IEC規格とは?JIS規格、ISO規格との違い
2024/04/02
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ず初めにここでの「電気設計」とはプリント基板設計や電気基盤の設計ではなく、制御盤や配電盤、制御設計を扱う電気設計を言います。
機械設計は3D化がどんどん進む一方で、電気設計は長らく「ドローツール」のようなソフトウェアで設計をしていました。回路図は「グラフィックスの線」の情報でしかありません。シンボルを描き、線を引き、過去の回路図をコピーして修正するというような設計方法でした。
コピペによる作業では、エラーの修正が忘れられている「グラフィックスの線」をコピーして使用して、またミスを引き起こし、再度修正に時間を取られてしまうことがありました。そもそもコピー先の図面探しに時間を取られることもあります。
CADで設計した後、部品表を作るためには、Excelや別のソフトを使い、新しいファイルを手作業で作成する必要もあります。回路図を書くという作業に時間がかかり、ほかの業務の忙しさも相まって電気設計者はいつも多忙を極めています。
インダストリー4.0が叫ばれだしたころ、ものづくりのコスト削減や効率化を見直す動きが起こりました。呼応するかのように、電気設計専用CADも注目を集めるようになりました。
しかし、製造業向け情報サイトTech Factoryで、電気設計者を対象にした、2019年「電気設計者の課題に関するアンケート調査」では、まだ電気設計に様々な業種向けのソフトウェアを使用していることがわかりました。EPLANにお問い合わせをいただく電気設計者も、各社様々なCADを使って設計しています。
2019年調査 導入済みツールの名称一部抜粋
電気CAD | 2019年 |
AutoCAD Electrical | 26.4% |
OrCAD | 22.6% |
CR5000/8000 | 21.4% |
EPLAN | 1.9% |
その他 | 35.2% |
電気設計CADのシェアと普及率は?機械CADの2D-CADと3D-CADシェアと普及率と比較して考えるより表を引用。(出展元はリンクよりご確認ください。)
今は電気設計専用CADを謳うCADがいくつかあります。機械CADベンダーが出している電気設計CADや日本のCADベンダーが出しているCAD、EPLANのように電気設計を専門にしているCAD。みんな違ってみんないい。のですが、今回はEPLANのような「総合電気設計CAD」や「データベース型CAD」の電気設計CADについて取り上げます。
汎用CADでは自分でシンボルを準備する、シンボル間の結線を手で引く、部品表を別のソフトにコピーペーストして作成するという「手作業」が多くあります。手作業が多ければ多いほど、ミスが発生する確率も上がり、付随して手戻りも増えます。とにかく効率が良くないのが汎用CADで行う電気設計でした。なぜ電気設計者がこんな苦労を長年していたのでしょうか。機械CADはもう3Dに移行しているというのに。
参考:メカエレ連携がなぜここにきて重要なのか?|制御盤メカトロニクスの実現に向けた電気設計の3D化とモジュール化
総合電気設計CAD、データベース型電気CAD、電気設備用電気設計CAD、制御設計CAD…呼ばれ方はいろいろありますが、電気設計者が手作業でしていた作業をソフトウェアが代わりにすることで設計業務をラクにしようというのが電気設計専用CADです。
電気設計に特化した電気CADを使うことで、回路図の矛盾やミスを早い段階で回避できます。電気設計専用CADごとに機能は多少違います。標準で使用できる機能、要件に合わせて特別に開発する機能など。ぜひ導入前に調べてみてください。
たとえばEPLANでは、特別な開発は必要なく、デフォルトでこのような機能を使って設計できます。
メーカーによってもちろん違いはありますが、回路図を書く作業が楽になるという点は同じです。
たとえば、Eplanでは図面にシンボルを配置したらシンボルとシンボルの間の線が自動でつながります。さらに接続の情報を図面の中に入れられます。
シンボルを移動/コピー/削除すると、配線の接続が自動修正されるので、手作業でテキストを修正する必要はありません。
参考:もっと電気設計をラクにする機能を詳しく知りたい方はこちら
電気設計の手戻りを減らす電気設計CAD EPLANの機能とは?
