興和化成は、配線ダクトでは国内トップシェアを獲得しているニッチトップメーカー。
現在は配線ダクトのさらなるシェアアップとEMC対策製品などの拡販によって新たな事業の柱を築くべく、Eplanが運営する製品サイト「Eplan Data Portal」を活用して、盤設計者への認知度を高めて新たな展開につなげようと取り組んでいます。
配線ダクトの国内トップメーカー
興和化成は、1969年に車関連の樹脂モールディング、押し出し成形品から事業をスタート。そこから配線ダクトやDINレール、電線保護チューブなど電気配線の副資材に広がり、さらにはノイズ対策やシールドといったEMC対策品、エコ素材を使ったダクトなどエコ製品の開発・製造を行っています。
「売上構成としては、配線ダクトが50%、その他電材製品で30%、車載用成形品で20%。
配線ダクトでは国内トップシェアを獲得しています。」(営業部 マネージャー 一色 哲晴 氏)
即納・高品質の配線ダクトを毎日1万本を出荷
同社の主力製品である配線ダクトは、制御盤など盤内の配線の流れを作り、配線を保護する役目を担う重要部品。
主力の「KDシリーズ」は、キュービクルなど大型の盤から小型の制御盤向けまでカバーし、最大で100×150mm、最小で18×25mmのサイズまで幅広いラインナップを揃えています。即納・品質にこだわり、低圧から高圧、中小企業から大手まで多くの取引先を抱え、毎日1万本を出荷しています。
「盤業界では一時期、配線ダクトを使わずに配線を行うダクトレスに向けた動きもありましたが、盤内の配線追加や更新、改修の際の作業工数や見栄えの良さという点からも配線ダクトを使用した方が良いという考えが多く、今でも変わらず配線ダクトが重宝されています。
電線を保護して安定した電力供給と通信を実現し、盤の内部を整理整頓するためにも配線ダクトは欠かせない存在です。」(一色氏)
知名度と設計者との関係構築のきっかけとしてData Portalを活用
配線ダクトのさらなるシェアアップとEMC対策製品などの拡販に向け、課題となっているのが「ワンランク上の知名度・信頼の獲得と、選定者との関係構築」。
盤業界内に顧客は多く、知名度も高いが、それ以外での知名度は低く、新規顧客の掘り起こしには苦戦中。
また取引は販売代理店を介しているため、配線ダクトを選定するエンドユーザーや盤メーカーの設計者や調達担当とは関係が薄く、配線ダクト加工サービスのような高付加価値で商品力の強いサービスの提案が十分にできていないという課題に直面しています。
自社WEBサイトを公開し、製品データをダウンロードできる仕組み等も整備しているが、十分な成果を上げているとは言い難い。そこで同社は盤の設計者が設計業務で利用するツールのEplan Data Portalを活用して業界内外への自社PRに取り組んでいます。
興和化成のダクトデータをData Portalからダウンロードして設計した3Dモデル
スペックインを狙うに当たっての参考情報をData Portalから得る
Eplan Data Portalに製品の3Dデータの掲載をはじめたのは2019年から。
大手工作機械メーカーが電気CADとしてEplanを利用していて、Eplan Data Portalに配線ダクトの3Dデータが欲しいという声が上がったことを契機に掲載を開始しました。
現在は配線ダクト33種類、DINレール5種類を登録し、世界中の設計者なら誰でも配線ダクトの3Dデータがダウンロードできるようになっています。
「Eplanを使っている設計者は、Eplan Data Portalから必要な機器の3Dデータを入手して図面を描きます。
配線ダクトのトップメーカーとしてここに載せない訳にはいきません。
競合が掲載していなかったことから、先行者メリットを得られるのではという期待もあって掲載を決めました。」(一色氏)
さらに「3Dデータをダウンロードした情報も閲覧でき、どの企業が当社のどの製品を使っているのか、興味を持っているのかが推測でき、スペックインを狙うに当たって良い情報になる」と評価しています。
Data Portalを通して主体的な情報発信で新規顧客の開拓へ
掲載を開始して5年、これまでとは異なる取引先からの注文が入ってきたりと効果も少しずつ出てきています。
これまで情報発信は販売代理店に頼る部分が大きかったところを、Eplan Data Portalへの掲載を機に主体的に行うようになってきています。
「より多くの人々に当社のことを知ってもらうためには、これまでのやり方では限界がある。そのためにEplan Data Portalの活用をはじめた。
興和化成=配線ダクトのイメージが強いので、それ以外の製品も取り扱っているということをもっと知ってもらいたい。まだ当社がタッチできていない層もあり、そこにどうやってアクセスしていくかが大きな課題です。」(一色氏)
また「今後、Eplanを利用する人が増えていくのに合わせ、Eplan Data Portalから当社のWEBサイトにくる人が増えることに期待したい。興和化成の認知を広げ、工作機械や半導体製 造装置、データセンターなど既存の業界以外、例えば鉄道や医療機器といった新しい業界にもアプローチし、積極的に市場を開拓していきます」としています。