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2021/04/07
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IEC規格の「IEC」とは国際電気標準会議のことで、「International Electrotechnical Commission」の頭文字をとっています。IECはその名のとおり電気・電子に関する国際規格を標準化する団体です。IECのほかにもISOやJISといった規格を聞いたことがある人もいるでしょう。この記事ではIEC規格とそのほかの規格の違いや、IEC規格の閲覧方法などについて紹介します。
IEC規格とよく引き合いに出される規格に「ISO規格」や「JIS規格」があります。それぞれの役割と違いについて説明します。
IECの目的は電気・電子に関する技術における標準化であり、1906年6月にイギリスのロンドンで創立総会が開催されました。日本はこの創立当時から参加しており、日本産業標準調査会(JISC)が参加しています。
IECが制定した規格には固有の番号が付与されており、たとえば「IEC60320」のように60000以降の整数が割り振られています。
参考 IEC Homepage
IEC規格とISO規格やJIS規格の違いについて見ていきましょう。
まずISOとは「国際標準化機構(International Organization for Standardizationの略)」のことです。IEC規格が電気・電子に関する国際規格であるのに対し、ISO規格は電気・電子以外の分野に関する国際規格の作成を行っています。情報技術など一部のIT分野においてはIECとISOが共同で開発した規格もあります。
次にJIS規格は「日本産業規格(Japanese Industrial Standardsの略)」のことで日本の規格です。日本の規格とはいえ、国際規格のIECやISOとの整合化も図られています。日本産業調査会のサイトでは国際規格に対応したJISを検索することもできます。
IEC規格で「TR」という文字を目にすることもあるでしょう。このTRとは「標準報告書」のことで、「Technical Reports」の頭文字を取って「TR」と呼ばれます。TRのほかにも技術仕様書の「TS(Technical Specification)」や公開仕様書の「PAS(Publicly Available Specification)」などがあり、「IEC TR XXXXX」のように管理されています。
ここからはIEC規格の閲覧や購入方法について紹介します。
IEC規格を閲覧する方法はいくつかありますが、その一例を紹介します。
・IEC Webstore(閲覧は規格書冒頭の目次やイントロダクションのプレビューのみ
・国立国会図書館(関西館に所蔵されており、東京本館での閲覧は関西館からの取り寄せが必要)
・JISC【期間限定】(新型コロナウイルス感染拡大を受け、医用電気機器に関する5つの規格を無償閲覧開始 ※2020年12月現在)
IEC Webstoreでは、目次やイントロダクションのプレビューを確認できます。購入する前の事前確認として使用すると良いでしょう。
国立国会図書館の関西館にはIECやJISなどの規格が所蔵されています。東京本館で閲覧したい場合は関西館からの取り寄せが必要です。事前に国立図書館オンラインで所蔵状況を確認してから利用することをおすすめします。
なお、国立図書館の利用者登録をされている方は、郵送または宅配便で複写を受け取れる「遠隔複写サービス」も利用できます。必要に応じてこういったサービスを使用するのも良いでしょう。
IEC規格を購入する方法もいくつかありますが、その一例を紹介します。
・IEC Webstore
・JSA Group Webdesk(日本規格協会)
・ANSI Webstore
IEC Webstoreと、米国国家規格協会のANSI(American National Standards Institute)では英語のIEC規格を購入することができます。IEC Webstoreでの支払いはスイスフラン建て、ANSI Webstoreでの支払いはドル建てでの購入となります。
JSA Group Webdeskで購入する場合は規格によって和訳されているものもあります。「企業内で複数の人が閲覧したい」という場合は、JSAライブラリサーバもおすすめです。JSAライブラリサーバはインターネット経由でデータベースにアクセスし、IECやJIS、ISOなどの規格を検索・閲覧できるサービスです。
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今回は国際電気標準会議のIEC規格についての概要と、規格の閲覧・購入方法について説明しました。製品の安全性を担保するためにも、電気設計においてはIEC規格やJIS規格などに準拠することが必要となります。
またIEC規格やISO規格といった国際規格に準ずる製品であれば、グローバルに展開したいといった要望にも応じることも可能でしょう。必要に応じてご紹介した方法でIEC規格の閲覧や購入を検討ください。