Hahn Automation Group では、電気設計分野のさらなる高度化に向けて、明確なコンセプトに基づいた取り組みを進めています。Eplan Pro Panel を全社展開した後、同社は Eplan の配線ツール「Eplan Cable proD」をいち早く導入した(テスト)ユーザーの一社となりました。
この取り組みの中で、3Dケーブルルーティングを活用し、複雑かつ高度な自動化が施された特殊装置のコスト削減と全体的な品質向上を実現しています。さらに、正確な長さで事前製作されたケーブルハーネスにより、事前の測定や作業後の修正が不要となります。その結果、サービスおよび保守担当者は迅速かつ確実に対応できます。
次世代ディスプレイを支える高度な生産設備
曲面形状、縦長レイアウト、2分割・3分割構成、さらにはフロントガラス全面に広がるものまで、ディスプレイはドライバーが操作や情報を把握するための中心的な役割を担っています。こうした非常に柔軟なヒューマン・ビークル・インターフェースに対し、自動車メーカーやサプライヤーは、次々と新しいアイデアを生み出しています。
こうした次世代ディスプレイを最高品質で量産可能にするためには、高度に自動化された製造に対応できる設備メーカーによる、効率的かつ確実な生産技術が不可欠です。Hahn Automation Groupは、この要求水準の高い分野の最前線で、その役割を担っています。
ドイツ南西部にある本社をはじめ、世界各地のグループ拠点では、生産用および検査用の複雑な部品を自動製造するための、さまざまな装置が稼働しています。その対象は車両内装部品にとどまりません。
Hahn Automation Groupのシステムは、電子機器分野や医療技術分野向けの高付加価値コンポーネントも生産しています。ピペットからペースメーカーに至るまで、いずれの装置も高い自動化と短いサイクルタイムを特徴としていますが、同一仕様のものは一つとして存在しません。
設計初期から一貫した電気設計プロセス
設備の規模や対象とする業界にかかわらず、同社の電気設計エンジニアは約15年にわたり Eplan を活用してきました。
回路図は Eplan Electric P8 を用いて作成され、そこから生成される部品表(BOM)や I/O リストは、調達部門および製造部門へ連携されています。
同社では、制御盤設計のために Eplan Pro Panel を約2年前から使用しています。これにより、制御盤製作におけるスピードが向上するとともに、3Dビジュアライゼーションを活用した設計によって、品質面でも大きな改善が図られています。
設計を支える基盤となる自社デバイスデータベース
グループの世界各地すべての拠点における電気設計の基盤となっているのが、継続的に更新されている統一された自社部品データベースです。このデータベースの維持・管理には2~3名の社員が携わっており、新しい部品の登録やデータセットの拡充を行うことで、データ品質を高い水準で保ちながら、一貫性のある状態を維持しています。この自社部品データベースは Eplan Data Portal を基盤として構築されており、設計エンジニアは既存の部品データや、すでに登録されているマクロを見つけて活用できる場合が多くあります。
Eplan Cable proD
制御盤製作から装置配線までの自動化
2年前、Eplan Pro Panel の導入をきっかけに、Hahn Automation Groupの経営陣は、ドイツ・およびクロアチアの拠点で行われている自社内制御盤製作をさらに発展させるためのコンセプトを策定しました。
このコンセプトでは、制御盤外、つまり装置本体上での配線作業についても検討が行われました。
「弊社では各装置ごとに非常に多くのケーブルを敷設しています。これには高価なサーボケーブルも含まれます。長さが概算のままだと、ケーブルが余って無駄になったり、逆に短すぎたりすることがあります。また、敷設ルートが場当たり的になり、最適でない結果になる場合もあります。私たちは、これらを標準化し、プロセス全体をより効率的なものにしたいと考えました。」Electrical Engineering Manager Dirk Scherer氏
Eplan がちょうどこの用途に適したツールとして「Cable proD」の市場投入を計画していたことは、同社にとって好機となりました。
機械 CAD データと連携
