デジタル試作品と電気設計の今後

CADによる3Dでの設計技術やシミュレーション技術の向上により、さまざまなことが3Dデータ上で行われるようになりました。その範囲は設計の段階だけでなく、試作や検証にも広がっています。

デジタル試作とは

デジタル試作とは、仮想環境で試作を行うこと。実際の部品を収集し、組み立て、さまざまな評価が行われる実機試作は時間も人手もかかります。そのため、できるだけ詳細で製品に近いデータを使い、仮想で組み立てや試験などを行うことで、従来の実機試作に比べて費用が抑えられます。さらに熱や振動の伝播や強度のシミュレーションなど、さまざまなシミュレーションに転用することが可能なため、自動車業界や電気業界をはじめ、さまざまな産業分野で非常に盛んに行われています。

デジタルツインとは

デジタル試作からさらに一歩進み、実際の製品とまったく同じものをバーチャルに持つことをデジタルツインと呼ばれています。製品として現実に存在するものと、製品と同じ形状で仮想上にあるものを双子になぞらえて「ツイン」と呼んでいます。デジタルツインは、制御盤を例に挙げるならば、内部に収納する機器のレイアウト検討といったことに使われるほか、盤内の温度上昇や機器の交換頻度のシミュレーションを行うことも可能です。また、工場に設置したときの周囲の機器との位置関係のように、製品単体だけにとどまらず、工場やスペース全体への検証にも使われています。

基本的には仮想空間に製品を作るというデジタルツインとデジタル試作ですが、その違いは、実際の製品が存在するかしないかという点です。実際の製品がまだ存在せず、設計段階での検討を行うために使われるのがデジタル試作。実際の製品がすでに存在し、その運用や設置のために使われるのがデジタルツインと言えるでしょう。

設計のバーチャル化とIoT

IoTが設計にもたらす影響

IoT化により、デバイスの設計はより複雑化しています。なぜなら、従来であれば機能のみが備わっていれば十分であった機器に、インターネットに接続するための通信機器を搭載する必要が出てきたからです。制御盤を例にとってみると、これまでならば回路のON・OFFや異常時の回線切断のみが行えれば機能を満たしていたものが、IoTの広がりにより、外部からON・OFFの操作を可能にしたり、ON・OFFや異常による回線切断のタイミングをデータベースに送信したりする機能を備える必要が出てくるかもしれません。そのため、従来に比べて部品数が増えたり、電磁場的な干渉が起こる可能性に対する懸念が発生したりするなど、より高精度の検証が必要になります。このようにより複雑化する設計を確実に行うという理由も、設計やシミュレーションのバーチャル化が求められている要因の1つに挙げられます。

通信の仮想化

バーチャルによって試作や検証が可能になるのは、機器のハード面だけではありません。通信の様子や、それによって集められるデータの動きも事前にシミュレーションできるのが、デジタルツインの利点です。目に見えるものだけでなく、目に見えないデータも検証可能になるので、実際の製品と同じものをバーチャル上に作り出し、データ収集の様子やクラウドとの接続をシミュレーションさせることができます。

新たにCADを導入する際にはバーチャル化にも強いものを

試作や検証を仮想で行うことは、コストを削減できたり、製品の詳細な状況が把握できたりするといったさまざまなメリットがあります。新たにCADを導入する際には、設計だけでなくさまざまなフェーズのバーチャル化(3D)も視野に入れる必要があるのではないでしょうか。

参考:

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