海外案件では注意が必要!日本とは異なるIECの電気シンボル

電気設計において海外案件を担当すると、IECという国際規格をよくみかけます。海外案件ではこのIECに準拠した設計をしなくてはいけませんが、中には普段使っていない電気シンボルが使われていて戸惑う人もいるのではないでしょうか?日本では国内規格としてJISがあり、このJISを満たすよう設計が行われます。現在はIECの内容を考慮した新JISで設計するのが主流ですが、一方でIECが考慮されていない旧JISも設計の現場では使われています。なぜ未だに旧JISが使われているのでしょうか。理由を探ってみましょう。

なぜ旧JISが未だに使われているのか?

まずは旧JISと新JISの違いを確認し、今でも旧JISが使われている理由を見ていきましょう。

旧JIS・新JISとは

JISとはJapanese Industrial Standardsの略称で、日本語では日本産業規格と言います。鉱工業において円滑な製品の生産や流通、消費を行うために制定した統一製品規格です。本来は日本の工業標準化法に基づいた国内の規格でしたが、国際標準化機構ISOに基づいた運用とするため、工業標準化法とともにJISも改正されました。以降ISOが改正されるとJISも改正されており、改正される前を旧JIS、改正後の最新版を新JISと区別するようになりました。

古いはずの旧JISが使われ続ける理由

本来であれば最新の新JISに基づいた設計が行われなければいけません。しかし、実際には未だ旧JISも使われ続けています。なぜでしょうか。

現在製造されている製品でも、設計は過去に行われているものが少なくありません。当然それらの設計関連資料は、当時のJISに基づき作成されたものです。その後JISが改正されても、わざわざ新JISにのっとって作成し直すことはほぼありません。本来であればJISが改正された時点で資料も改正されるべきかもしれませんが、人手不足の昨今、そこまで作業が行き届かないのが現状です。

その結果、旧JISで作成された古い資料はそのまま使用され、今も旧JISが使われ続ける状況になっているのです。

IECとは

では、電気設計の海外案件で目にする、IECとは何なのでしょうか?

IECとはInternational Electrotechnical Commisionの略称であり、日本語では国際電気標準会議と言います。

前述のISOはさまざまな製品や分野の規格を作成するために組織された国際標準化機関ですが、電気・電子分野は対象から除かれています。一方IECは電気や電子、またはその関連分野についての規格を作成するために組織された国際標準化機関になります。日本を含む多くの国が参加しており、そのため海外における電気設計は、IECに準拠しなくてはなりません。

一方で日本国内の製品においてはJISを準拠しなくてはいけません。新JISには先にもご紹介したとおりISOに基づいた改正がされており、合わせて電気や電子の分野においてはIECも考慮された改正がなされています。そのため、新JISに準拠した設計をすれば、結果としてIECにも準拠した設計となるのです。

旧JISとIECの違い-電気シンボルを使う際には注意が必要

海外案件の電気設計においてはIECに準拠しなくてはいけません。それでは設計時にどのような点に注意が必要なのでしょう。

新JISに基づいた設計であれば、IECの改正が考慮されているので問題ありません。ただし旧JISに基づいた設計であれば、IECの改正が考慮されていないので注意が必要です。以前はJIS C0301が使われ、日本独自の電気シンボルが使われていました。しかし現在ではIEC60617第2版の同一規格として「JIS C0617 電気用図記号」が制定されています。このJIS C0617が新JISとして使われ、IECで定められた電気シンボルが日本国内における電気シンボルとしても定義されているのです。

旧JISと新JISで異なる電気シンボルは多いので、その中でコイルについて紹介します。コイルも種類により記号が分けられていましたが、新JISではブレーカー同様統一されています。その他にもヒューズは開放形と包装形で定義されていたものが、新JISでは一つの電気シンボルとしてまとめられています。

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このように、旧JISと新JISでは電気シンボルに多くの差があります。この差をしっかりと把握したうえで、設計に臨むことが大切です。

海外案件では旧JISではなくIECを考慮した新JISを使おう

日本国内の企業では、今まで旧JISを使い続けていたことから、新設計においても旧JISを使うケースが見られます。電気回路図は関係者が情報共有をするための資料なので、旧JISを理解している日本国内の企業と仕事をするのであれば問題ないでしょう。しかし、近年は海外案件が増加しており、日本国外の企業とやり取りすることも増えています。その中で電気回路図を旧JISで書いていては、円滑な情報共有ができません。これから作る資料に関しては海外案件にも即座に対応できるよう、IECの内容が盛り込まれた新JISで書いていくべきでしょう。

参考:

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