Eplan Cable proD は、装置上でのケーブル敷設を仮想環境上で行う CAD ツールで、機械 CAD データと作成された回路図をもとに、必要なケーブル長と正確な敷設ルートを自動的に算出します。算出されたケーブル長は Eplan Project にフィードバックされ、設計データとして一貫して活用されます。
Hahn Automation Groupは Eplan と協力し、サイクルタイム41秒の自動車部品向け自動生産装置を対象に、Cable proD のベータテストを実施しました。この装置では18の作業ステーションに対して電力および信号を供給する必要があり、さらに液体窒素を用いたコールドシュリンク工程など、複雑な作業工程も含まれていました。その結果、敷設対象となるケーブルは、約300本のセンサーケーブル、50本の電源ケーブル、そして11本のサーボケーブルにのぼり、配線設計の精度と効率が極めて重要なポイントとなっていました。
Cable proD ベータテスト対象装置の概要
| 項目 |
内容 |
| 対象装置 |
自動車部品向け自動生産装置 |
| サイクルタイム |
41秒 |
| 作業ステーション数 |
18ステーション |
| 特徴的な工程 |
液体窒素を用いたコールドシュリンク工程を含む複雑な工程構成 |
| センサーケーブル |
約300本 |
| 電源ケーブル |
50本 |
| サーボケーブル |
11本 |
| 配線設計上のポイント |
高い配線設計精度と効率が不可欠 |
「何度もやり直し」ではなく「一度で正しく」
テストの結果、Cable proD の有効性は明確となり、Hahn Automation Groupを十分に納得させるものとなりました。
ケーブルは3D空間上で束ねられ、配線ダクト(ケーブルチャネル)に沿って配線されることで、システムがケーブル長を正確に算出します。その結果、事前に長さを測定したり、敷設後に修正を行ったりする必要がなくなりました。
さらに、配線ルートがビューア上で可視化されることで、技術者は作業内容を直感的に把握でき、ミスを防ぎながら迅速に作業を進めることが可能になります。
加えて、高価なサーボケーブルを無駄なく製作できる点も大きなメリットです。これにより、コストや銅材料の使用量を削減できるだけでなく、二酸化炭素排出量の低減にも寄与しています。
Eplan Cable proD HTMLビューアー
サービス・メンテナンス業務への波及効果
Hahn Automation Groupでは、生産工程だけでなく、サービスおよびメンテナンスの分野においても改善効果が現れています。同社の装置には、稼働中に常に動作するケーブルが多く使用されており、摩耗によって定期的な交換が必要となるケースが少なくありません。そのため、顧客から交換用ケーブルの注文を受け、同一仕様のケーブルを再製作する必要があります。
あらかじめケーブルの正確な長さが記録されていれば、装置に適合するケーブルセットを寸法どおりに製作できるため、顧客に対して必要なケーブルを迅速に提供することが可能になります。こうしたメリットは、エナジーチェーン用のケーブルについても同様に当てはまります。
また、新しい製品や新しいツールに対応するために交換用のケーブルセットが必要となる場合でも、既存のケーブルと同一の基準で製造することができるため、品質を維持したままスムーズな対応が可能となっています。
電気設計の次なるステージへ
テスト導入が成功したことを受け、Hahn Automation Groupは、まずドイツ拠点において Eplan Cable proD の導入を進め、その後、他の拠点へ段階的に展開していく方針を決定しました。自動ケーブルルーティングは、今後の生産設備製造や制御盤製作の方向性とよく合致しており、この判断は長期的に見ても理にかなったものといえます。
同社では今後、電気設計のあり方そのものが変化していくと捉えています。
回路図を個別に作図するのではなく、自動化・標準化された電気設計を成立させるための共通のデータと仕組みをもとに「構成(コンフィグレーション)」していくアプローチへと移行していく考えです。そのための基盤として、部品データベースやマクロプロジェクト、基本プロジェクトの整備はすでに完了しています。その上で現在は、電力要件や空調要件についても自動生成が可能な段階にまで進んでいます。
こうした取り組みにより、設計業務のさらなる効率化が進むとともに、より付加価値の高い、革新的な設計に注力できる体制が整いつつあります。