2018年度版 制御盤2030 ご紹介

日本電機工業会(JEMA)より2018年度版制御盤2030が公開されました。

製造ラインの生産最適化から、企業連携(エコシステム)の収入最適化にいたるまで幅広く運用することができるFBM(Flexible Business and Manufacturing)というコンセプトを用い、スマートマニュファクチャリング特別委員会によって、2030年の制御盤のあるべき姿について議論がされています。
この制御盤2030で語られている制御盤の未来像は、EPLANの目指す「設計から製造までつながる電気設計」という点で通じるものがあります。EPLANユーザー、制御盤の電気設計者、制御盤レイアウト設計や制御盤製造に携わる方に「2018年度版 制御盤2030」を見ていただきたいと思います。
本稿では報告書の電気設計パートを中心にまとめ紹介しています。

制御盤業界を取り巻く環境と課題

制御盤業界を環境の変化として「人手不足」「デジタル時代への対応」「ユーザーニーズの変化」が挙げられます。

制御盤業界を環境の変化1:人手不足

日本の人口構造変化と製造業に携わる技術者/技能者の減少は、制御盤業界も例外ではありません。制御盤に関わる営業、設計、製造。検査、サービスの担い手や技能者を十分に確保できない人手不足が慢性化しています。

労働力としての多様化を考えると、「フレキシブルな時間活用」や「作業要領のデジタル化」等の基盤整備と、個人の技能に左右されない確実な情報共有の方法などが必要です。

制御盤業界を環境の変化2:デジタル時代への対応

匠技術の会得や熟練技能者の暗黙知習得を根底とした俗人的な人材が必要でしたが、デジタル時代への対応(=システムの移行)が可能な人材や環境が必要になってきているのではないでしょうか。

制御盤業界を環境の変化3:ユーザーニーズへの変化

制御盤要求仕様は、多様化する機能の実現と目的別に最適化すべき仕様を実現する必要があります。製品コストは、単に個別製品の最適のみをとらえるのではなく、システム全体としての最適コストや製品ライフサイクルとして全体最適の認識を高めていく必要です。

将来に向けた盤業界の課題

人手不足やデジタル時代への対応,変化し始めているユーザニーズに対して,盤業界の将来の姿を想定したイノベーションを実現させる必要ではないでしょうか。将来に向けた盤業界課題解決の一つとして,ものづくりの生産最適化や個社の強みを生かした企業連携など「バリューチェーン」と「製品」を束ねる「コーディネータ企業」の役割が課題解決の糸口と考えられます。

将来に向けた盤業界の課題解決になる提案

将来に向けた盤業界の課題解決になる提案

日本は現在、国内市場の縮小で海外にもっと製造先を求めており、世界標準が日本の製造業にも必要とされています。日本では、制御盤設計・製作において各社社内標準化はすでに行われていますが、蓄積されたノウハウのデジタル化は遅れています。電気設計のデジタル化をそのまま製造に使えるデータにする事により,設計から製造までのリードタイムの削減,手戻りの防止並びに熟練作業者に頼らない制御盤製作が可能です。このような手法で現在抱えている人手不足の解消を行う必要があります。

最新の電気設計ツールは単なる回路図作成だけでなく,筐体と部品を含めた制御盤の3D化処理であるデジタル ツインを作成することができます。制御盤のデジタルツインを設計者が作業者に提示することで熟練作業者でなくとも手戻りのない制御盤製造が可能です。

ECM と SCM の融合の必要性

製造オペレーションの最適化を志向するサプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)に対して,設計製造プロセスの最適化を考えるのがエンジニアリングチェーンマネジメント(Engineering Chain Management)です。そしてその融合は課題となっています。ものづくりを極めていくと「競争力」の源泉となる高品質化と並行して製造プロセスが職人化/属人化していき,「標準化」から遠ざかる方向に進んでいく場合もあります。逆に「標準化」が進みすぎると独創性や機能向上が阻害されて陳腐化していき「競争力」を失ってしまう恐れもあります。国際化を考える上では「標準化」は必須ですが,同時に「競争力」を維持していく必要があるので,「標準部分と非標準部分の切り分け」が重要になります。

制御盤設計における FBM(Flexible Business and Manufacturing)

制御盤の設計には,回路図や配線図などの電気系の設計と外形図や配置図などの機械系の設計がありますが,製造に設計データを使用するためには電気系と機械系とが融合したデータが必要となり,両方を同じデータで扱えるプラットフォームが必要となります。そのようなプラットフォームが整備されると,盤設計において次のような FBM が実現可能です。

  1. 工業会などがプラットフォーム上にデジタル化された公開標準モジュールを提供
  2. 設計者は標準モジュールの組み合わせを基本として設計
  3. 製品の特長や顧客要求仕様を満たすため、設計者は独自の非標準モジュールを作り標準モジュールに組み合わせたカスタム製品を設計
  4. 設計完了後,設計者は製造用データを設計データから自動生成
  5. プラットフォームに製造用データを公開
  6. 納期や負荷状況をから一番条件が良い製造メーカを選定し製造

このように,盤設計において FBM を実現するためにはデジタルエンジニアリングのプラットフォームが必須となってきます。

制御盤を FBM のコンセプトにもとづき,コーディネータ企業がとりまとめる企業連携により制御盤の開発,生産,販売,サービスなどのエンジニアリングチェーンについて柔軟で最適な活動を実現させるためには…

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続きは、下記 2018年度版 制御盤2030(WG2)活動報告書全文からご覧ください。(日本電機工業会のサイトページに移動します。)

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