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電気設計ツールの選定で見落としていませんか?選ぶ前に考えてほしい3つのポイント - 世界標準の電気設計CAD EPLANブログ

作成者: Admin|May 18, 2025 3:00:00 PM

電気設計部門の方々は、日々の設計業務に従事される中で、「さらなる効率向上を図りたい」「よりよい方法はないのか」といった疑問を抱き、電気設計ツールの更新や新規導入を検討されている方が多いのではないでしょうか。

しかし、電気設計という分野において、どのような基準でツールを選定し、どのような効果を得ているのかといった具体的な事例をインターネットで見つけるのは容易ではありません。そのため、多くの担当者が自社の課題を解決するためのツールを模索している状況です。

本記事では、電気設計ツールの選定に悩む担当者の皆様の参考となるよう、
資料「電気設計部門がツール選びをする時に一度考えてほしい3つのこと」を基に、ツール選びのポイントを詳しく解説いたします。

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もくじ
  1. 電気設計ツール入れ替え検討のきっかけは?
  2. ツールの入れ替えを検討する、具体的な5つの理由
    1. 設計の効率化に関する課題
    2. 制御盤製造に関する課題
    3. 海外案件対応に関する課題
    4. 他にもこのような課題も
  3. 多くの設計者が抱える課題は「設計の効率化」
  4. そのツール選定方法、本当に大丈夫? ○×比較の落とし穴
  5. 後悔しないツール選び!選定前に「一度考えてほしい」3つのこと
    1. ポイント1:電気設計に特化していない汎用CADを選んでいないか
    2. ポイント2:標準化した設計データを何に利用するか考える
    3. ポイント3:海外案件対応の必要性の増大について
  6. 効率化のその先へ、本来の設計業務に注力するために
  7. 電気設計CAD選定ガイドもお役立てください

電気設計ツール入れ替え検討のきっかけは?

どのような状況になると電気設計ツールの入れ替えを検討が始まるのでしょうか。
資料には、架空の工作機器メーカーの電気設計部 伊藤部長を例にした、検討のきっかけイメージを紹介しています。

伊藤部長は、20人の設計者を束ねていますが、納期はいつも短く、手戻り作業が頻繁に発生し、残業が多い状況です。また、仕事がベテラン設計者頼りになってしまい、若手の育成が後回しになっています。さらに追い打ちをかけるように、長年付き合ってきた制御盤メーカーから廃業の知らせが届き、急いで他のメーカーを探す必要に迫られました。

このような状況を知った上層部からは、「標準化し、電気設計の効率化と特定の盤屋に依存しない制御盤製造方法を検討するように」という指示が出ました。

伊藤部長は、「自社の仕事は特殊だから簡単に標準化できない」「ベテランと外注に頼るのが一番良い方法だ」と考え、上層部の指示に頭を抱えています。

 

このように、電気設計の効率化や標準化を求められたことが、電気設計ツールの検討を始めるきっかけになることが多いようです。

ツールの入れ替えを検討する、具体的な5つの理由

EPLANが、ツール入れ替えを検討している電気設計者の方々から聞く検討理由をまとめたところ、業種や企業規模に関わらず、多くの電気設計者が同じような課題を抱えていることがわかりました。

その課題は、主に次の5つのグループに分けられます。

  1. 設計の効率化
  2. 海外案件対応
  3. 設計の3D化の効果を検討
  4. 深刻な人手不足
  5. 制御盤製造での課題

それぞれのグループについて、具体的な課題内容を見ていきましょう。

設計の効率化に関する課題

最も多くの声が寄せられるのが、設計の効率化に関する課題です。

  • バラバラなツールを使い、別々の人が設計しているため非効率。
  • 人によって図面の書き方が違い、標準化されていない。
  • 知らずのうちにエラーのある図面をコピー・再利用し、現場でトラブルを量産してしまう。
  • 部品表やケーブル接続図作成に時間がかかり、手直しの無駄が減らない。
  • 狭い設置場所への盤設計に手間がかかり、ミスも多い。
  • 案件ごとに手間がかかり、設計工数を削減したい。
  • ヒューマンエラーなどで時間的なロスが大きい。
  • 廉価な2D機械CADで電気設計も行っているが、ツールの使い勝手が良くない。
  • 面倒な転記作業やミスをなくしたい。
  • 製造で自動加工機を導入しているのに、設計の効率化が進んでいない。
  • 回路設計、盤レイアウト検討、BOM作成でツールがバラバラでデータがつながらない。
  • 図面間の整合性が取れているか確認するのが大変。
  • 効率化と共に、情報共有化、そして設計手法の標準化を行いたい。
  • 部品選定や作図ミスを減らしたい。
  • コピー元の精度が不明で、その確認に時間がかかる。
  • コピー元図面を探すのが面倒で、最初から描き直すことがある。
  • 必要部品の検索方法が各部品ごとに異なり、時間ばかりかかる。
  • 電気設計に時間がかかりすぎる。
  • ツール導入が進む機械設計と比べて、電気設計は効率が悪い。

