TJ Morris Ltd社は、500店舗以上を展開するイギリスの生活用品店Home Bargainsの親会社です。パンデミックの影響で売上が急増したことを受け、同社は店舗を拡大し、新規出店と既存店の売上向上を図っています。さらなる成長のため、同社はすべての物流倉庫を自動化し、プロセスを最適化することで、トップブランドを低価格で確実に提供しようとしています。
何年もの間EPLAN Electric P8を使用してきた同社は、このプロジェクトのため、EPLANソリューションを追加導入しました。
EPLANソフトウェアとサービス導入で、TJ Morris社はサプライヤー全体で作業方法を標準化し、電気図面の品質を向上させることにしました。
プロジェクトの概要
サプライヤーから提供される電気図面には品質や形式のバラつきがありました。一貫した納品や故障箇所の特定など、効率化を図るために標準化が必要でした。時間の節約として、手作業で異なるサプライヤーの図面をチェックしていたことによるミスや労働集約性を解消しました。コスト削減やメンテナンスの効率化も、スリムで迅速な小売業にとって極めて重要な要素となります。異なるサプライヤーによる電気図面の不一致は、メンテナンス作業において問題を引き起こしていました。
サプライヤーの電気図面の品質や形式のバラつきが課題
同社が課題だと挙げたことは下記の4つです。
課題
- 標準化:サプライヤーが提供する電気図面は、品質と形式の両面でばらつきがありました。一貫した納品と例えば、故障箇所を特定する場合などの時間短縮のために、標準化の必要性があった
- 時間の節約:異なるサプライヤーの図面を手作業でチェックしていたため、ミスが発生しやすかったく、労働集約的であった。
- コスト削減:人件費を削減し、(故障調査時などの)業務停止時間を回避することは、スリムで動きの速い小売業にとって不可欠である。
- メンテナンス:異なるサプライヤーが作成した電気図面の不一致が、メンテナンス(故障チェックなど)に問題を引き起こしていた。
同社が追加で導入したソリューションは下記5つです。
導入ソリューション
- EPLAN Pro Panel - 制御盤の3Dモデルを生成し、制御盤製造の基礎となるデジタルツインを作成
- EPLAN Data Portal - 340社以上のグローバルメーカーの製品カタログから、100万以上の部品と300万以上の構成可能な部品をダウンロードして利用可能な部品データのポータルサイト(機械、電気、油圧空圧部品
- 標準化:設計プロセスで期待される納期とワークフローを定義し、全社的な原則と作業慣行がビジネスとサプライヤ間で一致させる
- トレーニング:チームは数多くのトレーニングコースに参加、エンジニアリング&設備部門長は、EPLAN認定エンジニアの資格も取得し
- サポート:ユーザーのためのグローバルサポートデスクを利用、最新のソフトウェアバージョンを含む年次アップデートへのアクセスも提供
電気設計を外注から自社設計に
500以上の店舗を持つ同社は、在庫の回転が速く、急成長している小売業者です。一流ブランドを底値で提供するという価値提案で、2020年は売上高13%増の28億ポンドを記録しました。
さらなる成長のため、同社はすべての物流倉庫の自動化を進めました。以前、同社のエンジニアは、電気設計を常に業者に外注していました。このような外注設計のプロセスは、コストは高く、一貫性がありません。TJ Morris社のエンジニアは、各サプライヤーの品質にばらつきのある図面と格闘していました。このような図面を使用するとミスが発生しやすく、実装や、その後の継続的なメンテナンスにも問題が生じていました。
EPLANをすでに導入していたにも関わらず、今回別のソリューションを導入するに至った理由は、
- 全体のサプライヤー基盤で作業方法を統一したいと考えていたこと
- さらなる時間とコストの削減を実現したいという目標があったこと
という二つの理由からでした。
同社は標準化を実施し、EPLAN Pro PanelとEPLAN Fluidを導入し、その後スタッフのトレーニングを行いました。様々なEPLANソリューションの導入により、サプライヤーとの作業手順の改善だけでなく、当社のエンジニアが自社の電気設計図面を独自に作成できるようになりました。なにか機械に変更を加える場合は、これらの電気図面も簡単に更新することができます。
EPLAN標準化のメリット
EPLANの標準化の目的は、設計プロセス内のワークフローを定義し、全社的な原則を明確にして、プロジェクトの効率的な実施を保証することです。標準化により、EPLANを利用する顧客は、リソース、ドキュメントの構成、作業手順を統一することで、サプライヤーや顧客との連携を効果的に行うことができます。これにより、生産性、設計品質、そして一貫性のあるドキュメントが作成でき、結果としてよりスムーズなプロジェクト実行が可能となります。
TJ Morris社は、すぐにそのメリットを感じました。サプライヤーはEPLANで標準化された図面を提示することになるので、必然的にすべて同じレイアウトになり、確認がスムーズにできるようになりました。その結果、設計の承認プロセスが素早くなりました。EPLANはまた、購買や生産に必要な帳票類、例えば部品表、ケーブルスケジュール、部品リストなどを自動的に生成します。
制御盤製造の迅速化
EPLAN Pro Panelの導入により、TJ Morris社のエンジニアが3D環境で自社の制御盤を設計できるようになりました。これは製造に必要な時間の短縮に貢献します。プロセスの一環として、EPLAN Pro Panelは、手間のかかる手作業とは対照的に、3Dデータ上でプロジェクトチェックを実行するため、間違った接続などを設計段階で特定することができます。
社内で設計を行うようになったので、設計図を印刷し、赤ペンを入れ、その図面をサプライヤーに送り返すという、長引く承認プロセスが不要になりました。その代わりに、TJ Morris社のエンジニアは、自分たちでプロセスを管理監督することができるようになりました。最終的に、EPLAN Pro Panelの導入により、TJ Morris社は社内メンバーの能力向上を促し、プロジェクト管理コストを削減し、大幅な節約を達成しました。
Data PortalとリタールRiPanel
TJ Morris社は通常、リタールVX25エンクロージャーを使用しています。リタールは現在、EPLAN Data Portalに6,930以上のアイテムを持っています。エンクロージャーシステムとアクセサリーのコンフィギュレーション用にEPLAN内から直接リンクされているリタールRiPanelコンフィギュレーターでもすぐに利用できます。
「マクロはすでにEPLANにあり、多くのサプライヤーや部品情報がData Portalに含まれているため、設計時間を節約することができます。部品のデータベースを自分たちで構築する必要がなく、発注は(回路図から自動で作成した)部品表をエクスポートするだけです。」
RiPanelからエンクロージャーの仕様を取り出し、EPLAN内でパネルデザインを完成させます。これは本当にシンプルなプロセスで、制御盤が設計されると、価格設定のために筐体仕様をエクスポートしてリタールに直接送ります。全体として、EPLANは私たちの時間を大幅に節約してくれました。
EPLANの主な利点
TJ Morris社のエンジニアたちはEPLANソリューションの導入により、将来の拡大に向けて確固たる基盤を得ました。2025年までに倉庫の数が倍増することが予定されています。
「EPLANを初めて導入したときは、小規模な機器の修正のためでしたが、トレーニングを受け、より多くのソリューションを導入したことで、EPLANがいかに強力なツールであるかがわかりました。」Matthew氏
「自動化された倉庫では、ダウンタイムがビジネスに深刻な影響を及ぼす可能性があります。EPLANを使用することで、障害の発見時間を短縮し、これがビジネスの継続性と運営コストに良い影響を与えています。トレーニングはよく構成されており、移行プロセス中のEPLANのサポートデスクからの返答の速さと品質に非常に感銘を受けました。」Matthew氏