工作機械メーカーの Heller社は、電気設計と流体動力設計を包括的に統合することで新しい機械や生産ラインの設計にかかる時間と労力を大幅に節約しています。電気設計・流体動力設計にはEPLANプラットフォームとEPLAN EEC※(日本非対応)を使用しており、制御盤の構築は完全に統合されています。
Heller社について
社名:Heller (ドイツ)
業界:工作機械メーカー
規模:全世界で生産拠点数5、サービス支店30
課題: 電気設計と流体動力設計の統合
Heller社は、4軸・5軸マシニングセンターやフレキシブル生産システムのスペシャリストとして、世界的に知られています。Heller社は、自動車産業における売上の約60%を占めており、オンロードおよびオフロードユーティリティ車両用のモーターとトランスミッションの生産工場において、世界的なマーケットリーダーとなっています。最大40台の機械を含む完全な生産ラインの開発、納入、導入が可能です。これらの工場は、最高の品質、高い生産量、幅広い柔軟性とスケーラビリティを備えています。
設計段階での高い複雑性
Hellerのエンジニアが30~40台の機械を含む生産ライン全体を開発する場合、電気設計だけでも多くの工数を必要とします。そこで、Heller社は数年前から、これらの工程を自動化し、スピードアップを図るプロジェクトを開始しました。
コントロールエンジニアリングのシニアマネージャー、Klaus Riexinger氏は「電気と流体設計の共通プラットフォームと、真のメカトロニクス設計を可能にするシステムが、私たちの目標でした」と話します。
流体設計は、油圧、空気圧、冷却潤滑油、潤滑、機械冷却の合計5つのタスクエリアがあり、このやりとりは非常に複雑になっていました。EPLAN ソフトウェアは、検討したシステムの中で「電気と流体設計の共通プラットフォーム」という要件を最も満たしていました。Heller社は当初から包括的な統合ソリューションを求めていたため、電気、流体、筐体のエンジニアリングに適したEPLANプラットフォームが導入されました。
EPLANプラットフォームとの統合
このEPLANの新しい設計手法で、Heller社はFシリーズ用の5つの軸型フライス盤と新しいモデルラインを開発し、納得のいく結果を得ることができました。Heller社は、EPLAN Electric P8、EPLAN Fluidを備えた新しいEPLANプラットフォームの導入により、さらに高度な統合を実現しました。
ボタンを押すだけの回路図
Heller社では、設計プロセスの自動化を営業レベルから始めています。
営業担当者は「セールスコンフィギュレーター」を使って、100以上のオプションからマシン構成を行います。例えば、ツールマガジンのサイズ入力、ドリルビットの破損、チェック、測定プローブなどのアドオン機能を選択します。それぞれの「クリック」の後ろに設計モジュールがあり、それが自動的にEPLANのソフトウェアに呼び出されます。これにより、標準的な機械のカスタマイズされた電気設計がほぼ完全に自動化され、クリックだけで回路図が作成されます。もちろん、個々の特別な要求に対しては、手動で修正することも可能です。
標準化された回路図
すべての電気・流体設計者は、新シリーズ、プラント、特殊機械の開発プロジェクトにおいて、EEC※に保存されているモジュールにアクセスすることができます。これは社内標準化をサポートします。
すべての設計者が同じ部品を選択することがで、必要な技術情報はすべて個別のマクロとして保存され、部品管理もリンクされています。設計者は、EPLAN Electric P8で保存されている同じデータとマクロを利用し、顧客の仕様に合うように設計を修正します。
Klaus Riexinger氏は「この方法は、同一のタスクが同一の方法で、同一の手段で解決されることを保証します。プリントも同じです。これにより、すべてがスピードアップし、より透明性の高いものになります。」
参考:電気設計でマクロ機能がもたらす5つのメリット|EPLAN公式ブログ
設計者を反復作業や長時間の部品検索から解放
他の機械メーカーとは異なり、流体設計と電気設計は以前から一つの部門に統合されているため、Heller社は新しいプロセスの導入で利益を得ています。
同社の担当者は「EPLANプラットフォームによる設計は、設計者を反復作業や長時間の部品検索から解放してくれます。さらに、設計プロセスは同時に標準化され、製造においても、特に制御盤の製造においては、すべてのプロセスが加速され、エラー率が劇的に減少します。」
Heller社は21台のEPLANライセンスを取得しているため、これらの利点は流体設計だけでなく電気設計の分野でも幅広く活用されています。
もちろん、導入時の準備作業はたくさんありましたが、きちんと準備することによって、設計部門のパフォーマンスが飛躍的に向上しました。
設計者は、自動化できる作業に時間を割くべきではないと同社の担当者は語ります。
※EPLAN EECは日本では未対応です。同じように回路図の自動生成をEPLAN Cogineerという製品で行えます。
参考:Cogineerのすべてがわかる!回路図自動生成 Cogineer機能紹介ウェビナーレポート