制御盤製造に関する課題

制御盤の製造プロセスにおける課題も多く挙げられています。

  • 外注制御盤メーカーへの過度な依存を避けたい。
  • 外注先の事業継続性が不安。
  • 設計から製造まで一貫して内製しているため、製造データの品質を向上したい。
  • 制御盤の試作(設計から製造)のリードタイム短縮が一番の課題。
  • 簡単な図面で職人が製造してくれるが、費用も言いなり。
  • 自動加工機導入による生産効率改善のため、製造用データを作成したい。
  • 詳細な盤内レイアウト・配線設計を協力会社に任せている。
  • 職人の経験と勘により現場で配線するため、ケーブル情報や加工情報がない。
  • 担当者により配線ルートが全く違う。
  • 配線ルートが図面に残らない。
  • 電気回路、ハーネスが2Dのままで、正確な製造用データが生成できない。
  • 製造現場での手作業や手戻りが多く発生する。
  • パネルレイアウトまで内部で設計することで、品質向上・統一を図りたい。
  • 設計からの製造データ品質向上は必須と考えている。
  • 提出図面を制御盤メーカーが信用せず、現場で部品配置などを変更してしまう。
 

海外案件対応に関する課題

 

グローバル化の進展に伴い、海外に関連する課題も増えています。

  • 売上における海外比率が高まり、グローバルで使える電気設計ツールが必要。
  • 欧州企業とのやり取りで規格対応が必要になった。
  • EPLANデータがヨーロッパの電装系設備の受注要件となっている。
  • 海外との連携でEPLANを推奨された。
  • アジア地域の案件など、現地での改造や故障がある度に日本から電気設計者が出張しなければならず、忙しい。

他にもこのような課題も

設計の3D化の検討

  • 電気回路図作成だけでなく、将来の3Dパネルレイアウトへの拡張に興味を持った。
  • 新規開発で3次元化を検討している。

深刻な人手不足

  • 電気設計の知識を持つ者の高齢化、配置換え、退職などにより、蓄積してきたノウハウが散逸している。
  • 深刻な人手不足のため、効率的なツールを導入しないと設計業務が回らない。

多くの設計者が抱える課題は「設計の効率化」

上記のように様々な課題がありますが、中でも「設計の効率化」を課題として認識している方が最も多いようです。
具体的に、以下のような点が多くの設計者が効率化の対象として認識している課題です。

  • バラバラなツールで、別々の人が設計している
  • エラーのある図面をコピー・再利用している
  • 時間をかけて部品表やケーブル接続図を作成している
  • 図面間の整合性が取れているか確認するのが大変
  • 情報共有化、設計手法の標準化を行いたい
  • 部品選定や作図ミスを減らしたい
  • コピー元図面を探すのが面倒で、最初から描くことがある
  • 電気設計に時間がかかりすぎる

これらの課題を解決できるツールを探すため、インターネット検索や展示会、セミナーで情報収集する担当者の方は多いでしょう。

そのツール選定方法、本当に大丈夫?○×比較の落とし穴

複数のベンダーから話を聞いていくうちに、「あれもこれも」と検討項目が増えていき、最終的に一つ一つの細かい機能を○×表を使って比較する、というパターンは非常に多いかと思います。この○×表を使った比較検討は一見分かりやすいのですが、あまりオススメできないとしています。

なぜなら、そもそも機能が違うツールを対等に比較することは難しい場合があるからです。また、ベンダーからの情報提供スピードに差があったり、お金をかければどんな機能でもカスタマイズできてしまう場合もあるため、純粋な比較にならないことがあります。

担当者の方は日々の業務に加えてツール選定も担当しており、とにかく忙しい中で、ベンダーからの大量の情報を精査しきれず、ツールの選定基準を見失ってしまいがちです。また、「効率化」を今の課題を解決することだとだけ考えてしまい、目先の機能比較に終始してしまうこともあります。

参考:どちらの電気CADが自社に合う?標準ソフトウェア VS カスタマイズ|EPLANブログ

後悔しないツール選び!選定前に「一度考えてほしい」3つのこと

そんな忙しい電気設計者の皆さんに、EPLANがツール選びをする時に一度だけ考えてほしいことが3つあります。

それは、「効率化した暁にはどういう仕事をしたいですか?」という問いかけに繋がる考え方です。

EPLANは、電気設計者が本来の設計業務に注力できる環境を整えることが、電気設計の効率化の一つだと考えています。例えば、「過去図面をコピーして作図するので時間がかかる」「部品表などを別に作るから時間がかかる」といった現在の課題を解決し、その削減できた時間で「xxxしたい」という「xxx」に入る言葉こそが、皆さんの本来の業務、あるいは注力すべき業務なのではないでしょうか。

