三菱電機 福山製作所は、低圧遮断器(ブレーカ)をはじめ、電力量計、指示計器、省エネ支援機器など三菱電機グループにおける配電制御機器分野の開発・製造の中核拠点として、日本国内はもちろん、世界中の需要に対応しています。
Eplan Data Portalへは、福山製作所として2015年から製品登録をはじめ、現在は低圧遮断器を中心に小形の低圧機器を掲載。盤業界のデジタル化やデータ活用への対応を強化しています。
盤の設計プロセスではData Portalのようなデータライブラリが普及
製造業をはじめ、社会全体のデジタル化・DXの流れ、さらには盤業界における電気CADの普及にともない、盤の設計プロセスではEplan Data Portalのようなデータライブラリから機器の3Dデータをダウンロードして図面に使うといった設計の効率化手法が浸透してきています。
機器メーカーにとってEplan Data Portalに自社製品を掲載しないことは、設計者との接点を少なくし、機会損失を生む原因となります。福山製作所でもそれを意識し、盤業界のデータ活用の時代への対応を進めています。
「盤の設計においては今後、電気CADをはじめさまざまなツールの利用頻度が高まっていくことが予想されます。その際に3Dデータを登録して誰でも使える状態にしておかないと、設計者からはスルーされてしまう恐れがあります。Eplan Data Portalには同業他社も多くの製品を登録しています。当社もより拡販していくためには、もっと活用していかなければいけないと思っています。」(営業部 遮断器営業課 熊原 尚也 氏)
低圧遮断器を中心に5000点超を掲載
現在、福山製作所のEplan Data Portalへの製品登録は、低圧遮断器と低圧開閉器、電力管理用計器など小形の低圧機器を5000点以上を登録。(2024年11月現在)
「低圧遮断器では30AFや60AFの小形をメインに登録しています。電気CADにデータを登録しておけば設計者もそれを有効活用できると考え、よく使われる製品を中心にラインナップを絞って掲載をしています。お客様からのリクエストがあった場合や新製品のタイミングで登録を追加するようにしています。」
定期的に3Dデータがダウンロードされており、
「様々なユーザーからダウンロードされているという印象です。自動車メーカーや半導体製造装置メーカーでも多くダウンロードされており、スペックインされていることが分かって良いです。」
カーボンニュートラルに向けて配電制御とFA機器の連携を強化
近年のカーボンニュートラルのトレンドのなかで、工場建屋のファシリティだけでなく、生産ライン、生産設備でも電力監視や省エネの必要性が高まっています。それにともなってエンドユーザーの工場ではファシリティのエネルギー管理者と、生産ラインを管理する生産技術部門との連携もはじまっています。
そうした状況の変化に対応するため、配電制御機器の中核地点である福山製作所としても、カーボンニュートラルに貢献する製品の提案強化と、シーケンサやサーボモータなどFA事業の中核拠点である名古屋製作所との密な連携を進めています。
現在、カーボンニュートラル需要を背景に拡販を強化しているのが、計測機器部品を遮断器本体に内蔵し、1台で電路監視と高度なエネルギー管理が可能となる低圧遮断器「MDUブレーカ」です。
三菱電機 MDUブレーカー
同製品は、遮断器と計測機器をそれぞれに独立して設置する場合の配線工事が要らず、盤の省スペース化に貢献。作業工程が少なくなっているので、工期短縮、工事費の削減が可能。電路を常時監視して見える化することで省エネ活動にも役立ち、電路情報は上位システムに伝送して工場全体の省エネ化を支援します。また事故原因や事故電流をメモリに記録でき、事故の予防や設備保全にも有効に使うことができます。ノーヒューズ遮断器、漏電遮断器、漏電アラーム遮断器の3種類をラインアップ。
「MDUブレーカは、電路情報を計測・表示・伝送するMDU(Measuring Display Unit)計測表示ユニットと遮断器本体を一体化し、省スペース・省施工での省エネ活動を支援する遮断器です。B/NET伝送、CC-Link通信、MODBUS通信、電力量パルス出力など多彩なネットワークに対応しており、また遮断器を流れる負荷電流、線間電圧、電力、電力量、高調波電流、漏洩電流、力率を計測・表示してきめ細かなエネルギー管理が実現でき、カーボンニュートラル対策としてニーズが高くなっています。
名古屋製作所ともより密にコミュニケーションを取り、同じ盤に入る機器として、福山製作所の配電制御機器と名古屋製作所のFA機器をうまく連携することで、お客様のカーボンニュートラル実現にもっと応えられるようになると考えています」
三菱電機の省エネモデル工場 工場見学も受入中
また、福山製作所は三菱電機グループの省エネモデル工場と位置付けられており、1997年から工場見学を受け入れ、1997年から2010年までで7000社、1万4000人以上が参加。近年もカーボンニュートラルにともなって増えているといいます。
「1997年に本格的に省エネ活動を展開し始め、ここ福山製作所で開発・製造した計測機器を使って設備ごとの原単位管理の見える化を実践し、結果、2010年度には1996年度と比べて1億円もの省エネを実現し、それ以降もさらに多くの取り組みを行っています。
省エネを実現したいというお客様に対して工場見学を行い、年間100件以上を受け入れています。また期に数回、公開遮断試験も行い、遮断器の重要性の啓蒙も行っています」