年版ものづくり白書」(第2章 第4節)
次に、具体的に使われているツールを見てみましょう。
機械設計の分野では、2D CADと3D CADの役割分担がある程度整理されてきています。
2D図面の作成・編集ではAutoCAD系ツールが広く使われており、3D設計ではSOLIDWORKSなどの3D CADが多くの現場で採用されています。
かつてはさまざまなCADツールが乱立していましたが、現在では用途に応じたツール選択が進み、機械設計分野では設計環境が比較的標準化されてきていると言えます。
電気設計の分野においてはどのようなツールが選ばれているのでしょうか。
製造業向け情報サイトTech Factoryでは、2019年に「電気設計者の課題に関するアンケート調査」を実施。回答数159件のうち、62.9%はすでに電気CADを導入していると答えています。つまり、電気設計分野でもCAD導入自体は一定程度進んでいます。
一方で、実際に使っているツール名を聞いたところ、2019年の調査ではAutoCAD ElectricalやOrCAD、CR5000/8000といった名前が上位に挙がっています。ここで注意したいのは、これらの回答には制御盤設計だけでなく、PCB回路設計や基板設計など異なる用途向けのソフトウェアも混在していることです。
2019年調査 導入済みツールの名称一部抜粋(調査データは下記参考にリンク)
電気CAD 2019年
| AutoCAD Electrical | 26.4% |
| OrCAD | 22.6% |
| CR5000/8000 | 21.4% |
| EPLAN | 1.9% |
| その他 | 35.2% |
それでも、この調査から読み取れるのは、電気設計の現場では今も2D・汎用CADの利用が根強く、専用CADや3Dへの移行が一気に進んでいるわけではない、ということです。
またこのアンケートでは、電気設計の課題を解決するにあたり、「ツールの新規導入は効果的ではない」と答えた人にその理由も聞いています。
ツールの新規導入は効果的ではないと回答した人(28.1%)の理由
これらのことから推測するに、何か設計に関する課題を抱えていても、どうしたら設計業務改善につながるのか検討する時間、新しいツールを試してみるコストや時間の余裕がない技術者も一定数いるように感じます。
2025年には、Eplan独自で電気設計者を対象にした独自アンケートを実施しました。
実は、電気設計CADの市場シェアを正確に示す公的統計は、ほとんど存在していません。
その理由の一つは、電気設計CADがPCB設計、制御盤設計、設備設計など用途ごとに大きく分かれており、同じ「電気CAD」という言葉でも対象となるツールの範囲が異なるためです。
これは、Eplan主催のイベント参加者にアンケートを行った結果であり、市場全体のシェアを反映したものではありません。しかし、現在のツール利用の動向を読み解く参考データとしてみることができます。
「現在電気設計で使用しているCADは何ですか?」というアンケートの回答で、特定のメーカー名として名前が挙がったのはAutoCADで15.5%でした。さらに、ACAD-Denki(4.7%)やAutoCAD Electrical(3.8%)を含めると、AutoCADプラットフォームが依然として電気設計の現場で広く使用されていることが分かります。
一方で、より注目すべきなのは、その他が過半数(52.5%)を超えていたという点です。
ECAD、図研E3、SOLIDWORKS、Eplanなど複数のツールが並ぶ一方で、回答は特定ツールに集中していませんでした。
TechFactoryの調査と同様、用途の異なるソフトウェアが混在しています。これは設計や業務プロセスがまだ標準化していないことを意味します。つまり電気設計分野では、「ツール選択の競争というより、設計の在り方そのものが再定義されつつある過渡期」であると言えます。
Eplan独自アンケート
現在、電気設計で使用しているCADは何ですか?(n=316)
| AutoCAD | 15.5% (49件) |
| ECAD | 7.0% (22件) |
| 図研E3 | 6.3% (20件) |
| SOLIDWORKS | 5.1% (16件) |
| Eplan | 5.1% (16件) |
| ACAD-Denki | 4.7% (15件) |
| AutoCAD Electrical | 3.8% (12件) |
| その他 | 52.5% |
※本調査はEplanが実施したアンケート結果(n=316)であり、市場全体のシェアを示すものではありません。電気設計CAD市場はPCB系/制御盤系/設備系など用途が幅広く、統計としてのシェアが整備されていません。そのため本アンケートは、現場でのツール利用傾向を読み解く参考データとして位置づけています。
