IEC規格とは?JIS規格、ISO規格との違い
2021/03/03
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現在日本国内で使われている回路記号には、旧JIS準拠の回路記号と、後述する新JIS準拠の回路記号があります。新JISの回路記号は国際標準規格IEC 60617に準拠しています。いまだに古い回路記号で回路図を制作しているところも多いですが、国際標準規格に準拠した回路記号を使用した方が効率的です。
国際標準規格は主にIEC、ISO、ITUで管理しています。
IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)は電気・電子分野、およびそれに関連する分野の国際標準規格を作成しています。
ISO(International Organization for Standardization: 国際標準化機構)は電気・電子分野以外についての国際標準規格を作成しています。
ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)は電気通信に関する国際標準規格を作成しています。
他に各国の独自の規格がありますが、現在ほとんどの国の規格はこれらの標準化組織の作成した規格に準拠しています。
アメリカでは国全体をカバーする国家統一規格が存在しません。代わりにSDO(Standards Developing Organizations: 規格開発機構)が各種団体の制定した規格を承認し、事実上の規格となっています。NFPA(National Fire Protection Association:米国防火協会)は防火のためのさまざまな規格を制定する民間機関で、SDOの承認を受けています。NFPAの作成した規格のひとつにNFPA70があり、電気工事関係の標準規格を制定しています。NFPA70はNEC(National Electrical Code:米国電気工事基準)とも呼ばれています。
日本では、JIS(Japanese Industrial Standards:日本工業規格)がさまざまな分野において各種の規格を作成しています。
従来は各国で独自の規格を使っているところも多く、輸出するときには輸出先に合わせて回路図を作成して審査を受ける必要がありました。しかし現在は欧米をはじめ各国がISOおよびIECの国際標準規格に準拠して規格を改正する傾向にあります。
そのため、最初から国際標準規格に合わせて回路図を作成することで、回路図を1つ作成するだけで各国の規格に対応することができます。製品を海外市場へ展開することを考えるならば、設計段階から国際標準規格に合わせた回路記号で回路図を設計すれば、設計段階でのコストや時間を削減できて効率的な設計が可能になります。
これから製品の設計を行うときは、国際標準規格に準拠した新JISの回路記号で作成することが不可欠です。
JISの回路記号は1997年と1999年の2回に分けて改正され、現在はJIS C 0617 電気用図記号が制定されています。この改正により、新JISはIECの規格に準拠しました。
しかしいまだ、製品設計を行う際に旧JISの回路記号で回路図を作成する人が大勢います。旧JISの回路記号は欧米の規格とは異なるので、それで作成した回路図は欧米では通用しない可能性があります。
さらに旧JISの回路記号は日本の方言と言える独自の規格が含まれるため、現地のエンジニアには理解しにくく、海外に売り込むには不利な要素となってしまいます。
現在は市場のグローバル化が進み、製品を世界中で販売する可能性が高い。設計段階から積極的にグローバル化に対応して、どの国でも使えるような回路図で設計し、海外市場でも受け入れられやすくすることが重要です。つまり、新JISに準拠した回路記号で回路図を作るべきということです。
参考:【規格の企画】IEC・新JISに対応した 電気設計の標準化をするために 知っておくべき概念
ここでは、ブレーカー、コイル、ヒューズの回路記号を紹介します。左側が新JIS記号、右側が新JIS記号です。新JIS準拠の回路記号は図がより単純になり、複数の種類がある記号もまとめてひとつになっていることがわかります。
市場がグローバル化し、ほとんどの製造業では国内市場だけでなく海外市場での展開も視野に入れています。そのため、設計段階から海外市場を念頭におくことで、より効率的に海外市場へ投入することが可能となります。
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