使用した部品データや回路図など、設計データをデータベースで一元管理している場合、設計変更の対応もスムーズに行えるというメリットがあります。
EPLANはEPLANプラットフォームと呼ばれるデータベースに電気設計データを一元管理しています。
図面から必要な情報を拾い出してドキュメントを作成する作業も、多くの手間と時間を要しますが、データベースで情報を一元管理していれば、部品リストや結線図、端子図などの情報が自動で作成できます。電気設計専用CAD、ベータベース型電気設計CADなど細かく比較すれば違いはありますが、汎用CADを使い手作業で行っていた作業をソフトウェアが自動で行うので設計作業がぐっと楽になるという点は同じです。
EPLANの電気設計CADが他社製品と大きく違う点は
という点です。
新しいCADにリプレイスすることになると、必ず「今までやっていたxxxという作業はできますか?」と聞かれます。
要件に合わせて特別にカスタマイズや開発をすれば対応できるCADもあると思います。EPLANでは豊富な標準機能を使って、同じ設計ができたり、よりよい設計方法のご提案をして同じような設計を再現できます。
電気設計を専門にソフトウェア開発し続けているEPLANだから、必要な機能をほぼ標準機能として提供できます。
参考:どちらの電気CADが自社に合う?標準ソフトウェア VS カスタマイズ
統一プラットフォームで電気設計データを管理できるという点も、電気設計だけを考えウン十年製品開発をしていたEPLANならではのしくみです。
部品データ・回路図データ・レポートなどすべての情報がEPLANプラットフォームと呼ばれる場所で一元管理されています。例えば使用する部品をA社からB社に変更した場合。回路図データも部品表も連動して自動で変更されます。さらに電気設計データだけでなく、例えば制御盤内の3Dレイアウト設計も行った場合、その3Dレイアウト設計データも同じプラットフォームで情報が管理されています。なので、A社からB社に部品を変更した場合、制御盤のレイアウト設計データも部品の3Dグラフィックスが変更されます。
CAD導入では、こうした機能差の比較をされがちです。マルバツ表を作って機能の比較検討をする、できる・できないの比較をする設計者が多い印象です。しかし機能差をよく見るだけでなく、導入によって実際の業務がスムーズに立ち上がるかどうかも重要です。設計業務は、個々人のスキルやノウハウに依存して属人化しやすい業務です。設計業務からドキュメント作成まで、標準化された回路図データを用いて回路図作成自動化を支援する機能を活かすことで、業務へ負担なく適応できる上に平準化も進んでいくと考えられます。
参考:電気CAD導入時に機能比較をしすぎてはいけないたった1つの理由
EPLANとドイツアーヘン大学のヨーロピアン4.0トランスフォーメーションセンター(E4TC)は、電気設計者が効率向上のためにどのような手段をとることができるのか、制御盤の設計と製造の戦略的デジタル化について調査したレポートがあります。
調査結果では手作業から部分的標準化に設計手法をあげると25%の設計効率化が見込まれることがわかりました。
また、基本的に手作業で作成し、絵としての回路図を使っている、手作業から、部品データや設計テンプレートの標準化を行っている、標準化へ進めると、回路図作成に必要な時間を50%短縮することができることが明らかになりました。
調査の内容をまとめたブログはこちら
汎用CADから電気設計CADを使った場合電気設計は何%効率化できる?
