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株式会社総合車両製作所

導入で電気設計工数20%削減
鉄道車両の電気設計効率化へ好スタート

事例の種類
国内事例,
導入製品
Electric P8,
業界
インフラ(建物・道路・鉄道),

データ主導の設計とツナギ図からのFrom-Toリスト自動生成機能により、工数削減と品質向上を実現

2026年2月18日発行オートメーション新聞にも取材記事が掲載されました。

オートメーション新聞バックナンバー
課題
  • From-Toリストや配線図、結線図の作成はツナギ図を見ながら人手作業で行うため、作業量が多く、ミスや抜け漏れ、食い違いなども発生しがち
  • 集中検図:膨大な作業量で人手も時間もかかる上、各図面と帳票にミスがあるとさらに作業量が増える
  • From-Toリストを設計と現図がそれぞれ別々に作っていて作業が重複
効果
  • 「集中検図」にかかる工数を大幅に削減し、検図作業の負荷を軽減
  • ツナギ図の設計データからFrom-Toリストを自動生成することで、図面と帳票間の整合性確認作業を削減
  • 指定の電線検索や必要図面へのアクセス性向上など、データ活用による作業効率の向上

もくじ

Eplanは、日本では制御盤の電気設計ツールとして知られていますが、グローバルでは鉄道はもちろん、プラントや社会インフラなどの電気設計でも多くの実績があり、産業向け電気設計プラットフォームとして世界で広く活用されています。

こうした中、鉄道車両メーカーである総合車両製作所(J-TREC)は、鉄道車両の電気設計業務の効率化とデータ活用を進めるにあたり、2023年に電気設計CADのEplanを導入しました。26年に運行開始予定の京王電鉄の新型通勤車両「2000系」の電気設計をEplanで行ったところ、20%の設計工数削減を達成し、変革に向けて好スタートを切りました。

鉄道車両の電気設計業務でEplanをどう活用し、どう将来につなげようとしているのか。総合車両製作所・技術本部設計部長の城田一氏と、設計部システム設計主任の相坂拓氏、そして実際にEplanを操作しているみなさんにお話を伺いました。

目視と手作業、業務重複など課題は山積み

ーEplan導入前の電気設計業務はどのようなプロセスだったのでしょうか

当社における車両の電気関係の業務の流れとしては図面を描く「設計」部門と、その設計部門が作った図面から作業要領書をまとめるぎ装課「現図」担当があり、その後に実際の組み立て・配線を行う製造部門があります。

設計業務の流れとしては、

  1. 初めに設計部門が、電気的な接続関係を示す図面として「ツナギ図」を作成します。ツナギ図とは、いわゆる「電気回路図」のことで、鉄道業界では一般的に使われている言葉ですが、1編成で100枚以上という数の図面を作ります。

  2. 次にそのツナギ図を見ながら、電線がどこからどこをつないでいるかの「From-Toリスト」をExcelへの手入力で作成します。

  3. 続いて、配線が車両のどの経路を通るかを表す「配線図」を作成します。

  4. その配線図で、配線の通り道となるダクトや配管に電線を詰め込み過ぎていないかの占積率を計算してチェックし、

  5. 機器の電線コネクタのどこに差し込むかを記した「結線図」を作ります。

  6. これまでに作成した、ツナギ図、配線図、結線図を、皆で目視でチェックする「集中検図」を行い、問題なければ出図となります。

  7.  その後、現図担当に引き継がれ、 3.で作成した「配線図」をもとに、現図担当で再度「From-Toリスト」を作成し、

  8. ぎ装図面に配線ルートを追記した「ルート図」を作り、

  9. From-Toリストとルート図をもとに作業要領をまとめ、製造部門に渡して完了      という流れです。

ーこのプロセスのなかでどんな課題があったのでしょうか?