Eplanが日々お客様と接する中でも、多くの現場では電気CADは「回路図」を作図するためだけのツールとして使われており、制御盤のレイアウト検討などは2D図面、あるいは手作業で行われているのが実情です。
では、なぜ電気設計では3D化や専用CADへの移行が機械設計ほど一気に進みにくいのでしょうか。
その背景には、電気設計における3D化が、機械設計のような単純な「形状の3D化」とは異なる、「電気設計特有の業務プロセスの煩雑さ」 という事情があります。
SOLIDWORKSやInventorなどの汎用3D CADは、形状モデリング(メカ)に最適化されています。一方、電気設計の3D化で求められるのは、回路情報・部品属性(BOM)・端子台・配線・盤レイアウトといった電気固有の情報をつなぐことです。
電気設計では回路情報と制御盤の物理レイアウトが分断され、制御盤の設計や実装は協力会社にゆだねられるケースが少なくありません。その結果「回路図を描く工程」と「製造工程」がデータで直接つながりにくい構造が生まれています。
電気設計の本質的なボトルネックは「回路図作図」ではなく「情報の分断」です。このため、電気設計の3D化は単なる作図ツールの進化ではなく、部品属性、回路情報、BOM、配線図、制御盤レイアウト図…これらをデータでつなげるという、「設計情報の扱い方」そのものの転換を伴います。
つまり、電気設計の3D化とは、形状を3Dにすることそのものではなく、回路・部品属性・端子・配線・BOM・盤レイアウトといった電気データを一元化し、設計から製造までのプロセスをつなげることを意味します。電気設計の3D化は、単なる作図ツールの進化ではなく、設計情報の扱い方そのものを変える取り組みです。
しかし、機械設計が「手書き→2D CAD→3D CAD」と進んできたのと同様に、電気設計もいずれ3Dへ移行する時期が必ず訪れるでしょう。
電気設計と機械設計は同じではありませんが、3D導入によって現場で何が起こるのかという点では、機械設計の先行事例から学べることがあります。
参考:メカエレ連携がなぜここにきて重要なのか?|メカトロニクスの実現に向けた電気設計の3D化とモジュール化(You Tube)|EPLAN資料より
主なメリット
主なデメリット
これらは電気設計にも通じる示唆です。3D化や専用CAD導入は、単に新しいツールを入れれば終わる話ではなく、設計ルールや部品情報の整備、運用の見直しまで含めて考える必要があります。
実際に「2D設計や今の設計手法で何とかなっているものを3Dにするのは…」というお客様とお話しすることもあります。
電気設計(特に制御盤の設計)の現状は、
「2D設計や今の設計手法で書いたもの(外部の協力会社が読み取ってくれ製造してくれる)を、3D設計にする」というのが多くの現状です。外部の協力会社が何とか読み取ってくれ製造してくれる、という点をどうとらえるのかによって2D CADでいいのか3D CADがいいのかが分かれるのではないでしょうか。
ここまで見てきたように、機械設計では3D CAD活用が進みつつあり、電気設計では今も2D・汎用CADの利用が根強い一方で、専用CADやデータベース化への関心も高まっています。
重要なのは、これからの電気設計において問われるのは「2Dか3Dか」という単純な二択ではない、ということです。本当に重要なのは、設計情報をどう一元化し、どう次工程につなげるかです。
「人手不足で業務のやり方を変えなければならない」
「取引先から3Dデータを要求されるようになった」
周囲の変化へ対応していくために、電気設計専用CADの導入を検討する企業は年々増えています。
今後、電気設計でも3D活用は進んでいくと考えられます。ただしそれは、機械設計と同じ道をそのままたどるというよりも、電気設計ならではの情報統合を前提とした形で進んでいくはずです。
これからの電気設計CAD選定では、「作図できるか」だけでなく、「設計情報をどこまでつなげられるか」という視点が、ますます重要になっていくでしょう。
電気設計では、回路図作成から3D制御盤レイアウト設計へと設計範囲を広げていくことが重要です。この順番が、電気設計のデジタル化を進める鍵になります。
電気設計の3D化・データベース化を実現できる専用ツールはいくつかあり、どれが最適かは要件次第です。制御盤や装置の電気設計におけるCAD選定の視点とポイントをわかりやすく解説した無料ガイドを作成しました。
電気設計CAD選定時にぜひ参考にしてください。
参考:
公開日:2021年3月30日
最終更新日:2026年3月17日