この調査レポートにある「自動化」とは電気設計の自動化を指します。
電気設計を標準化することで、回路図の作成を大幅に加速・自動化することができます。
参考:■デモ動画あり■13秒で63ページの回路図を自動生成!電気回路図を短時間で作成するために必要なこと より。回路図自動生成のデモ
電気CADの切り替えを検討するとき、必ず考える過去の設計資産をどのように生かすのか。
電気設計専用CAD導入を考えると、今までの電気設計CADで書いてきた設計資産をどうするのかという疑問が出てきます。できるのであれば、過去の設計資産を生かし、新しいシステムにデータを移行したいところ。しかし、膨大な過去の設計資産を移行するとになると、大変な作業に聞こえます。
実際には、過去の電気設計データを、電気設計専用CADのデータとして生かすことは難しいのです。
なぜなら、いま広く使用されている電気CADは、もともと機械設計のために開発されたもので、電気設計に特化していません。
特化していませんが、基本的な電気回路図はほとんど何でも描くことができます。「なんでも描くことができる」これはそのため、従来の電気設計CADで書いた回路図が「回路図の絵」であることが多い理由です。
従来のCADツールで作成された設計データには、図面に添付されているデータがほとんどないことが多く、電気設計専用CADにそのままインポートしても意味がありません。電気設計専用CADのデータは回路図に部品の情報や接続情報などを含むから、効率的に設計ができるのです。
なので、従来の電気設計データ と 電気設計専用CADデータ は 全く別ものということになります。この点を踏まえて、過去の図面をどう生かすのかを考える必要があります。
ちなみに、Eplanでは移行するときは「書き直す」ことをおすすめしています。
電気設計データを一元管理できる、電気設計専用CADを使えば、PDM/PLM連携システムとの統合もできます。PLMシステムと連携することで、下記のようなメリットをさらに得ることができます。
発注・調達システムとの連携などをすることで、ビジネスプロセスがスムーズになり、効率的に作業を行えるようになります。
中国総合建機メーカーSany/三一重工 –は導入事例でEPLANとPLM連携について下記のように語っています。
電気設計に特化した電気CADでは、3Dの部品データを使用することで標準的な2D回路図だけでなく、制御盤の3Dモデルも作成できます。制御盤内のレイアウト設計も正しいデータを使うことで効率的に設計・製造工程を進めることができます。
2D図面では、空間や寸法に関する設計ミスやエラーを発見することが難しいです。実際に組み立ててみると、制御盤内の部品同士が干渉してしまうこともあります。経験の浅い設計者は、2D図面を見て頭の中で立体におこして考えることに時間がかかってしまいますし、ミスも起こりやすいです。かといって、2D図面を見ただけですぐに立体を思い浮かべることができるベテラン設計者ばかりに作業負荷をかけるわけにもいきません。
電気設計を3Dで行うと、設計段階でほぼすべてのエラーを解決することができます。
例えば、EPLANでは、制御盤内の部品の配置やレイアウト設計も3D上で部品が干渉して制御盤のドアが閉まらない場合、干渉していますよというエラーを検出します。実際に部品を組み付ける前に修正できるので、ソフトウェア上で部品の配置場所を変更し、全体のレイアウト図をすぐに修正することができます。3D表現された図面はだれが見ても理解しやすく、部品の位置、干渉、空間、レイアウトなどを把握できます。
部品同士が干渉していると赤くエラーが表示されます。
3Dレイアウト設計だけでも、製造前の問題を回避できるというメリットは十分にありますが、回路設計のデータと制御盤内のレイアウト設計データがつながっていれば、部品同士の配線設計でもメリットがあります。制御盤内に配置された部品と部品を、回路図情報を参照して自動で配線します。すると必要な配線長が事前にわかります。配線ルートは手動でも変更できるので、細かい調整ももちろん可能です。
3Dレイアウト設計と電気設計(回路図)のデータ連携ができるのか、これらのデータは一つのデータベース上で完結しているのか。ソフトウェアによってそれぞれ違いはあると思いますが、電気設計データはレイアウト設計でも活用できます。
従来の制御盤の製造工程における板金加工作業は、取り付け板の穴あけやの切り抜きなど、手作業で行われてきました。電気設計専用CADを使い、設計データをその場合でも、電気設計専用CADを使
用すれば、機械加工に必要な寸法等の製造情報を設計図からデジタルデータとして取得出来ます。寸法線のデータを手入力で加工機に入力するというような手間がなくなります。
穴あけや切断を行う取り付け板やキャビネットの表面に一時的に貼り付けることで、精度を出しやすくなり、ミスを大幅に減らすことができます。あらゆる種類の板金加工に穴を開けたり切り込みを入れたりする機械を使えば、手作業によるミスは減り、精度は保証されます。必要なダクトとレールの長さも自動で計算され、加工機でカットすることも可能です。
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EPLANの電気設計CADを1時間でさらっとご紹介している定期セミナーです。
掲載日:2023年1月26日
最終更新日:2024年7月18日