鉄道車両でも3D設計が主体となっていくなかで、以前から「今のツナギ図や配線図を3Dデータとどのように連携させていくか」「将来のツナギ図や配線図のあり方はどうすべきか」を検討していく必要があると考えていました。

そして22年に、今のまま紙でやるか、データ化するかを議論するところからスタートし、まずは現状の各作業の分析と目的の明確化をし、問題点を抽出することから始めました。

すると、例えば、From-Toリストや配線図、結線図の作成はツナギ図を見ながら人手作業で行うため、作業量が多く、ミスや抜け漏れ、食い違いなども発生しがちなことが分かりました。

また、設計の最終工程である集中検図では、4、5人の設計者が集まり、数週間かけて、これら全ての図面と帳票間で全ての情報が正しくつじつまが合っているかを一つ一つチェックするのですが、これだけでも膨大な作業量で人手も時間もかかる上、各図面と帳票にミスがあるとさらに作業量が増えるということが課題として出てきました。

さらに、

1.From-Toリストを設計と現図がそれぞれ別々に作っていて作業が重複していること、
2.設計でツナギ図にルート情報を加えた配線図を作っているが、現図や製造工程では有効に活用されていない  という大きな2つの問題も浮かび上がってきました。

設計、製造合わせてトータル30%の工数削減を目指し、業務プロセス改革に着手

ーどんな業務プロセスにしようと考えたのですか?

それまで9つあった作業工程から全7工程に効率化し、設計では、

  1. 「ツナギ図」を作成し、

  2. その後に検図、

  3. ツナギ図から「From-Toリスト」を作成し、

  4. 占積率の計算、

  5. 「結線図」作成を経て、

  6. 最終検図をして出図します。

  7. 現図では、設計で作成したFrom-Toリストと結線図、ぎ装図面をもとに作業要領書を作成して出図する

という流れです。

From-Toリストに配線の経路情報を追加し、配線図の作図をなくし、さらに占積率の計算や結線図作成にFrom-Toリストのデータを活用することで作業性を改善。集中検図も、全ての元となるツナギ図の作成が完了した時点でのチェックを厳しくし、最終の検図工程では新ツールの自動チェック機能で実施する。

設計の初期段階から図面の質を高め、作り込むことで、後工程はもちろん、全体を効率化しようと考えました。配線図をなくすことに関しても、現図や製造部門からは「情報を追加したFrom-Toリストがあれば対応できそうだ」との意見があり、前向きな回答を得られました。そこで、これまでと比べて設計、製造合わせてトータルで30%工数削減を目標とし、これを実現できる電気CADを比較・選定した結果、Eplanを採用することとなりました。

 

データ主導の設計プロセスを目指しEplanを採用

ーEplanを選んだ決め手、理由は何だったのでしょうか

最大の決め手は「ツナギ図の情報から、From-Toリストが自動生成できる」という点です。長年の課題だった手作業によるFrom-Toリストの作成と、それに伴う集中検図という膨大な作業を効率化できると考えました。

ツナギ図に正しい情報を入力し、配線経路の情報などを加えるだけで、各種帳票が自動で出力される。設計の上流工程でデータの精度をしっかり作り込めば、後工程の作業が劇的に楽になるという「データ主導の設計プロセス」に大きな魅力と可能性を感じました。複数のツールを比較検討しましたが、この思想が最も明確だったのがEplanでした。

Electric P8 Wiring layoutElectirc P8 操作画面イメージ

またサポート体制についても、エンジニアとの距離が近く、使いこなすためのトレーニングや悩み相談などにも乗ってくれ、手厚いところも高評価でした。

ー導入から運用までスムーズに行きましたか?

これまでは絵として図面を描けばよかったものが、Eplanでは、一つ一つの部品に電気的な情報を持たせ、正しく接続関係を定義して、「データを作る」という意識で設計していく必要があります。

P8_DMSElectirc P8 操作画面イメージ 

最初は戸惑いましたが、Eplanに協力いただき、鉄道車両設計に特有のシンボルや図面の表現方法などをEplanの仕様に合わせていく作業を進め、幸いにも、現在使っている設計資産(DXFデータや電線情報など)や、事前に十分な検証をしていたこともあって、比較的スムーズに移行を進めることができました。

 

実案件での使用は初めてにも関わらず劇的な導入効果

ーEplanを導入した効果はどうでしたか?