その「効率化のその先」を見据えるために、ぜひ以下の3つのポイントをツール選定前に考えてみてください。

ポイント1:電気設計に特化していない汎用CADを選んでいないか

「汎用CAD」とは、電気設計図面を単に「絵」として描くツールを指します。予算の都合などで、汎用CADを電気設計に流用しているケースもあるかもしれません。

しかし、汎用CADを使った電気設計は基本的に手作業での作図となります。手作業では、面倒な転記作業や、転記ミスのようなヒューマンエラーを防ぐことができません。また、手作業が減らないということは、仕事の属人化も解消しにくい場合が多いです。

実際、汎用CADを使っていた設計者の方がツール入れ替えを検討した理由として、使い勝手の悪さ、転記作業やミスの撲滅、エラー図面のコピー・再利用によるトラブル多発が挙げられています。

一方、電気設計に特化したツールで回路図を作成すると、シンボルがグラフィック情報だけでなく部品情報も保持するため、電気設計図面をデータ化できます。このデータ化により、設計で使った部品データを他の人が利用できるようになり、部品検索の無駄を排除できます。

参考:データベース型CADで電気設計を効率化する|Eplan公式ブログ

ポイント2:標準化した設計データを何に利用するか考える

現状の課題を解決できるツールを選ぶことはもちろん重要です。それに加えて、将来の可能性も少し考えてみてください。

標準化した設計データがあれば、どんなことができるようになりますか?
例えば、標準化されたデータがあれば、一から設計し直さなくても、過去の設計をベースに次期モデルの設計工数を削減することが可能になります。また、自動配線加工機を導入して製造を効率化している企業では、設計からも製造に必要なデータを出力し、製造全体の効率化・品質向上を図りたいと考えています。

電気設計ツールで標準化を行うと、設計データだけでなく、部品表など製造で必要なドキュメントも自動で作成できます。これにより、手作業でExcelや別ツールに転記する際に起こる記入漏れや転記ミスによる手戻りを防止できます。さらに、作成したデータを製造機器との連携に使うことも可能です。

参考:■デモ動画あり■13秒で63ページの回路図を自動生成!電気回路図を短時間で作成するために必要なこと|Eplanブログ

ツール導入を考える際には、電気設計部門内だけでなく、他部署、関連会社、またPLM/ERP連携や自社ツールとつながることができるかを確認しておくと、将来の設計データの活用の幅が大きく広がります。

参考:電気CAD選びの重要なポイント?電気設計とPLMの連携|Eplanブログ

ポイント3:海外案件対応の必要性の増大について

海外メーカーからの受注案件や、海外へ製品を納品する可能性はありますか? 今はなくても、将来はどうでしょうか?

もし将来、海外に製造先や生産拠点を持つことになった場合、あいまいな図面を元に完成品を納品してくれる制御盤メーカーは海外にはほとんどありません。設計者や作業者が100%理解できる図面を渡す必要があります。

海外との取引が増えるにつれて、「グローバルで使える電気設計ツールが必要」「欧州企業とのやり取りで規格対応が必要」「EPLANデータが受注要件」「海外との連携でEPLANが推奨された」といった声が寄せられています。

海外での設計・製造・保守を考えると、規格の国際標準化は避けては通れません。もちろん、国際規格だけでなく、新JISに対応させる標準化も重要です。将来、そのような規格の標準化、海外規格や言語に対応している電気設計ツールを導入しておくと安心です。

参考:【資料公開中】規格の企画「IEC・新JISに対応した 電気設計の標準化をするために 知っておくべき概念」|Eplanブログ

効率化のその先へ、本来の設計業務に注力するために

設計の効率化と一口に言っても、手戻りを防ぐのか、コピーして図面を描くことをやめるのか、製造連携を必須とするのか、など企業によって考え方や優先順位は異なります。

しかし、電気設計者が本来の設計業務に注力できる環境を整えることが、電気設計の効率化の重要な側面である、とEPLANは考えています。

ぜひ一度、皆さんの設計チーム、部署、そして会社全体にとって、電気設計の効率化がどのような効果をもたらすのか、考えてみてください。

本記事の元になったお役立ち資料「電気設計部門がツール選びをする時に一度考えてほしい3つのこと(PDF)」は公開中です。

電気設計CAD選定ガイドもお役立てください

電気CADを検討している方に向けて、今まで様々な業種、規模の電気設計者と電気設計の比較検討導入を進めてきたEplanが、今までの経験をもとにこんな視点で電気CADの導入検討をしてはどうでしょうか?という、電気設計CADツール選定ガイド をまとめました。

公開日:2020年11月6日
最終更新日:2025年5月15日