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2024/04/02
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電気部品では欠かせないワイヤーやケーブルなどの配線の長さ・配置を決める「ハーネス設計」。
そんなハーネス設計の際、いまだに現場で測長するというアナログな作業を行っている企業も多いようです。しかし、そのままでは余剰部材という「無駄」が多くなりがちなのも事実。今回は、そんなハーネス設計の効率化を進めることで削減できる無駄や得られるメリットなどを解説します。
ハーネス設計において重要なことは、ピッタリの長さにすることです。ハーネスが短すぎて届かなければ接続できませんし、逆に長すぎて余ってしまうと邪魔になります。
長すぎず短すぎない「ちょうど良い長さ」にできるのが理想的なのです。
しかしながら、ハーネスの長さをアナログ作業で測定している場合、この「ちょうど良い長さ」が正確に把握できません。ある程度の目星はつきますが、どうしてもあいまいになってしまうのです。
このような場合、ほとんどは大きい値を選ぶことになるでしょう。なぜならハーネス設計では、「長さが足りなくなる」ということが致命的だからです。余るならまだ良い方ですが、届かなければ作り直しになります。そのため「少し長めに作ることが多い」といえるでしょう。
リスクを避けるためなので仕方ありませんが、適度な長さに比べて余剰分が無駄になってしまうことは事実です。また、余ったハーネスはその分場所を取ることになるため、余分なスペースを割かなければいけません。この問題を解決するには、「ちょうど良い長さ」が分かるようにする必要があります。
「ちょうど良い長さ」が分かるようにするためにはどうすればいいのかというと、「試作品」を作ればいいのです。ただ、当然ながら試作品の作成には費用がかかります。
従って、設計変更のたびに試作品を作ることは合理的ではありません。
それではどうすればいいのでしょうか。その答えは「3DCAD」です。物理的なプロトタイプ代わりにデジタルツインを作成することで、変更があった場合でも迅速に対応と実装が可能になります。
3DCADを使用することにより、実物とほぼ同じ3Dモデルが画面上で確認できます。もちろんそこに取り付けられるハーネスの長さも、実物にかなり近いレベルで把握できます。つまり、適切な長さの設計が行えるということです。
製品開発にかかる時間とデジタルプロトタイプの設計にかかる時間を短縮したいと考え、Eplanを導入しました。ハーネスの設計では、3Dと2Dでケーブルとワイヤーハーネスの設計と帳票類の作成をサポートするEplan Harness proDを利用しています。
使いやすさ、自動化された作業プロセス、正確な製造ドキュメント、高い設計データの再利用性などが、メリットです。さらに、ワイヤーハーネスの設計は試作品の有無に左右されないため、Aggreko社の設計エンジニアは多くの時間を節約できました。
風力タービンメーカーであるNordex社は、3Dモデルでのタワーへのケーブル・ルーティングのため、Eplan Harness proDを導入しました。
同社は Eplan Harness proDの導入にあたり、「人間による作業」と「機械による作業」の比較をしました。
プロトタイプのナセルハウジングを計測し、パネルに沿って走る50本のケーブルの長さを決めるため、製造部門の2人の従業員は、正確な寸法を決めるために1日を必要としました。
EPLAN Harness proDを使ったところ、作業時間は3分の1で済みました。
タワー用ワイヤーハーネスでも同様のテストが行われ、結果は同じでした。
約120mの長さで配線する必要がありますが、誤算はわずか数センチの範囲でした。ルーティングトラックは常に正確にフィットしているので、非常に長いケーブルであっても余分な配線を計画する必要はなくなりました。
重機械メーカーの三一重工はEplanの電気設計CADElectric P8とハーネス設計Hanerss proDのデータを連携し、ハーネスの設計・製造に取り組んでいます。
以前の設計方法では、回路図と3Dハーネスデザインは自動でシンクロしません。例えば試作機をベースに新しい部品が作られたとき、回路図で何か変更があった時、それぞれどこを変更すればいいのか簡単にはわからないという課題がありました。
機械設計と電気設計の連携ができていないという問題もありました。Creoで設計した3Dデータはバンドルの干渉チェックをできません。たいていの場合、問題が発覚するのはコミッショニング段階です。初めから設計を修正するには遅すぎます。
EPLANは電気設計データ(P8)をハーネス設計(Harness proD)にシンクロさせることができます。3DのHarness prodは2Dのネイルボードにシンクロさせることができます。
3Dで設計した正確なハーネスのデータがあるので、必要なハーネス部材コストを事前に把握できるようになりました。また、3Dデータを2Dに書き換え、ネイルボードや接続リストをサプライヤーと共有して活用できます。これで2‐3日納期を短縮できました。
最後にEPLANはHTMLでハーネス設計を共有できます。組立作業者がモバイルデバイスで確認しながら使うことができます。作業者は以前に比べて必要な手順書が減りました。
Hanerss proDで設計した3DモデルをHTMLで共有している図
ハーネス設計の効率化で得られるメリットは「品質向上」にもつながるといえます。3DCADでは、3Dモデルにより実際の製品に近いイメージで設計が可能です。
また、仮想空間では何度でも検証が行えるので、時間の許す限り試行錯誤を重ねることができます。これらは、製品のクオリティーアップにつながるでしょう。
3DCADによるハーネス設計の効率化は、大幅なコスト削減が期待できると同時に、品質向上も実現できるというわけです。
参考:
ハーネス設計の効率化するには、3Dモデルを活用しよう|CAD Japan.com
公開日:2018年10月9日
最終更新日:2024年7月23日