26年から運行を開始する京王電鉄の新型通勤車両「2000系」のプロジェクトでEplanを使ったところ、当社として初めてEplanを実案件で採用したにも関わらず、前モデルの5000系を設計した時に比べて電気設計で20%の工数削減を達成しました。

総合車両製作所‗2000系_画像_京王電鉄2000系=画像:京王電鉄

現在これにはEplanの仕様を検討したり、社内ルールを策定したりする時間は含まれていませんが、既に今後の新規案件においてEplanでの作業を始めており、操作スキル向上やデータの流用等で、今回と同等以上の削減効果が出ると考えています。さらに、出図後、製造部門からの手戻りも少なく、図面品質も確実に向上しました。

ー工数20%削減とはとても大きな数字ですね。具体的にはどういった工数が削減できたのでしょうか。

最大の要因は、やはり「集中検図」の工数が大きく削減できたことです。

ツナギ図の設計データからFrom-Toリストが自動生成されるため、その間に誤差はなく、両者の整合性を1件ずつ確認する必要がなくなりました。これにより検図にかかっていた膨大な負荷から解放されたのです。

副次的な効果も数多くありました。

例えば、指定の電線を探しやすくなったり、必要な図面にすぐにアクセスできたりと、データ活用の恩恵を受けています。またリレーや端子台といった部品のリストも図面データから自動で抽出でき、これまでは100枚近くある図面から目視で部品を拾い出して情報をまとめ、調達部門経由で協力会社に発注情報を伝えていましたが、Eplanであればボタン一つで正確なリストを作成して共有できて便利でした。これにより関係する部門や協力会社との連携もスムーズになり、手戻りや確認作業が大幅に減少しました。

強力なエラーチェック機能も、設計品質の向上に大きく貢献しています。回路の重複や配線ダクトの占有率オーバーなど、これまで見落としがちだったミスを設計の初期段階で検知できるため、後工程での手戻りが格段に減りました。製造部門から設計部門へ「図面が違う」といった差し戻しがなくなることは、設計者にとって精神的なストレスの軽減にもつながっています。

 

鉄道車両の設計・製造効率化の未来へ。部門を超えたデータ連携を目指す

ー鉄道車両ならではの難しさもあったのではないでしょうか。

おっしゃる通り鉄道車両の設計は他とは異なる部分が多々あります。

例えば、同じ回路が複数の図面に何度も登場するといった業界特有の慣習があります。そこはEplanの機能を活用して、うまく運用に落とし込む工夫が必要でした。こうした一つ一つの課題をクリアしていくことで、自社の作業をEplanに合わせていくことで最適化させていきました。

ー今後の展望についてお聞かせください

今回の取り組みは、あくまで第一歩だと考えています。

今後は、電気設計部門だけでなく、車両の機構設計を担当する「ぎ装設計」部門とのデータ連携を強化していきたいです。例えば、ぎ装設計側で作成された3Dの配線ルート情報と、Eplanが持つ電気的な情報を連携させることができれば、From-Toリストへの経路情報入力が効率化でき、より精度の高い配線長の算出や、干渉チェックが可能になります。

また、車両製造の業界では、以前より複数の車両メーカーが共同で一つの車両を開発するプロジェクトが一般的にあります。そうした際に、Eplanを共通の設計プラットフォームとして活用することで、会社間のスムーズなデータ連携が実現でき、業務がより効率化できると期待しています。

将来的には、AIの活用なども視野に入れ、設計プロセス全体のさらなる自動化と高度化を目指していきます。当社の取り組みが、お客さまである鉄道事業者様にとっても、より高品質な車両を迅速に提供することにつながると信じています。

 

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