IEC規格とは?JIS規格、ISO規格との違い
2024/04/02
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電気回路設計において、検図は非常に重要な工程となります。制御盤の設計、製作、改造などはすべて回路図をもとに行うため、図面に間違いがあればそれだけ後の修正作業が多くなるためです。設計者とは別の人が「検図」を行いますが、それでもミスは完全には減らないものです。ここではその原因とEPLANを使えばどう防げるかを紹介します。
電気設計者は制御盤の製作、もしくは既設の制御盤の改造を行うため、電気回路図などの図面を作成します。検図とは「図面に誤り、もしくは設計不良がないかどうか」をチェックするための工程を指します。
検図の工程は通常、製図や設計を担当する技術者以外が行います。一般的には担当者の上長がこの工程を担い、問題がなければ承認印を押され、業者など実作業を行う担当者へと依頼することになります。信頼されている設計者なら、10分ぐらいで検図終わる場合もあるし、新入社員とか未熟な設計者の場合、1日かけて検図する場合もあります。検図する人の上に、さらに承認する人がいたりもします。
これが理想的な流れとなりますが、現実に検図だけですべては修正しきれず、回路図のほうにミスが残ってしまうこともあります。試運転段階になって初めて不具合に気づくことも少なくありません。
「検図を行うのならば、図面にミスが残っているのはおかしいのではないか?」と思う方もいるかもしれません。
しかし電気回路図は多数の配線や機器が使用されており、しかもそれを図面にすると何枚、何十枚にも及びます。そうなると、設計者以外の人間が回路の動作や仕様を深く理解するのは難しくなります。そもそも設計者しか制御盤に接続される現場機器の仕様を知らないケースも少なくないため、ミスしているかも判断できない場合があります。
さらに人力での検査となると労力と時間がかかるため、全体をざっと見通して検図欄に承認印を押すのが実態、という現場も多いでしょう。
では実際に起こりやすいミスを、いくつか例を挙げてみましょう。
制御盤にはたくさんの配線が使用されており、それぞれ線番が印字されています。線番には意味のある番号や記号を用いるのが一般的です。例えばポンプの動力回路ではポンプ本体のTag番号を参考にしたり、PLCの入出力回路ではアドレス番号を想起できる番号や記号を用いたりします。
そういった場合にポンプのTag番号が変更になったり、PLCの入出力構成が変わったりした際、これにあわせて線番を変える必要があります。しかし、その修正を忘れてしまうといった事例が発生するのです。
PLCで機器が追加されたときに、PLCのアドレスが変更になったことを忘れて、線番が前のままになっていたり。PLCのラダー(プログラム)書くときの内部アドレス(ラダーでしか使えない既に割り当てられているアドレス)を設定してしまい、やり直しになったり。
現場機器が増えたり変わったりすることはよくあるため、頻出しやすいミスと言えます。
EPLANでは
PLCコンフィグレーション(Automation ML)の機能で防止できます。
たとえばオムロンのSysmac StudioとEPLAN Electric P8の連携ができます。EPLAN Electric P8で設計されたPLC情報をオムロンSysmac Studioに読み込み、ユニット構成設定や割付変数に自動反映します。
参考:オムロン オートメーションソフトウェア Sysmac StudioとEPLANの連携
シーメンス TIA Portalとも同様に連携が可能です。
参考:AutomationML 書式での PLC データ交換:EPLAN Electric P8 x Siemens TIA Portal インターフェース|EPLAN Japan You Tube
EPLANとPLC連携についてはこちらのページで詳しく紹介しています。
PLCのIO情報を電気設計で有効活用する|EPLANブログ
センサや計器の結線を間違える、というのもよくあるミスの一つです。これは主に機器の仕様書や結線図をよく読んでいないことに起因します。
例えばトランジスタなど半導体を用いるセンサ類は、NPNやPNPなど接点に方向を持っているため、配線する直流電流の向きを間違えるケースが発生します。一般的に国内メーカーはNPN、ヨーロッパなど海外メーカーはPNPが主流で、仕様書をよく見ておかないと間違える可能性が高くなります。
仕様の違いによる結線間違い。これはEPLANでマクロ(バリアント・プレスホルダーオブジェクト)を活用することで、未然に防ぐことができます。
EPLANでは
マクロ(バリアント・プレスホルダーオブジェクト)で防止できます。
マクロとは繰り返しよく使う回路図のパターンを登録して効率的に設計ができる機能です。
たとえば、特注品の制御盤を設計する場合でも、回路図は、モータースターター、動力線、回路ブレーカーなど、固定または頻繁に使用される要素が常に含まれます。
この頻繁に使用される要素をマクロとして保存することで、新規のプロジェクトで使用することができます。すると、古い図面から回路図をコピーして、手作業で修正する必要がなくなります。
仕様の違いによる結線の違いをパターンとしてマクロ登録すると、次回からはそれを選ぶことで回路図が作成できます。
参考:
EPLAN Electric P8 の機能を紹介!|電気設計を効率化するマクロ機能 と 自動化機能 に迫る。|EPLAN Japan You Tube
何かしらの変更が生じた際、一枚の図面修正では済まないケースもあります。
例えばある機器を別の機器に変更した場合、それに相互接続されていた機器や回路にも変更が生じる可能性があります。それが設計上、別の図面で明示されていると、変更を反映し忘れることがあります。
このような図面をまたいだ修正はかなり煩雑であるため、よく起こるミスと言えます。
EPLANでは、ページをまたいだ接続を確認する「クロスリファレンス」機能があります。
EPLANでは
クロスリファレンス機能で防止できます。
リレーコイルと接点との間の相互参照や、配線のFrom-To接続など、ページ番号とX/Y座標値で相互参照情報を自動表示します。
クリックすると該当のページに自動で飛べるので、確認作業がラクになります。
参考:EPLANクロスリファレンス機能|EPLAN Japan You Tube
設計者が人間である以上、ミスを完全に失くすことはほぼ不可能です。これをできる限り防止するにはどうすればよいのでしょうか。
方法としては、標準化された回路図面を用いたり、既に動作が保証された既設回路を流用したりすれば、こうしたミスを未然に防ぐことが可能でしょう。
ほかには設計ソフトの機能を利用する方法があります。Tag番号や線番を一括して変更したい場合は、ソフトの文字置換機能やブロック機能などを用いれば、一度の操作で特定の文字や記号を漏れなく変更することが可能です。
さらにEPLANのような電気回路設計用のソフトを用いれば、より簡便かつ確実にミスを潰すことができます。
EPLANでは回路図を書く手作業を減らし、効率よく設計できる機能を標準搭載しています。
上で説明したようにマクロ機能やPLC連携、ページをまたいでも修正が可能というような機能をフル活用し、回路図をただ描くところはEPLANの機能に任せて、設計者は設計をするという本来の仕事(CADで図面を描くことではない)に注力してもらいたいです。
検図をする人のヒューマンエラーは完璧に防止はできないので、設計の段階でミスを減らし高品質な設計データを作ることが、後工程でミスを響かせないためには重要です。
電気設計の手戻りを減らす電気設計CAD EPLANの機能とは?で紹介しているEPLANの機能を詳しくPDFにまとめた資料です。
公開日:2021年2月5日
最終更新日:2024年3月12日