電気CADの切り替えを検討するとき、必ず考える過去の設計資産をどのように生かすのか。Eplanはどのようにこの問題に対応し、ユーザーの電気CADの入れ替えをサポートしてきたのかご紹介します。
従来の電気CADを長年使用してきた電気設計者は、従来の電気CADの限界にもう気づいているかもしれません。いま広く使用されている電気CADは、もともと機械設計のために開発されたもので、電気設計に特化していません。
特化していませんが、基本的な電気回路図はほとんど何でも描くことができます。そのため、電気回路図をただ書くという点では、特に問題にはなりません。
しかし、この回路図をただ書く、という作業が、回路図のコピーペースト作業の多さにつながったり、帳票類は別途作成しなければいけないなど、電気設計で工数のかかる原因でもあります。
人手不足や効率化などの動きもあり、やっと2017年頃から、電気設計専用CADの重要性が認知され始めました。現在では機械設計は機械CAD、電気設計は電気CADとそれぞれ導入検討を進める企業が増えてきました。
電気設計専用CAD導入を考えると、今までの電気設計CADで書いてきた設計資産をどうするのかという疑問が出てきます。できるのであれば、過去の設計資産を生かし、新しいシステムにデータを移行したいですよね。しかし、膨大な過去の設計資産を移行するとになると、大変な作業に聞こえます。
実際には、過去の電気設計データを、電気設計専用CADのデータとして生かすことは難しいのです。
従来の電気設計CADで書いた回路図が「回路図の絵」だとすると、電気設計専用CADのデータは回路図に部品の情報や接続情報などが含まれています。
従来のCADツールで作成された設計データには、図面に添付されているデータがほとんどないことが多く、電気設計専用CADにそのままインポートしても意味がありません。
なので、従来の電気設計データ と 電気設計専用CADデータ は 全く別ものということになります。
Eplanはシンボルに部品情報を割り当てています。データがあるのでこのように別ページにジャンプすることができます。
今までの電気設計データ、要するに電気図面を、丸ごとEplanにインポートして設計資産を移行することは難しいです。DXFまたはDWGからEplanにプロジェクトをインポートすることが一番簡単な方法に思えますが、グラフィカルデータではEplanの強みが発揮できません。
Eplanに移行するときは「書き直す」ことをおすすめします。
心配はいりません。電気図面という過去の設計資産を生かすのではなく、Eplanは「お客さまの頭の中にある過去の設計資産」を活用して、図面をEplanに書き直していきます。
電気設計をする時、過去の図面で何度もコピーペーストしている箇所はありませんか。いつも使う部品の組み合わせや、ルールはありませんか。
そのようなお客様の設計ルールを確認し、設計データが再利用しやすい形で、規格に準拠したドキュメントが自動で作成できる設計をどうしたらEplanで達成できるのか。それをEplanのコンサルタントが伴走しながら一緒に考えます。Eplanはすでにお客様が持っている設計資産を、より効率的に使えるようにするにはどうしたら良いのか、どこを標準化したらよいのかを重視しています。
パイロットプロジェクトでEplanを使用する場合など、プロセスによっては、お客様の既存の電気図面をEplanプロジェクトに書き直すこともあります。その場合も、元の図面を取り込んで書くのではなく、Eplanを使って回路図を書いていきます。
パイロットプロジェクトでEplanを使用する場合などは、こちらからスタートする場合が多いです。それなりに工数はかかりますが、すでにある図面をEplan化できます。
いまの図面をEplanですべて書き直したい、でも社内のリソースでは間に合わないという場合も、一度ぜひEplanにご相談ください。
DXFまたはDWGからEplanにプロジェクトをインポートすることも、もちろんできます。インポートされたページはグラフィカルな図面のみで、様々な編集ツールで修正することができます。
ただ、Eplanの強みは生かせないデータになってしまうというデメリットがあります。オススメはできません。
こちらがDXFデータをEplanに取り込んだものです。グラフィカルデータになってしまうので、シンボルに部品情報もなく、接続の情報も入っていません。
Eplan導入時の立ち上げ支援からEPLAN運用中のすべてのプロジェクトフェーズを通して、電気設計に特化した適切なサポートを提供しています。
今回のようなEplan導入時のプロジェクト最適化もその一例です。最新技術や業界のベストプラクティスに関する専門知識を備えたコンサルタントは、効率的なプロセス改善、無駄の削減、コスト削減について、お客様に合ったベストな方法を考えて提供します。
Eplanのコンサルティングサービスについて、オーストリアのZKW社は導入事例の中でこのように語っています。
多くの企業は、ソフトウェアを切り替えることをハードルと考え、少なくともある種の恐怖心を抱いているようですが、EPLANを導入したユーザーにとっては、心配は杞憂に終わることが多いようです。
EPLANとZKWの最初のステップは、コロナの大流行が始まった2020年に行われましたが、「シンプルでわかりやすかった」と同社の担当者は述べました。
両者の担当者が協力して具体的な目標を定め、それを達成するために段階的なアプローチをとりました。
参考:常に変化する複雑で精密な組み立てラインに対応するためにEPLANで標準化と自動化を導入
過去の設計資産をどうするのか、お客様によってやり方は異なります。正解はありません。
どうしてもすでにある図面をEplanですべて書き直したい、でも社内のリソースでは間に合わない、Eplanで書き直すといっても実際にどのぐらいの時間が必要なの。など移行に関するご質問は、なんでもお気軽にご相談ください。
電気設計専用CADを導入した目的やゴールに向かうためには、過去の設計資産をどうするのか、Eplanはそれを一緒に考え、実行、サポートする知識とサービスがあります。
電気設計CADを入れ替える際はぜひ、導入サポートにも注目して検討してください。
電気CADの切り替えに伴う過去の設計資産の活用方法について詳しく紹介しました。Eplanを使った移行方法やサポートの重要性についても触れました。
過去の設計資産をどうするか悩んでいる方は、Eplanの導入サポートを活用してスムーズに切り替えることができます。Eplanはお客様の設計ルールやニーズに合わせて最適なサポートを提供しています。
電気設計CADの導入に関する疑問やご相談があれば、お気軽に問い合わせてみてください。
参考
公開日:2024年5月7日