2D-CADと3D-CADを比較-シェアと普及率から考える

機械系、電気系それぞれのCADについて、国内のシェアと普及率から2D-CADと3D-CADを比較します。2Dはどのような分野で使われ続け、3Dを使うのはどのような企業なのでしょうか。また3D-CADにデメリットを感じる意見から、切り替えに失敗しないポイントを探ります。

機械系CADの国内シェア

エンジニアのためのキャリア応援マガジン『fabcross for エンジニア』は、2016年に「仕事で利用するツール/システム」についてアンケート調査を行いました。この結果から、実際にエンジニアたちがどのようなツールを使っているのかが分かります。

2D-CAD導入率が高いのは中小・機械系

企業規模別に集計したところ、従業員数が100人以下の企業は2D-CADの導入率が高いことが分かりました。2D-CADが69.1%、3D-CADが45.4%となっています。 また業種別の集計では、機械系の企業が63.3%と2D-CADを使う割合が最も高くなっています。ただし3D-CADも65.0%あり、2Dと3Dを両方使いながら、切り替えの過渡期にあることが分かります。

3D-CAD導入率が高いのは中堅・大手・マテハン

一方で3D-CADの導入率が高いのはどこでしょうか。 規模別で見たとき、101~300人規模の企業から65.5%と3D-CADの導入率が高くなります。また、従業員数が増えるに従い、75.0%まで3D-CADの割合が増えることから、大手ほど3D-CADを使っていることが分かります。
また業種別では、マテハンと呼ばれる輸送用機器系企業が76.3%と最も高く、次いで電気機器系が74.1%となっています。特にマテハン系の企業では、2D-CAD導入率は35.1%と低いことから、3D-CADへの切り替えが最も進んでいる分野と考えることができます。

2D-CADではAutoCADが1位

次に使っているツールを具体的に見てみましょう。 2D-CADを導入していると答えた企業のうち、具体的なツール名として得られた回答は153件でした。この中でAutoCADを使っているという回答が95件と最も多い結果になりました。次いで多いのがMICRO CADAM Helixで15件となっており、2D-CADの中ではAutoCADが群を抜いて多いことがわかります。

3D-CADではCATIA、次いでSOLIDWORKS

3D-CADでは218件中、CATIAが69件、SOLIDWORKSが47件、PTC Creo Parametricが37件となっています。こちらは2D-CADと異なり、導入率50%を超えるものはなく、また1位・2位・3位となだらかな下り坂となっています。このことから、各CADソフトの訴求力が拮抗していると考えられます。

電気設計CADの国内普及率

それでは電気設計CADについてはどうでしょう。製造業向け情報サイトTech Factoryでは、2017年に「電気設計者の課題に関するアンケート調査」を行いました。
この中では、「すでに導入しているツール」として電気CADの70.4%が最も多くなっています。また、この回答者の中で実際に使っているツール名を聞いたところ、AutoCAD ElectricalやECAD dio/DCXといった名前が上位に挙がりました。 この結果から、国内の電気設計CAD普及率は70%前後であると推察できますが、上位を占めるのは2D-CADであり、国内ではまだ3D-CADの普及が進んでいないことがうかがえます。
またこのアンケートでは、全対象者のうち26.9%が「ツールの新規導入は効果的でない」と回答し、その理由として20.8%が「既存ツールで十分だから」と答えています。これらのことから、3D-CADの機能性に触れることなく2D-CADを使い続けている技術者も多いと予想されます。

3D-CADを導入して感じたメリット・デメリット

3D-CADを実際に使っている技術者は、どのような点にメリットを感じているのでしょうか。再びfabcross for エンジニアによる、「仕事で利用するツール/システム」に関するアンケート調査を見てみましょう。 3D-CADを導入してみて感じたメリットとして、次のような回答がありました。(アンケート結果を引用)

  • デザインレビューの効率化
  • 生産性の向上、設計意図説明の容易化
  • 開発精度が高くなり、データを共有することで無駄なデータを作成する必要がない

一方デメリットは次のような回答となっています。

  • 設計力低下
  • 3Dモデルに頼りすぎで、作ることを分かってない
  • 2D図面も簡単に作れてしまうため、若いエンジニアが図面の重要性を理解せずに仕事をこなせてしまう
  • 3次元モデルの入力に工数が、2次元モデルよりかかる。CAD操作が複雑である。コマンドが多い

これらの意見から、ツールを使いこなせない層と職人気質の層が、3D-CADにデメリットを感じていると予想されます。そこで、3D-CADの導入に失敗しないために必要となるのは、次の3つの要件といえるでしょう。

  1. 直感的操作が可能なシステム
  2. 自社の製法に必要な機能の選定
  3. 3Dをモデリングするだけではなくそれを実用に活かす仕組み

これらの要件を満たすことで、シームレスな3D-CADへの切り替えが可能となり、設計業務の効率化へとつなげることができます。

3D-CADへの切り替えが鍵となるか

2つの調査結果から、2D-CADと3D-CADについてどのような企業が使い、どのような層が受け入れているのかを考察しました。大手になるほど3Dを使う傾向から、今後さらに3Dが主流化することは明白です。中小企業は3Dへの切り替えタイミングを逃すと、取引先とのデータ連携が取れなくなる恐れもあります。3D-CADの導入が、重要な経営判断の鍵となるかもしれません。

参考:

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